今回のテーマは「オニヤンマ」です。
トンボ界の王みたいなイメージ。
「最強の昆虫」との呼び声も高い。
虫除けの模型も売ってますよね。
それだけでも「最強」と称してもよさそう。
だけど、最強議論はなぜか熱くなりがち。
「いやいや、スズメバチの兄貴には敵わないっしょ」
「おっと、カマキリパイセンを忘れちゃ困るぜ」
などと、それぞれ「推し」がある。
持論を展開し、なんか引けない。
思考遊びにすぎないのに、なんであんなに燃えちゃうんでしょう?
もちろん、オニヤンマも強者。
最強とされる裏付けもちゃんとあります。
その強スペックを解説しつつ、他のトンボとの比較もやっていこうと思うのです。
オニヤンマ最強の理由
オニヤンマは日本最大のトンボ。
体長は9~11㎝。
翼長は12㎝ほどにもなります。
メスのほうがちょっと大きい。
デザインは黒に黄色い縞という警告色。
トラやスズメバチ、踏切などに見られるデンジャラスカラーです。
大きな目はエメラルドグリーン。
似たデザインのトンボもいますが、色で分かりやすい種といえるでしょう。
オニヤンマのここがすごい!
トンボの売りは「飛行能力」と「アゴ力」。
高速の戦闘機でありながら、垂直離陸・着陸もできる。
物理を無視したようなUFO並みの方向転換。
空中に制止することも可能。
現代の航空技術でも再現できないという優れた能力です。
トンボは古いタイプの昆虫。
4枚の羽が横に広がり、収納はできません。
しかし、この4枚羽が独立して動き、アクロバティックに動ける。
着地した瞬間に羽もピタリと止まるので、制止もソフト。
トンボは羽虫を捕食しますが、この飛行能力があれば、逃げられる獲物はいないでしょう。
大きな複眼は視力に優れ、視野は270度。
目がいいのもハンターの条件。
あとは強いアゴでガツガツ食う。
トンボが人を咬むことはまずありません。
でも、捕まえたトンボの口元に指などを出すと咬むことがあります。
僕も子供の頃やった記憶がある。
かなり痛いです。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki3.png)
子供って無意味なチャレンジをなぜかしますよね
このようにトンボは怖い肉食昆虫。
その国内最大種のオニヤンマが弱いわけがありません。
最高速度は70km/hに達するといわれ、時にはセミほどの大型昆虫も襲います。
オニヤンマの獲物にはスズメバチ兄貴も含まれています。
「最強」と呼ぶにふさわしい攻撃性ですね。
本当に昆虫界最強なのか?
スズメバチまで捕食するオニヤンマ。
それだけで「強者」と言えそう。
ところが、スズメバチのほうもオニヤンマを襲うことがあるのです。
「動くものは全部餌」のカマキリも、オニヤンマを襲う。
あれ?最強らしくない。
オニヤンマ、スズメバチ、カマキリ。
この三者は実は「食ったり、食われたり」なのです。
勝負は状況次第。
先に背後を取ったほうが勝つようです。
オニヤンマはスズメバチより飛行能力が高いので、空中戦では有利でしょう。
飛ぶのが下手なカマキリパイセンは相手にもなりません。
しかし、後ろから忍び寄るカマキリには、オニヤンマもスズメバチもヤラれるでしょう。
集団のスズメバチなら、相手は逃げるだけです。
この肉食昆虫の3強は、「三鼎(みつがなえ)」の関係。
牽制しながら、機会があれば襲うというか。
本音は「関わりたくない」と思う。
自然界では、強者同士が争うことは意味がありません。
安全パイはいくらでもいるんですから。
オニヤンマも狙うのはハエやチョウなど。
わざわざ兄貴やパイセンを襲う必要なし。
向こうもオニヤンマを相手にしたくないでしょう。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki2.png)
兄貴やパイセンの敬称は
僕の勝手なイメージです。
すいません
「オニヤンマからは逃げとけ」が昆虫の共通認識。
その習性を利用したのが、虫除けグッズの「おにやんま君」です。
オニヤンマくんの効果
「おにやんま君」はオニヤンマを模したアイテム。
よく見ると、目が離れてるとか細かい部分は似てないのですが、黒と黄の縞でオニヤンマとわかる。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki1.png)
オニヤンマの目はくっついています。
目が離れた黒黄縞のトンボは
「コオニヤンマ(体長8㎝)」です。
他にも黒黄縞トンボが数種います
アウトドアショップ、ドラッグストア、ホームセンターなどで売っています。
たぶん、類似品もあるのかな。
身に着けたり、ぶらさげたりしておくと、ビビッて虫が寄ってこないというグッズ。
器用な人は手作りしちゃうそうです。
虫嫌いにとっては「オニヤンマ神」と崇めたくなる!
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2023/07/22199499_s.jpg)
その効果はいかほどなのか?
口コミを見ると「けっこう効く」とのこと。
まあ、「効果なし」の意見もあるんですが……。
使い方や状況に因るのかもしれません。
なんたって虫の本能を利用したグッズ。
本能からは逃げられません。
黒黄縞でビビらせて、虫を退散させる。
この分かりやすさが、妙に効果ある気にさせません?
刺青見せられたら逃げたくなるでしょ。
こうしたことからも、オニヤンマが強いということは否定できないでしょう。
そのオニヤンマも最近は数が減っているのだそうです。
オニヤンマ以外の大トンボたち
オニヤンマは絶滅危惧種ではありません。
日本全国で今も見られます。
ただ、清流を好むため、見られなくなった地域もあります。
日本最大は嘘なの?
遠い少年時代――。
僕の夏休みの日課はトンボ採りでした。
近所の水場にトンボが多く、毎日採っていました。
「トンボ採り」って仕事があるなら、今すぐ転職したいくらい。
でも、オニヤンマはほとんど見なかった。
ギンヤンマやオオルリボシヤンマは多かったのに、オニヤンマがいなかったのです。
だからオニヤンマに出会うのは嬉しかった。
だけど、トンボの王みたいな感じはしなかったです。
珍しいと思うだけ。
どうも、僕の住む北海道では、オニヤンマがやや小型で、オオルリボシヤンマのほうが大きいのだそうです。
オオルリは黒に水色の縞がある大型トンボ。
普段そちらを見慣れていたので、オニヤンマが小さく思えたのでしょう。
種として最大なのは事実。
地域によって「やや落ちる」トンボなのです。
オニヤンマより大きいトンボ
世界最大のトンボは「コウテイムカシヤンマ」。
オーストラリアにいます。
大きいものは体長16㎝。
でも、だいたいは13㎝くらいだそうで、オニヤンマよりちょっと大きい感じ。
どこか華奢に見える。
カラーリング的にもオニヤンマのほうが強そうです。
史上最大となると、70㎝もあったメガネウラ(約3億年前)がいます。
現存のトンボはメガネウラの直系の子孫ではないのですが、同系の昆虫ということで超巨大トンボの末裔といえるのです。
しかも、形態がほぼ一緒。
トンボ族が「完成形」に近い形で出現したのがわかります。
トンボは3億年前を偲ばせる昆虫なのです。
子供がトンボに惹かれるのは、恐竜とかマンモスに惹かれるのと、同じベクトルなのかもしれません。
オニヤンマが好む清流の減少で、生息地も縮小ぎみ。
昔ほど見られなくなっているそうです。
いつまでもオニヤンマが見られる日本だといいんですが。
まとめ
オニヤンマは日本最大のトンボ。
小ぶりな地域もありますが、日本トンボの王的存在。
その飛行能力にはスズメバチも敵いません。
「最強」と言っても過言ではないでしょう。
まさに「鬼」の黒と黄のデザイン。
色合いまで強そうじゃありませんか。
優れたハンターとして、虫除けグッズにも抜擢。
トンボは見栄えもいいし。(飛ぶ機械みたいな感じ)
夏に一度は出会っておきたい昆虫ですね。
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