キューバ、ハイチ、ドミニカにしかいない珍しい動物ソレノドン。
怪獣みたいな名前ですよね。
夜な夜な土を掘り起こし獲物を漁るプレデター。
ヘビのように咬みついて毒を注入します。
これだけだと「どんな不気味な動物なのか……」と思いませんか?
画像を探せばイメージ逆転。
「あら、かわいい!」なのです。
マイナーだけれど知っておきたいソレノドンを紹介しますよ!
かわいいけど毒使い。ソレノドンとは?
ソレノドンは珍獣ということでテレビに取り上げられることもあるようですが、やはりマイナー。
普通に暮らしていても知ることのない動物です。
まずはソレノドンがどんな動物なのか紹介しましょう!
長鼻とつぶらな瞳の大ネズミ
ソレノドンはモグラの仲間で、トガリネズミ目の哺乳類です。
大きさは30cm前後、体重は1kg弱ですが、50cmくらいに成長することも。
モグラの仲間では最大!
毛の生えていない17~25cmのネズミのような尻尾。
豆粒のような小さな目がアホっぽくてかわいい!
そしてとにかく目立つ長い鼻。
この鼻は柔らかく、稼働性があるので、狭い場所にこじ入れて獲物の探索もできる。
鼻で獲物を押さえたり、手のようにも使えちゃうんです。
昼間は隠れて、行動するのは夜。
餌は昆虫やカタツムリ、ミミズなどで、動物の死骸も食べます。
小さなカエルやトカゲ、果物に野菜となんでも食べるようなので、かなり食い意地は張っています。
採餌に役立つのは例の長い鼻と、鋭い鉤爪のある手足。
その爪で地中や節穴にいる虫も引きずりだせる。
そしてもうひとつの武器が毒です。
意外と獰猛。毒の唾液で獲物を麻痺させる!
ソレノドンは数少ない毒を持つ哺乳類のひとつ。
有毒の哺乳類としてはカモノハシが有名ですが、カモノハシは後肢の爪で引っかく毒爪タイプなのに対し、ソレノドンは毒牙。
正確には下顎第二門歯の基部にある毒腺から出した毒が混じった唾液です。
人間を殺すような猛毒ではありませんが、小さな相手なら麻痺させて、動かなくなってからゆっくりと味わうのです。
危ないので扱うときは手袋が必要です
かわいい、珍妙な姿に似合わず、気性は荒いといいます。
やんちゃでハリのない大きいハリネズミって感じでしょうか。
でも、絶滅危惧種でペットにはできません。
というか、ソレノドンは絶滅したと思われていたんですよ。
絶滅が覆された!しかし絶滅危惧種
ソレノドンは生きた化石と呼ばれる旧式哺乳類。
7.500万年ほど前にモグラ、ハリネズミから分離して、現在もほぼ変わっていない。
恐竜がいた時代からほぼ同じ姿とは進歩のない動物です。
このソレノドンはキューバのキューバソレノドンと、ハイチ・ドミニカのあるイスパニョーラ島のハイチソレノドンの2属しかいません。
キューバソレノドンは「アルミキ」とも呼ばれます
ところがキューバのアルミキは19世紀末には確認されなくなっていました。
「アルミキを見た」「捕獲した」という話はなかったこともないのですが、確かなものではなかったのです。
ソレノドンは貧弱哺乳類で、イヌやネコやマングースに捕食されてしまい、滅んでも不思議じゃない。
80年くらいソレノドン目撃が途絶えていたため「アルミキは絶滅した」とされていました。
ところが1970年代に、キューバでソレノドンが見つかったのです!
お前どこに隠れてたんだよ?って感じです。
シーラカンスやバーバリライオンのように「絶滅してなかったのか」と世界もビックリ。
研究で見えてきた新たな事実
といっても、ソレノドンが絶滅危惧種であるのは変わりません。
アルミキなどは再発見されてからも、数頭しか見かけられていないのです。
ハイチソレノドンにしても、1960年代頃まではいくつかの動物園にいたという記録があるだけで、今いる動物園は探せませんでした。
イスパニョーラ島の国立公園で出会えたら超ラッキー程度。
最近その保護と研究がやっと始まったというのが現状ですね。
日本でもなぜかソレノドン研究は活発で、思ったよりも長い鼻が使われていないこと、超音波を出しているらしいなど、生態もわかってきています。
雑食なのに、けっこう好き嫌いがあることもわかりました。
寿命は最長11年が確認されていますが、野生でどれくらいかはまだ不明。
ちなみにアルミキはキューバの切手や記念コインにもなっていて、絶滅の心配なキューバの固有種として広く認識されるのに一役買っているそうです。
いかにも「珍獣」と呼ばれるのに恥じない、奇妙なソレノドンですから、今後驚くような発見もあるかもしれません。
そのためにも研究が進むだけの個体数の増加に努力しないとならないのです。
まとめ
ソレノドンはアニメキャラみたいに滑稽な姿で人気が出そうな動物です。
でも有毒で、気の荒い性格なので、家庭用のペットになることは無理そう……かな。
しかし彼らの生存は脅かされており、絶滅回避は保護活動頼み。
全体数もどれくらいいるのかわかっていません。
それでも絶滅と思われたところからの復活は、さすが恐竜時代から生きているタフさも感じます。
ソレノドンの生息地が住みにくくならないことを祈りたいものです。
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