河童ほど知られた妖怪も珍しいでしょう。
頭に皿、甲羅とくちばし、緑の体色はご存知の通り。
キュウリが好きで、怪力だけど皿が乾くと弱くなるといった生態も有名。
「でも実在しない架空の生き物だよね」
と思えば、目撃談やミイラ、足跡などの物的証拠もあったりする。
「河童は本当にいるのか?」の謎にたくさんの人が挑んでいます。
今回は河童の伝承、目撃事例を踏まえて、僕もその正体に迫ってみようと思います。
「河童を見た!」数々の目撃や痕跡があった!
河童についてはよく知られているので、説明はいらないでしょう。
それだけ話も多く、誰もが知っている“愛され妖怪”ってことかな。
昔話にも
「イタズラをして人間に凝らしめられた」
「人間に助けられて恩返しをした」
「切られた腕を返してくれと哀願にきた」
など、怖いようでユーモラスな面もある化物として描かれています。
芥川龍之介の『河童』も、河童の国の出来事を人間社会のカリカチュアとして描いていますね。
どこか人間臭いのが河童の愛される理由。
愛され過ぎた結果なのか、実際に河童を見たという事例も実に多い。
各地で目撃される河童たち
1984年、長崎県の対馬で仕事を終えた漁師が夜11時頃、川で遊ぶ数人の子供たちを目撃。
「こんな夜更けまで釣りでもしてるのか」と近づくと、それがヌメヌメした青黒い皮膚で、異様に手の長い化物。
その子供たちは川に飛び込んで見えなくなったといいます。
翌朝確かめに行くと、近くの道路に20cmくらいのオタマジャクシ型の足跡がいくつもついていた。
1991年、宮崎県西都市の民家に侵入した何者かの足跡が見つかった。
5本の爪がある足跡で、大きさは7cmくらい。
川の水と成分の近いオレンジ色の粘着性物質もあちこちに付着していた。
野生動物のものとは思えず、「河童ではないか」と騒動になる。
河童伝説がある地域だそうです
山口県の水産大学で警備員が研究用の池で水しぶきの音を聞いた。
近づいて懐中電灯で照らすと、奇怪な生物が逃走。
濡れたような皮膚、細い腕、水かきのついた指、大きな頭と目玉だったそうだ。
奄美のケンムン、沖縄のキジムナーも河童系の妖怪です。
数十年前まではよく見られたらしいですね。
ただ、河童よりも妖怪じみていて、「見える人と見えない人がいる」とか「火の玉を伴って現れる」というような超常現象に近いみたい。
全国各地に河童の全体のミイラ、腕のミイラなるものが多く存在します。
昭和初期の頃まで、河童目撃の話は数多く、全国的に見られます。
これらの真偽は少々怪しく、河童実在の決定打にはなりません。
どれもどことなく曖昧な事例に思えますが、河童がリアル生物の印象が強い妖怪なのは間違いないようです。
実在するUMAと捉え、その正体にもいろいろな説があります。
河童の正体。未知動物?宇宙人?恐竜説まで!
河童は一般的に「水、川に対する恐怖や自然崇拝から、水の精霊の概念が生まれ、それが具現化したもの」と説明されます。
日本書紀にも「河伯」という水の魔物があり、これが河童の原型です。
妖怪と精霊についてはこちらに詳しく書いていますよ!
しかし、河童の妙なリアリティは多くの人を魅了し、その正体についても多様な意見が展開されているんです。
提唱されている説の主だったものを上げていきましょう。
動物の誤認説
カメ、カワウソ(現在は絶滅)、外来種のヌートリア、オオサンショウウオなど、川の動物を見間違ったというもの。
無難な意見ですが、いくつかの目撃はこれで片がつきそうかな~と思いますね。
特にカワウソ、オオサンショウウオは大きさの点でも、河童伝説の基になっているのではないでしょうか?
水死体説
河童=ドザエモンという説。
四次元ポケットを持ってるやつじゃないですよ
川を流れる水死体、あるいは奇形を持って生まれた赤ん坊を川に捨てたという悲しい話も。
水死は体も膨らみ、原型とはだいぶ変わってしまうことがあり、これが河童に見えたのかも。
宣教師説
河童といえば頭の皿。
ぶっちゃけ「てっぺんハゲ」。
といえば、フランシスコ・ザビエルなどの宣教師を思い浮かべる人も多いはず。
あの髪型は「トンヌラ」っていいます
宣教師が迫害されていた時代に、隠れていたところを時々目撃され、河童伝説を補完した可能性はある。
とはいえ、てっぺんハゲという1つの特徴に全賭けしたような暴論にも思えます。
恐竜説
「恐竜が絶滅しなかったら」という仮定で想像された、人間のように進化した爬虫類人が河童の容姿と似ていたことから提唱されました。
緑色のぬめった体、背中の甲羅などは爬虫類の特徴と一致しますが、ちょっと無理やりな気がしますね。
宇宙人説
華奢な体や、長い腕が河童に思えるグレイと呼ばれる宇宙人。
イメージはたしかに近いんですが、なんで宇宙人がわざわざ地球の川で泳いでいるのかは不明?
まあ、あのデカい頭を陸上でスレンダーな体が支えているとは思えないし、水中のほうが楽そうではありますが……。
未知生物説
陸にも上がれる、二足歩行できる水生の未知生物という説です。
河童をUMAと考えるなら、一番候補ですね。
ただ、そんな生物がいるのか?
いたとして、未だ見つからないことがあり得るのか?
ここまで面白い説が並ぶのも河童らしいのかもしれません。
河童という生物はあまり考えられませんので、やはり伝承と既知生物の誤認の合わせて一本が信憑性高いかなと思います。
意外とその既知動物とは、人間ではないかという気も僕はするのです。
河童は人間!?見知らぬよそ者との遭遇
昔は山岳部にも人が暮らしていました。
人里から離れ、山の恵みだけで生活していた集落もあったでしょう。
日本でも昭和30年代まで「サンカ」と呼ばれる山の民がいました。
戸籍にもなく、山間部を移動し、時々人里で物を売ったり、農繁期に手伝ってお金をもらったりして、独自の暮らしをしていた人々です。
現代では信じられませんが、そういう山人というような人々がいたんです。
東京タワーが建ち、新幹線が走り、
初回の東京オリンピックが開かれた頃までですよ!
そんな山の民が移動に川を使ったことは考えられないでしょうか?
山岳地の移動は沢伝いに行うのが常套手段。
日に灼けて肌は浅黒く、髪はざんばら。
栄養状態も悪く、痩せて、目だけがギョロリとしているストレンジャーです。
そんな人間が川を簡素な船や、泳いで利用していたら……。
河童のイメージにずいぶん近いと思いませんか?
背中の蓑が甲羅に見えたり、濡れた髪の上部が光って皿に見えることもあるでしょう。
もしかしたら里の子供と相撲をとって、山育ちの怪力を披露したかもしれない。
朴訥な素朴さで、河童らしい愛嬌も振りまいていたかも。
カワウソやサンショウウオにこんな芸当はできないですよね。
集落同士の交流が少なかった時代、別コミュニティから来た人間・集団は、興味と恐怖と好奇の対象だったことは想像に難くありません。
風習や文化が違い、見た目も変わっていれば、妖怪のような存在だと思いませんか?
僕的には「河童はよそ者の人間」と思えるのです。
こんな空想遊びに耽るのも、河童が妙に実在的で、愛すべきキャラだからなんでしょうね。
まとめ
現在も河童の目撃はありますが、はっきりしない。
ネット動画で「河童を撮った」というのも嘘くさいのばかり。
やはり河童は水神のようなもので、新種の生物である可能性は低いでしょう。
日本は山と川の国。
山の集落に暮らす民と、川が身近にあることで生まれた妖怪伝承がミックスされ、河童を現実世界に登場させたのだというのが僕の意見です。
河童がどんなUMAか研究するのは楽しいですが、むしろ日本古来のマスコットとして楽しみ、語り継いでゆくのが正しいのかもしれないですね。
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