子供の頃、大きなバッタを見たことありませんか?
ちょっと大きめじゃなく。
20㎝とか30㎝もある、あり得ないサイズのバッタ。
「そんなデカいバッタがいるか!」
と思うんだけど、目撃者はとても多い。
それも日本全国規模で。
中には捕まえて、しばらく飼っていたという人もいる。
だけど、日本最大のバッタでも10㎝以下。
いるはずがない巨大バッタを「見た」「捕まえた」人が、なぜたくさんいるのでしょう?
本当に巨大バッタがいる。
突然変異かなにかの。
だとすれば、未確認生物UMAだ!
それとも錯覚や勘違いなのか。
目撃された巨大虫がバッタに集中しているのも不思議。
なにかの「現象」なんでしょうか?
誰もが巨大バッタと遭遇する可能性があるのです。
巨大バッタは実在するのか?
昆虫は小さな生き物。
30㎝というのは規格外のサイズです。
でも、「30㎝もあるバッタを見た」人が大勢いる。
不思議と20~30㎝でだいたい一致している。

50㎝を見た人もいるとか
多数が同じものを見たとすれば、信憑性は増すはず。
本当にそんな大物バッタはいるんでしょうか?
バッタの最大値は?
世界一大きなバッタは「シタベニオオバッタ」。
中南米にいて、羽を広げると24㎝になります。
30㎝に近いぞ。
しかし、あくまで「羽を広げたら」。
頭から尻までは13㎝ほど。
日本最大は「ショウリョウバッタ」。
(ショウジョウバッタ、コメツキバッタなどとも呼ばれます)
メスが8~10㎝あり、触覚や長い後ろ脚も伸ばせば15㎝くらいになるでしょう。
どちらも大きいけれど、巨大バッタという感じはしません。
目撃はバッタ以外の虫かもしれません。
分類で「バッタ」と呼ばれるのは「バッタ」と、せいぜい「イナゴ」。
でも、キリギリスやクツワムシ、
あるいはカマドウマ辺りまで
「なんとなくバッタ」
で捉える人も少なくないと思うんです。
これらの種類にも大きいのがいます。
例えば、カマドウマの仲間「ジャイアントウェタ」。
ニュージーランドにいます。
「世界一重い昆虫」といわれ、体長は10㎝。
全体的に嵩があるので大きく見える。
20㎝級のバッタにも見えそう。
世界には手の平サイズの虫ならけっこういるのです。
とは言え、海外の大昆虫が日本に多くいる可能性は低い。
国産種の突然変異なのでしょうか?
虫はどこまで大きくなれる
そもそも昆虫は小型が身上です。
体の構造は外側が硬い外骨格。
これは甲冑を着ているようなもの。
大きくなれば甲冑も厚く、重くせざるを得ない。
そうすると動けなくなるからです。
古代には大きな昆虫もいましたが、現在は10㎝程度。
大きな個体でも15㎝は超えないでしょう。
ナナフシは細長く、30㎝を超える個体もあるけれど、これは特殊な例。
跳ぶバッタで30㎝は考えられません。
突然変異、巨大個体としても、大きすぎます。
つまり
「30㎝のバッタなどいるわけない」
が結論。
目撃者は「いないものを見ている」のです。
とすれば、原因は目撃者のほうにある。
巨大バッタについては、「不思議の国のアリス症候群」で一応の納得はされているようです。
錯覚説が有力だけど……
「不思議の国のアリス症候群」は知覚が狂う病気。
物が大きく見えたり、小さく見えたり。
時間が速く感じたり、遅く感じたり。
巨大バッタも「大きく見えた」だけと考えるわけです。
物が大きく見える!『不思議の国のアリス症候群』
不思議の国のアリス症候群は、EBウイルスに感染すると起こります。
ヘルペスの一種で、幼児期にはほとんどの人が感染するそうです。
ただ、発症は稀で、子供に症状が出やすい。
発症すると脳が炎症し、サイズ感が狂う。
巨大バッタの話は、多くが思い出話。
「子供の頃……」「小学生の時……」と始まるパターン。
EBウイルスで知覚がおかしくなっているタイミングで、バッタを見て大きく感じただけ。
これは目撃が発症しやすい年頃に集中しているし、筋が通ります。
僕も子供時代は自分がビッグな男だと疑ってもいませんでした。

それは違うビョーキだぞ
不思議の国のアリス症候群は一時的に症状が出ることもある。
その後見なくなったというのにも合いますね。
巨大なクモ、ゴキブリなどの目撃もあるのですが、「物が大きく見える」症状なら当然です。
巨大虫が数種類もいるより現実的と思う。
証言のほとんどが20~30㎝というのも面白い。
これって、子供が使う物差しのサイズじゃないでしょうか。
学校で使う定規とか。
子供にとって具体的に大きさがわかるサイズが20~30㎝だから、「そのくらいに見えた」と感じるのかもしれません。
でも、不思議の国のアリス症候群で全解決なのでしょうか?
子供のスケールはあやふや
証言には「複数人で見た」というのもあります。
全員が同じタイミングで感染・発症していた?
これは偶然が過ぎます。
これは「集団ヒステリー」に近いものかもしれません。
誰かが「デカいバッタがいる」と言う。
「本当にデカいデカい!」
「30㎝もあるんじゃないか」
盛り上がっているうちに、本当に30㎝もあるバッタを見たような気になる。
間違った記憶が共有されるパターンです。
特に子供の感覚はけっこう曖昧。
僕も幼少期、普段見慣れた3㎝ほどのバッタではなく、6㎝もあるトノサマバッタを見たときは、物凄く大きく感じたものでした。
それが数十メートルも飛ぶんですよ。
「鳥のような大バッタだ!」と興奮したものです。
思い出補正というか、大袈裟に記憶していたり。
そうやって実物以上の大きさで認識しちゃうことって、割とあるんじゃありませんか?

バッタ類は「直翅目」と呼ばれます。
羽根がまっすぐ後ろに伸びて、尻よりもはみ出しているのもいる。
そして長い後ろ脚。
体長以上に大きく見える種類の昆虫といえる。
増してや子供なら、目測が狂うなんて日常茶飯事でしょう。
巨大バッタはこうして目撃されると思うのです。
ただ、「飼っていた」「捕まえた」となると、錯覚では片づけられない。
こちらの原因はわかりません。
それらの記憶も混乱しているのか。
30㎝は大袈裟でも、世界の巨大昆虫に負けない、大きな個体がいたのか。
「子供の記憶」とバカにするのは簡単。
ですが、大バッタを完全に否定することはできない気もするのです。
まとめ
なぜかよく聞く巨大バッタの話。
そのほとんどは子供の頃の思い出です。
実物が確認されたことはない。
ネットにある巨大バッタの画像はフェイクでしょう。
やはり、錯覚。
あるいは病気による感覚の狂いで見た幻のようです。
世界がとても大きく見えた子供時代。
昆虫もすごく大きく感じていたんですが、今見ると意外と小さいんですよね~。
いろんなことにワクワクしていたから、大きく見えたのかな~。
虫が大きく見えるって、幸せだからなのかも。
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