日本最小哺乳類トウキョウトガリネズミ 東京にはいないけど見れる!

陸生動物

「トウキョウトガリネズミ」
という動物がいます。

日本で一番小さな哺乳類です。

まあ、名前を見れば

「東京都に生息する」

「トガリネズミという種のネズミ」

だろうと推察できるでしょう。

このトウキョウトガリネズミ。

北海道にいます。

あれれ?

北海道にしか生息していません。

……詐称かな?

こんな感じで、勘違いの多い動物でもある。

ミスが多いのは「よくわからない」動物ってこと。

それでも、最近はいくらかわかってきています。

そんなトウキョウトガリネズミを紹介していきましょう。

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トウキョウトガリネズミについて

トウキョウトガリネズミは体長5㎝未満。

3㎝くらいのしっぽがあります。

小さいものは500円玉とあまり変わらないのだそう。

体重は1円玉2枚以下。

虫のサイズ感ですよ。

カヤネズミやアブラコウモリ(家コウモリ)も小さいですが、どちらも6~7㎝ほどあるので、トウキョウトガリネズミのほうが一回り小さいのです。

名前の由来は勘違い

現在、トウキョウトガリネズミの生存が確認されているのは北海道のみ。

主に東部、北部ですが、それ以外の地域でも見つかっています。

発見されたのは1903年。

「ししゃも」が有名な鵡川(むかわ)町でした。

発見者はイギリスの動物学者ホーカーさん。

おそらく、現地の人はこの生き物の存在は知っていたでしょうが、ホーカーさんがきちんと標本を採って、学会に報告した。

だから「発見者」というよりも「学術的初認識者」ですね。

そして、標本ラベルに見つけた場所を
「Yezo(蝦夷)、Mukawa(鵡川)」と記したのです。

ところが、これを誰かが「Yedo」「Inukawa」と読み違えた。

「江戸(東京)の犬川」と勘違いしたらしい。

東京に犬川なんてあったっけ?と思い、
ちょっと調べたけどわかりませんでした

それで東京にいないのに「トウキョウトガリネズミ」と命名。

事実がわかった後も改名されず、現在も学会の恥をさらすように呼ばれているのです。

ホーカーさん、よほど字が汚かったのかな。

北海道以外では「多摩動物園」だけで見られるのだとか。

ちょこちょこ動くのが愛らしいですね。

トウキョウトガリネズミ (多摩動物公園)Ezo least shrew

北海道ではモグラ扱い?

トガリネズミもネズミではありません。

「トガリネズミ」という、モグラに近い哺乳類。

ネズミに似ていますが、ネズミ目(齧歯目)とは別物。

モグラ、ハリネズミなどと一緒に「真無盲腸目」と呼ばれます。

トガリネズミは鼻先がとがっているのが特徴。

どの種も小さく、最小哺乳類と言われます。

北海道出身の僕はモグラを見たことがないのですが、モグラは北海道にいないのだそう。

トガリネズミはいるので、それをモグラと呼んでいるようです。

そのトガリネズミがまた、あまり見られない小動物。

トウキョウトガリネズミはその一種。

道理でモグラを見ないわけです。

現在、トウキョウトガリネズミは多摩動物園でしか見られません。

札幌の円山動物園にもいるそうですが、非公開のようです。

大学などで展示する場合も常時ではありません。

東京でしか見られない、東京にいない、トウキョウトガリネズミ。

ややこしいですね。

生息地で野生のトウキョウトガリネズミは見れないのでしょうか?

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トウキョウトガリネズミと出会いたい!

トウキョウトガリネズミはしばらく謎の生物でした。

ホーカーさんが見つけた1903年。

それから数十年2匹目が見つからなかったそうです。

現在に至っても、まだ総数で50匹程度しか捕まっていないらしい。

「幻の動物」です。

なので、個体数が多くない「絶滅危惧種」とされています。

ただ、最近の研究では「思った以上に多くいるのではないか」という話。

なかなか見つからないだけで、数はいるかもしれません。

北海道で出会う可能性もあるわけです。

北海道だけに生息

北海道の画像

トウキョウトガリネズミの生息地は北海道。

一応、北海道全土ということになっています。

確かに確認地点は広範囲。

北東部に多い傾向ですが、例の鵡川町は南西部といえる。

「北海道全体にいる」あるいは「昔は全土にいたが近年は北東部で見られる」と考えられます。

トウキョウトガリネズミが住むのは草地。

低い草が生え、餌となる虫が多い場所。

深い森というより、人家もある平地で見られることが多いようです。

昼夜、真夏・真冬を問わず動くので、時間・季節も関係ありません。

これだけだと見つけやすそう。

しかし、見つけるのは至難の業でしょう。

なにしろ、100年で捕獲例が50匹ほど。

サイズは虫並みで、動きは俊敏。

草地では姿は見えないし、足元にいてもわかるかどうか。

ペットにすればいつでも見られますが、それも難しいのです。

ペットにできるのか?

捕獲数が少ないトウキョウトガリネズミは、
もちろんペットショップで売っていません。

運良く捕獲できても、許可なく飼育はできない。

飼育できたとしても、世話がまた大変なのです。

トウキョウトガリネズミの寿命は約1年。

飼育下でも2年ほどです

駆け抜けるような人生は、とにかく忙しい。

トウキョウトガリネズミは30分~2時間のサイクルで、睡眠と食事を繰り返します。

ミミズやクモ、バッタ類など食べる。

食って寝、食って寝のリピート。

ちょっと羨ましいけど、トウキョウトガリネズミは2時間食べないと餓死するといわれています。

新陳代謝が超早いのです。

人間の一週間が、トガリネズミの2時間って感じ。

「時は加速する!」メイド・イン・ヘブン状態。

だから、常に動いていなければならない。

研究者も捕獲の罠をまめに確認します。

2時間以上放置しておくと、死んじゃうんですから。

当然、餌も頻繁に与えないとダメ。

トウキョウトガリネズミを飼うなら、飼い主も休む暇がない。

個人レベルではとても面倒は見られません。

トウキョウトガリネズミは毒も持っています。

そこまで危険な毒ではないですが、扱いも注意が必要。

ペットにするには向いていない動物なのです。

未だ生態にも謎が多く、繁殖とか、餌のない冬はどうしているとか、わからないことばかり。

何の縁もない「東京」の名をつけられる始末。

まあ、そんな間違いも忙しいトウキョウトガリネズミは気にする余裕もなさそうです。

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まとめ

トウキョウトガリネズミは日本一のミニマム哺乳類。

指先ほどの小さい体で、広い北海道のどこかを今日も動き回っています。

見つけるのも、飼うのも難しいでしょう。

確実に見たいなら多摩動物園ですね。

繁殖もさせているので、そのうち生態も詳しくわかると思うのです。

東京の動物園で生まれたトウキョウトガリネズミ。

それなら「東京」を名乗ってもいいかも。

だけど、頭に「東京」つけるとダサくなったように感じるのは僕だけだろうか?

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