「頑張らなくていいんだよ」
そんな時代におススメのペットはナマケモノ。
「怠け者」というストレートなヘイトネームをつけられた、
頑張らない動物の代表。
生けるスローライフですよ。
生態も興味深いナマケモノですが、飼育も可能。
でも、ちょっと疑問に思いませんか?
ナマケモノ飼育の難易度。
放置しとけばいい楽なペットに思える。
しかし、かなり特殊な動物ですし、飼育は難しい気もします。
まあ、珍ペットとしては自慢できますね。
ナマケモノとの暮らしですよ。
のんびりと癒されることは間違いなし。
今回はナマケモノの生態を勉強し、
気になる餌や排泄、販売価格など飼育法を紹介します。
ナマケモノの種類と生態
ナマケモノは2種類います。
前足の爪が3本のミユビナマケモノ。
前足の爪が2本のフタユビナマケモノ。
わかりやすいですね。
後ろ足の爪はどちらも3本
ともに南米に生息し、
ミユビは短い尾があり温厚、
フタユビはミユビよりやや活動的で、尾はほとんど見えません。
活動的といってもナマケモノレベルですが。
どちらも大きさ60cm前後ですから、乳児くらいです。
ちなみにご先祖のメガテリウムは8mもあり、1万年前に絶滅しました。
飼育できるのはフタユビナマケモノ。
ミユビはワシントン条約で日本に輸入できません。
飼育を考える前に、生態を知っておきましょう。
動かないという戦略
ナマケモノはとにかく動きません。
ほとんど木にぶら下がって暮らしています。
寝るのも、交尾も、その格好。
週に一度ほど、排泄のために木を下ります。
モノグサのくせに、妙なところはきっちりしてる。
動く速さは驚きの時速16m。
キロじゃなく、16メートルですよ。
人間の歩行を時速4kmとすれば、250分の1というトロくささ。
これはナマケモノの生存に大きく関係しています。
ろくに武器を持たないナマケモノは「捕食者に見つかったら終わり」。
長い爪はぶら下がり用です。
木や岩のように動かず、目につかないようにするしかない。
そのため、ナマケモノは不動で生きる進化をしてきました。
すべてが超節約仕様
ナマケモノは哺乳類なのに変温動物。
ヘビやカエルみたいに体温が気温任せです。
意外とエネルギーを食う体温調節を捨てたのです。
筋肉はほとんどなし。
だからぶら下がるしかなく、動きもトロい。
食事もほとんど摂りません。
飼育の場合、1日に与える餌の量は8gといわれています。
バナナ一本で約10日分と考えれば、少なさがわかりやすいですかね。
たったそれだけ。
排泄も週一で済むわけです。
昔は食事しているのが確認できず、
「風を食っている」と思われてたほど。
仙人じゃないんですから
そんなふうに一日の大半を寝て過ごし、10~20年生きるのだそうです。
こんなにもエコな動物になら、
環境保護を訴えられても納得しちゃうんですが。
どうです?
餌も少量、トイレの心配ほぼなし、散歩なんてしないし、文句も言わない。
ずいぶん楽なペットになりそうですよね。
その飼育はどうするのでしょうか。
意外!ナマケモノは飼育しやすい!
生態がわかれば、次は飼育法です。
動かない、動きたくないナマケモノですから、
やってやることも少ないんです。
餌とトイレ
ナマケモノは雑食。
人間の食べ物を与えることができます。
果物(リンゴ、バナナなど)、
野菜(キュウリ、キャベツ、ホウレンソウなど)、
ソーセージなどもOK。
量は前項で書いたように一日8gが目安。
小さく切って、直接口に入れてあげましょう。
最初は食べなくても、食べられると覚えれば食べてくれます。
木にぶら下げておけば、
掴んで食べる行動が見られるかもしれません。
水分も餌だけでじゅうぶん。
ナマケモノは木の根元に排泄する習性があります。
つまり、そこに砂のトイレを置いておけば、勝手にしてくれる。
間隔は一週間……20日もしないことがあるほど。
トイレ掃除も楽ちんです。
温和で無臭、人にも懐く
臭くないのもナマケモノの特徴。
汗をかくタイプじゃないし、
捕食者に見つからないためには臭いは禁物ですからね。
自然界では体に苔が生えたり、
体毛に蛾の幼虫が寄生しているのですが、
飼育ではその心配もありません。
でも虫はつきやすいので、たまにお風呂してあげましょう。
抵抗はしませんから、
ネコの入浴のようなハードな作業にはなりませんよ。
また、あまり鳴かないことも嬉しいですね。
声は出しても、近所迷惑になるほどじゃない。
性格も温和で、人にも懐くのだそうです。
抱っこしてやると、嬉しそうにします。
こちらはちょっと鳴いてるナマケモノの赤ちゃん。
もう弱っちくてたまりません。
……と、ここまではナマケモノ飼育のメリット。
特殊な動物には、特殊な飼育環境が必要です。
飼育にかかる費用
ナマケモノはあらゆることを自然に頼って生きています。
変温動物なのも熱帯だからできること。
日本の家で飼うのなら、熱帯を作ることになります。
ナマケモノ飼育に必要なもの
・温度30℃、湿度70%の部屋
・ぶら下がる場所
これがナマケモノの快適空間。
家に熱帯植物園でも併設できたら完璧なんですが……。
ナマケモノを飼うなら、
飼育室を暖房と加湿器で高温多湿にしておかないといけません。
そこに上り下りできる木、柱、などを設置するのです。
場所、光熱費はそれなりの出費でしょう。
この環境が崩れると、ナマケモノは餓死します。
ナマケモノは環境が燃料。
餌を与えていても、消化するエネルギーを得られずに、死んでしまうのです。
ぶら下がれないとストレスも溜まる。
デリケート過ぎるだろう!
ナマケモノの価格・病院代
加えて、ナマケモノ一匹を購入するのに100万円。
安い店もありますが、高額なのは仕方ない。
扱っている店舗も少ないのです。
一緒に遊べないのも残念なところ。
ナマケモノはちょっと動くと過労死です。
とことん貧弱な動物ですね。
病気にもかかりやすく、
その場合ナマケモノが診られる獣医も少ない。
特殊な分、当然治療費も覚悟が必要。
最近はペットに関する保険もあるので、利用するのも手です。
その辺も考えておくべきでしょう。
ナマケモノを飼うなら、
これらのメリット・デメリットを検討してください。
飼育そのものは難しくありません。
なにより、ナマケモノと一緒に暮らすスタイル。
魅力的だと思うんですが。
まとめ
ナマケモノは手間の少ないペットです。
長い進化で培った「やる気のなさ」が、
忙しい現代人を癒す動物といえるでしょう。
頑張らないなりに頑張っているのがとにかく可愛い!
おススメできるペットですよ。
初期費用はやはりお高い。
高い壁ですが、超えればしめたもの。
環境さえ問題なければ、ナマケモノは元気でいてくれます。
餌代もほぼかからず、元が取れると思えばいい。
僕もナマケモノと一緒にダラダラしたいです。
コメント