「カラスが鳴くと誰かが亡くなる」
カラスを不吉の象徴と思っている人もいるでしょう。
でも、カラスはしょっちゅう鳴いています。
その度に人が死んでたら、葬儀屋さんが追いつきません。
調べてみると、「カラス=不吉」には誤解があるようです。
むしろ、カラスは幸運を運ぶ鳥ともいえるのです。
身近にいる嫌な奴と思われがちなカラス。
その実像を知れば、見方が変わるかもしれませんよ。
カラスの鳴き声
どちらかといえば、カラスは嫌われ者。
その理由はいくつかあるでしょう。
・全身真っ黒な体
・ガァーガァーという鳴き声
・群れでいると怖い
・人間のゴミを漁る
・頭がよく、ずる賢そう
こんな感じでしょうか?
でも、これらはカラスの習性。
色が黒いと言われても、カラスは「Black Lives Matter!」と叫びたいでしょう。
集団になるのもそうだし、町のカラスなら人間の出したゴミはいい餌です。
鳴き声だって騒音目的で鳴いているわけじゃありません。
「カァー」を聞き分けよう!
カラスは頭のいい鳥。
当然、会話のバリエーションも増える。
その鳴き声は複雑です。
まず「カァー」が基本。
カァーーと長く、間隔をあけて鳴いていれば、仲間同士でコミュニケーションしています。
1~2回なら挨拶。
3~5回は警戒している。
それ以上は、リーダー格のカラスが「お前ら集まれ」などと命じていると考えられます。
カァカァと続けて鳴くのは敵に対して。
危険のステージが上がるほど、短く、がなるように鳴きます。
もちろん、これは大雑把な聞き分け方。
研究者は40ほどの鳴き方を確認しているのだそう。
まあ、美声とは言い難いカラスですが、
会話内容がわかるとちょっと親しめるかもしれません。
どうして夜に鳴く?
不吉を感じるのは、夜に鳴くことでしょうか。
鳥目のくせに夜間何をしているんだと訝しい。
カラスも昼行性で、夜はそれほど鳴きません。
夜に鳴くのは「ヤバい」っていう緊急事態。
または、思いがけない餌が見つかって「ヒャッホー」ってとき。
この辺、感情が感じられて微笑ましいですね。
現在は街の灯りがあるので、夜間もけっこう鳴くようです。
色や夜鳴きがあって、どうにも縁起が悪く思われる。
でも、カラスにそんな呪いがあるわけない。
むしろ、カラスは神の使いと捉えられるのです。
カラスは縁起のいい鳥だった!?
カラスは太陽に向かって飛ぶ習性があります。
太陽は神とされますから、カラスも神に近いといえる。
だから縁起がいい。
有名なのはサッカー日本代表チームのエンブレム「八咫烏(やたがらす)」でしょう。
三本足の八咫烏とは?
初代・神武天皇が東征の際。
熊野から大和へ向かう途中、敵のために難航を余儀なくされた。
今も秘境と呼ばれる“奈良の南”の辺りですね。
そこに現れたのが三本足の八咫烏。
アマテラスに遣わされ、神武の道案内をするのです。
サッカーでも「ゴールに導く」の意味があるらしい。
元は中国から伝わったもので、三本足には
・天・地・人の意
・人と神と自然の意
・3は太陽を表す
などと考えられています。
“3”は“sun”じゃないですよ
八咫烏は熊野大社のシンボルでもある。
神社で見るカラスは大吉だともいわれます。
神社のカラスは「歓迎」の意
街住みのカラスは、神社でもわりと見かける鳥。
せっかくのパワースポットも、カラスで台無しという気もします。
でも、カラスが神の使いなら話は変わる。
「あなたが歓迎されている」と解釈できます。
……というよりも、神社で生物に出会うこと自体が「福」とされるようです。
昆虫でも、ヘビやトカゲでもOK。
中でも、神の使いとされるカラスやヘビは超大吉です。
まあ縁起の良し悪しは、大半が思い込み。
神社でカラスを見ても「不吉」と思わず、
「ウェルカムされた」と思えば、気分も上向くんじゃないでしょうか。
これらは言い伝えのカラス。
実際のカラスがどんな鳥なのか知ることも大事です。
カラスをもっと知ろう!
カラスは高い知能で知られています。
人間と同じく色を見分けられ、人の顔なんかもよく覚えている。
道具も使うし、餌の入った箱を手順を踏んで開けられます。
つまり、「ああやって、こうやって」と、いくつかの行動を流れで考えられる。
ニワトリなんか3歩で忘れるというのに。
日本には7種のカラスがいます。
普段見かけるのは「ハシブトガラス」と「ハシボソガラス」でしょう。
カラスは世界で130種ほどいます
ハシブトとハシボソの見分け方
「ハシ」はくちばしのこと。
その太いのと、細いのが日本の二大カラスです。
どちらも体長は40cmくらい。
羽を開けば80cm~1m近くになる。
もちろん全身真っ黒だし、あまりカラスを近くで見ることもないでしょうから、ちょっと区別しにくい。
見分け方は
ハシブトガラス
- 都市部に多い
- 上のくちばしは丸みがあって太い
- 鳴き声は「カァー」
- 地上ではジャンプしながら移動することが多い
- やや攻撃的
ハシボソガラス
- 山や農耕地でよく見られる
- 上のくちばしはまっすぐで、細い
- 鳴き声は「ガァー」
- 地上では足を交互に出して移動することが多い
- 警戒心が強い
町のゴミ、農作物となんでも食べるので、害鳥となっています。
おまけに知能犯でもある。
IQの高いギャング集団みたいで、嫌われるのも仕方ないですね。
カラスには謎も多く、なかなか対策は難しい。
最後によく聞く疑問。
「カラスはあんなにいるのに、死骸を見ない」
その謎にも迫ってみましょう。
カラスの死骸はなぜ見ない?
どこにでもいるカラス。
野生では10~15年、飼育下では30年の寿命。
かなり長寿ですが、いつかは死にます。
街にいっぱいいるのだから、死んだカラスもよく見るはず。
でも、一度も見たことない人がほとんど。
このミステリーも、カラスの不吉度を上げていると思う。
ここにも誤解があります。
野生動物はみんな、死ぬときは見えない場所を求めます。
本能的に、人から見えない場所に移動するのです。
山だったり、自分の巣などで、こっそり命を終える。
事実、スズメやネズミの死骸だってそんなに見るわけじゃない。
カラスは街で襲われることもほぼないので、死骸も少ないのでしょう。
大きな鳥で、数も多い印象が強く、死んでいないのが不思議に思うだけです。
小動物の死骸は、
カラスが処理してることが多いんです
また、カラスは鳥には珍しく共食いをします。
生きた仲間は襲いませんが、死んだ仲間を食べる。
貪欲というより、僕は個人的に「カラスなりの供養」と感じているんですが。
それで、死骸も消えてしまう。
いつもは仕事の遅い行政も、カラスの死骸は縁起的にも悪いので、報告があればすぐに片づけてくれますし。
カラスは人と共に暮らし、人知れず消える。
この「近くて遠い」距離感がミステリアスで、不吉を倍増させているのかもしれません。
まとめ
身近なのに、謎多き鳥カラス。
「不吉」と「神の使い」、二つの顔を持っています。
たしかに嫌われ者。
でも、じっと観察してみると、動きも面白いし、人間臭くもある。
全身黒もちょっとカッコいい。
僕の経験ですが、「ようっ」とか挨拶すると「カァ」と答えてくれることもあります。
「カラスに挨拶ってボッチかよ!」と笑われてるのかもだけど。
鳴き方や、ハシブト・ハシボソの区別がわかれば、違った見方ができるんじゃないでしょうか?
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