最近、天使や妖精を飼う人が増えているんだとか。
……というと、僕がなんかアブない人みたいですね。
「流氷の天使」「氷の妖精」と呼ばれるクリオネが飼育できるのです。
クリオネの模型がフワフワ漂うおもちゃのアクアリウムもありますが、生きたクリオネも飼える。
「飼うの難しいんでしょ」と思いますか?
ぶっちゃけ、たまに海水を交換するくらいでしょうか。
悪くいうと、「観賞用の使い捨て」みたいな飼育になります。
面倒というほどじゃないけれど、長生きさせるには気も遣うって感じですね。
上手なクリオネ飼育についてまとめました。
クリオネってどんな生き物なの?
「クリオネ」で定着していますが、正式和名は「ハダカカメガイ」。
漢字で「裸亀貝」です。
漢字にするとHな気がするのは僕だけだろうか
亀と貝って、防備しているのが肝なのに、それを脱いで裸になってしまったんですね。
もともとは巻貝で、幼体は殻も持っているのですが、成長すると殻が消えて裸になります。
殻のないカタツムリ、つまりナメクジに近い。
まあロマンのために、この辺の事実は忘れてください。
捕食が怖い!頭が割れるバッカルコーン
クリオネは、角が生えた頭、胴体と、羽のようなヒレ(翼足)が特徴。
日本ではオホーツク海のが有名ですが、冷たい海域ならどこにでもいます。
かなりお手軽な妖精ですね。
この頭は「バッカルコーン(口円錐)」と呼ばれます。
捕食のとき、頭が割れて6本の触手を伸ばすのです。
これが悪魔的だと話題になり、今ではよく知られているでしょう。
動画だとわかりやすいです。
ただし、クリオネはほとんど捕食しません。
飼育していても、見られることはあまりないと思います。
天使だの妖精だのが台無しですが、見られれば幸運なのかもしれません。
クリオネグループは5種類!お店で買えます!
実はオホーツクのハダカカメガイ以外にもクリオネがいます。
ハダカカメガイの仲間は5種類いて、全部クリオネなのです。
10cmもある北極海のダイオウハダカカメガイ。
南極海のナンキョクハダカカメガイ。
オホーツク海にいる全身赤っぽい、太めのダルマハダカカメガイ。
2017年に富山湾で発見された新種。
みんなクリオネと呼ばれ、飼育もできます。
クリオネは「海の女神」という意味
でも、手に入れやすいのはやはりオホーツク産。
大きさは1~3cmで、可愛らしい。
近頃ではペットショップはもちろん、魚屋さんで売っていたり、パチンコの景品にまでされているらしい。
1匹1.000円くらい。(パチンコだと500玉くらいなのかな)
どこまでも安っぽい天使・妖精です。
手に入れたとして、飼育はどうすればいいのでしょうか?
餌は不要?クリオネは放置系ペットだった!
クリオネは飼育が簡単です。
「ビン詰して、冷蔵庫に入れておく」
飼育法が一行で済むのもクリオネくらいでしょう。
クリオネはイヌやネコのような「かまってあげるペット」ではありません。
ほぼ放置系ペットです。
餌がなくても長期間生きられる!
「餌はどうするの?」って思いますよね。
クリオネは主にミジンウキマイマイを餌にしています。
また、わけのわからないものが出てきたと思わないでくださいね。
ミジンウキマイマイはクリオネの近種。
「リマキナ」ともいいます。
やはり巻貝ですが、こちらはちゃんと殻がある。
その殻に羽が生えたような、なんともファンタジックな生物です。
まだ知名度は低いものの、ミジンウキマイマイもクリオネに次ぐ流氷界のスターになれそうな資質があるんですよ!
で、このミジンウキマイマイが手に入れにくい。
海で水を汲んでくれば、その中に混じっているというものでもない。
なので、クリオネにも餌がやれないのです。
クリオネは「買ったら、そのまま餓死するまで育てる」という飼育になります。
可哀想な気もしますかね?
でも、そんな同情はしなくても大丈夫。
クリオネはかなりタフな生き物。
ミジンウキマイマイが入手しにくいってことは、クリオネは自然界でもそうそう餌にありつけないってこと。
「採餌は一生に一度しかしない」といわれるくらい。
クリオネの寿命は2年ほどと考えられていますが、餌がなくても普通で半年~1年。
上手くいけば2年近くも生きるのだそうです。
クリオネはカタツムリやナメクジの仲間なので雌雄同体。
2匹飼っているとオスメスになって、運が良ければ産卵が見られるかもしれません。
でも、これは基本的な飼育法というだけで、生き物ですから世話も少しはしなきゃなのです。
では、次は具体的な手入れ方法です。
海水の交換の仕方は?お手入れが長生きの秘訣
クリオネはビンに密封して、冷蔵庫の中で飼育します。
ペットボトルでもOK。
冷蔵庫に入れて邪魔にならず、観察しやすい蓋のできる透明の容器ならなんでもいいんです。
流氷の天使ですから暑さは苦手。
0℃くらいの環境に置いてあげるのです。
海水は0℃でも凍りません
密封するのは菌の繁殖を防ぐためで、クリオネはビンの中の餌と酸素だけで生きてゆくことになります。
クリオネ飼育水槽みたいな特殊なキットもありますが、かなりお高い。
水換えの注意点と掃除
海水を交換するのは月に一度か二度でじゅうぶんでしょう。
海で汲んできても、人工海水でも構いません。
クリオネ専用の海水もペットショップで売っていることがあります。
プランクトンなどが混じっている海の水のほうが、クリオネは長生きする傾向はあるようです。
このとき、排泄物もスポイトなどで取り除きます。
餌も食ってないのに、何を排泄してるんだろうと思うんだけど。
この排泄物が増えると、クリオネの皮膚に着いたりして呼吸困難になるんですよ。
交換は3分の1くらいの量を目安に。
水温を冷やして合わせることも忘れないでください。
5℃以上になると、クリオネが弱ってしまいます。
交換時に空気も含ませられるので、酸欠で死んじゃうこともないです。
暑いのは苦手。観賞はほどほどに
肝心なのは「冷蔵庫からなるべく出さないこと」。
「クリオネを眺めて癒された~い」と思うでしょうが、冷蔵庫以外では10分が限界と考えてください。
真夏や暖房された冬なら5分にしときましょう
クリオネを長く見られるように、保冷しておけるグッズもあります。
僕は使ったことがないんですけど、商品説明では1~数時間置いておけると書いていました。
でも、なるべく冷蔵庫から出しておかないのが無難だと思います。
ずっと見たいのなら、おもちゃのアクアリウムで我慢することです。
まとめ
はたはたと羽ばたく姿が愛らしい反面、悪魔的なバッカルコーンも見せるクリオネ。
今や水族館で見るだけでなく、家でも飼えるペットになりました。
ただし、クリオネについてはわかっていないことも多い。
今回紹介した飼育法も一般的なもので、「こうすればいい」という最適な飼い方は不明です。
飼育しながら、独自にやり方を見つけてゆく楽しみもあるといえるでしょう。
水質と気温に注意すれば、クリオネは長く生きてくれます。
いろいろな発見ができるといいですね。
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