ヒモムシ:世界最長の不気味生物は身近にいるぞ!

ヒモの画像 水生動物

「きっとあなたも嫌いになる」

僕が自信を持っておススメ?できる生物がヒモムシです。

知らなくても、どんな生き物かは想像できるでしょう。

ヒモのような生物。他には特徴もない。

それなのに「不気味」「気持ち悪い」

時々ネット動画で話題になり、視聴者を恐怖に陥れたりする。

単純なデザインながら、どんなクリーチャーよりも嫌悪感を覚える。

このヒモムシは珍しい生き物ではありません。

日本でもわりと見られます。

「キショいけど、ちょっと知りたい」

そんなヒモムシのお話です。

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ヒモムシってどんな生物

最初に「ヒモムシ」を定義しておきましょう。

実は、ミミズやヒルのような紐状の生き物――いわゆる「蠕虫」をまとめて「ヒモムシ」と呼ぶことがあります。

また、ヘビを「ヒモムシ」という場合もある。

これらは愛称のようなものです。

この記事で取り上げる「ヒモムシ」は、紐形動物門に属する「ヒモムシ」。

正式名が「ヒモムシ」という生物です。

ミミズやヒルは別な門なので、厳密にはヒモムシと違います。

「門」は生物分類の大きなカテゴリー。

魚から人間までが「脊索動物門」でまとめられているのに、紐形動物門はヒモムシ1100種だけで占められていますから、独特な生き物であるのがわかるでしょう。

ちなみにミミズやヒルは「環形動物門」。
環形のパイプのような胴体が連結して、長い体を作っている生物門です

  

とは言っても、ヒモムシはシンプルな生き物です。

基本は「紐のように細長い」

イモムシみたいのや、薄っぺらいスライスベーコンみたいな種もいます。

それがニョロニョロ動き、太くなったり細くなったりするんですよ。

想像するだけで寒気がするでしょ?

見た目ではわかりませんが、頭と尻がちゃんとある。

これはプラナリアよりは進化していて、ミミズよりはちょっと下等。

でも複雑な部分もあり、進化的な位置づけがはっきりしない生物でもあるんですよ。

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長く細く生きるヒモムシ

ヒモムシの多くは海にいます。

磯から4.000mの深海まで生息域は広い。

海水浴や潮干狩りで、細長い生き物を見たら、まずヒモムシです。

浜に打ち上げられた海藻についていることもあります。

アクアリウムのライブロックについていて、水槽で増えてパニクったなんて話もある。

見つけるコツは「注意深く見ること」。

というのは、ヒモムシはあまり目立ちません。

だいたいは長さ数cm~30cm以下で、太さは数mm。

「ゴミだと思ったらヒモムシ」ってことよくあります

でも、とんでもない巨大ヒモムシも存在します。

全長55m!クジラよりも長い!

大きなヒモムシは1~5m。

こんなサイズが海底を這っていたら、背筋が凍りますよ。

これで驚いてはいけません。

確認されたヒモムシの最長はなんと55m!

最大動物シロナガスクジラでも34mなのに、遥かにデカい。

もちろんギネス認定の世界最長生物です。

「ブートレースワーム」「リネウス・ロンギシムス」などと呼ばれるヒモムシで、通常でも30mあるんだとか。

しかし、太さは1cm以下。

とんでもなく長いだけ。

だから「世界最長」にはなれても「世界最大」とは呼ばれない。

ヒモムシは引っ張ると2倍くらいに伸びます

無駄に長いだけという無意味な生き物でもあるんです。

長い口吻

ヒモムシはほとんどが海生で、淡水と陸にもわずかに生息。

どの種もうねうねと這いまわり、餌を捕食します。

この捕食がエグい。

ヒモムシは長い吻を持っていて、獲物をからめとって飲み込むのです。

だけど、ヒモムシの細さは数mm。

獲物のほとんどはヒモムシの直径を超える。

そんな生き物をどんどん包んで飲み込みます。

セーターの袖を無理やり広げて頭を入れるようなイメージ。

吻に毒針も持つ種もいて、ヒモムシは有針綱・無針綱と分けられています。

興味のある方はこちらをどうぞ。

サムネイルがすでに閲覧注意レベルなんですが……。

ALIEN WORM SHOOTS GOOEY WEB

人間にはなんの害もありません。

ただただ気色悪いだけです。

できればお会いしたくないのですが、ヒモムシは勢力を拡大しています

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ヒモムシ被害と驚異の再生能力

小笠原諸島では外来種の陸生ヒモムシが、繁殖しています。

そのせいで固有種のワラジムシやヨコエビが絶滅したそうです。

また韓国や台湾ではヒモムシが大量発生し、人々を震撼させているとか。

実は東アジアはヒモムシが多い地域。

その恐怖が日本に及んでも不思議はありません。

一方で、ヒモムシが人類の未来を変える可能性もあります。

再生能力がとにかく高いのです。

頭から尻尾が生えて再生するのは当たり前。

尻尾から複雑な頭を再生できる種もいます。

あるヒモムシは全身の2000分の1の部位からでも復活します。

人間で言えば、小指一本からでも元に戻れる感じ。

「だけど下等な生物なら珍しくないでしょう」と思いましたか?

たしかにプラナリアなど、頭を作れちゃう生物はいます。

しかし、再生能力は種が分化してゆくに連れ、失われるのが通説。

ところが、比較的最近……まあ、2000万年くらいなんですが、新しく分化したヒモムシの一部にも高い再生能力が見られる。

ということは、失われかけていた能力を、先祖から受け継いだのではなく、新たに獲得したと考えられるのです。

このプロセスが解明できれば、医学に革命が起こるはず。

筋肉から神経、脳まで再生できたらほとんど不死身ですよ!

……ですが、前途は多難。

ヒモムシ自体がかなり不思議な生き物ですからね。

その再生能力が、人間ほどの複雑な生物で発揮できるかも不明です。

むしろ今は、被害のほうを先に解決しないとです。

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まとめ

ヒモムシはまさに「生きる紐」。

目立たなくても意外にどこにでもいる生物です。

海藻の切れっ端かと思って触れると、動き出して驚くこともある。

不気味なだけで害はない。

手に乗せても、特に感触もありません。

海で見つけたら、引っ張ったりして遊んでみるのもいいでしょう。

切れちゃっても再生するので罪悪感もない。

最長で50m以上ってのもスゴイですが、近海でも1~2mのものが見られることがあります。

さすがにそんな大きいのは触りたくないですが。

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