柴犬はオオカミに近い?犬の起源の謎は解けたのか?

柴犬の画像 ペット

犬はオオカミから進化しました。

オオカミの一部が家畜化。

その結果、犬になったと考えられています。

だから、どんな犬でもオオカミの血を受け継いでいるってわけです。

そこで「どの犬がオオカミに近いのだろう?」と調べてみたら……。

なんと「柴犬」が一番オオカミに近かったのです。

そう、あの柴犬。

日本を代表する犬種。

世界中の犬好きを魅了するジャパニーズドッグ。

その柴がどの犬よりもオオカミの血が濃いらしい。

……そうかな?って気もしませんか。

どう見てもハスキーとかシェパードのほうがウルフチックでしょう。

柴とかオオカミ要素むしろゼロに思えるんですが。

なんか柴って犬犬しい犬じゃありません?

「犬ってこれだよね」みたいなTheワンコと言うか……。

柴犬は本当にオオカミらしい犬なのか。

そんな犬がどうして日本にいるのかも不思議。

そこには柴犬誕生の経緯が関係しているらしいのです。

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DNAからわかった柴犬の秘密

人に最も身近な動物といえる犬族。

しかし、犬の起源は今も謎のままです。

オオカミから派生したのは間違いない。

ただ、そこから犬への成り立ちがさっぱりわからない。

まるで「今日から犬になるわ」と、姿から性格まで入れ替えたように、犬は登場します。

高校デビューみたいな感じ。

一般的な進化で説明がつかないのです。

その謎を解くにはDNAの解析が必要。

オオカミと犬の切り替え点がわかるかもしれない。

アメリカの大学が、5000頭ものいろいろな犬種の犬を調べました。

すると、日本の柴犬が一番オオカミっぽいと結果が出たのです。

ウルフライク遺伝子とは?

犬の遺伝子には4つの性質があります。

・WOLFLIKE(ウルフライク)
     オオカミらしさを決める遺伝子。

・HARDERS(ハーダーズ)
     群れる性質、社会性の理解力などの遺伝子。

・HUNTERS(ハンターズ)
     狩猟の性質の遺伝子。

・MASTIFFLIKE(マスチフライク)
     闘争心、勇敢さの遺伝子。

すべての犬は、各遺伝子を複合して持っています。

その割合によって性質が決まるわけです。

猟犬ならハンターズ寄り、闘犬ならマスチフライクが目立つ、というふうに。

ウルフライクが文字通りオオカミ要素のDNA。

このウルフライクの割合が柴犬は多かったということ。

遺伝子的に「柴犬がもっともオオカミに近い犬」となるのです。

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柴犬がオオカミに近い理由

犬の種類は国際畜犬連盟の公認で350種余り。

実際は800種はいると見られています。

とにかく多様性に富んだ動物ですね。

そのうち、日本犬と呼ばれるのは6種類。

古くからいる日本発祥の犬です。

日本犬6種は 柴犬、北海道犬、
秋田県、甲斐犬、紀州犬、四国犬

実は柴犬以外の日本犬もウルフライクは多め。

日本の犬は総じてオオカミの本能を残しています。

これは犬の歴史、柴犬の歴史が関係しています。

由緒正しき柴犬の血統

犬はアジアで誕生した説が有力です。

そこから広まっていったのですが、ヨーロッパでは交雑が進みます。

品種改良で人為的な掛け合わせもあった。

おかげで犬は多様化できたけれど、原始の犬からは離れてしまいます。

一方、アジアでは比較的純血が守られます。

ウルフライクの強い犬がそのまま残れる環境だったのです。

特に日本は島国。

外地から多種が混ざりにくく、原始犬DNAが受け継がれやすかった。

しかし、明治以降は外国犬も入ってきた。

病気も流行り、日本犬も絶滅寸前。

そこで保護する運動が起こります。

これが1920年頃。

全国から純日本犬と見られる犬を探し出し、その血統を守って残そうとしたのです。

その頃、島根県に「石(イシ)」という石州犬がいました。

世界遺産の銀山が有名な石見(いわみ)地方の日本犬です。

この「石」が純日本犬に近いということで、子孫繁栄に抜擢されたのです。

石は体も丈夫で、子作りも順調。

この石の子孫が柴犬となりました。

現在の柴犬は、みんな石の血筋なのです。

ウルフライクの強かった日本犬の「石」の血統である柴が、その遺伝子を引き継いでいるので、柴犬はオオカミに近い犬種になったというわけ。

柴は本当にオオカミに近い?

柴とオオカミには類似点も見られます。

柴には「タヌキ顔」と「キツネ顔」がある。

これは柴犬ファンにはお馴染みでしょう。

よく「カワイイ!」と見えるのはタヌキ顔のほう。

キツネ顔はもうちょっとオオカミっぽい。

額のふくらみからスッと伸びた鼻筋はオオカミらしく見えます。

顔が大きめなのも柴の愛嬌の理由ですが、オオカミも顔は大きめ。

柴は牙も大きく、これもオオカミの特徴です。

気分屋で頑固なのも柴犬。

忠誠心は強いのに、気が乗らないと平気で飼い主をスルーしたりする。

知らない相手には攻撃的。

この辺で柴犬は「飼いにくい」と言われる。

扱いにくいのはオオカミが残っているからとも言えます。

まあ個体差があって、完全に愛玩動物に成り下がったような隙だらけの柴も多いのですが、それでも野性味はけっこう残っているのではないかと思います。

柴犬は歴史や生態からも、ウルフライクが多いのは筋が通る。

では、柴犬はオオカミから分かれた「犬族の原種」なのでしょうか?

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柴犬から見える犬の起源

柴犬の画像

「犬の起源なんかわからん!」と匙を投げたのは進化論のダーウィン先生。

それほど犬は謎の動物です。

現在では

・たぶん4万~2万年前に――

・中東付近の西アジアか、中国付近の東アジアで――

・ハイイロオオカミから分岐した

と考えられています。

とすれば、犬族の始祖はアジアにいた「オオカミのような犬」でしょう。

DNAの調査では柴犬が「オオカミに近い犬」でした。

柴犬はその始祖と繋がりがあるかもしれません。

古代犬に思いを馳せる

前項に記したように、柴は石州犬イシの子孫。

柴犬の歴史は100年足らずです。

でも、「縄文柴犬」と呼ばれる種もいます。

今から7000~8000年前の縄文人は、化石から犬を飼っていたらしいことがわかる。

その縄文犬は現在の犬よりオオカミ要素が濃い。

犬の誕生が2万年前だとすれば、人に飼われ始めた初期の犬。

つまり、始祖に極めて近い犬でしょう。

その縄文犬の特徴が強く見られる柴が「縄文柴犬」です。

こう考えると、初期の犬である縄文犬の血が、現代の柴犬に引き継がれていて、犬全体のモデルタイプになっているようにも思えるんですが。

始祖の巨人みたいに

そこまで簡単ではないようです。

犬はとにかく交雑が盛んです。

いろいろな犬種が混ざり合い、血統がとても複雑。

中にはオオカミとの交配もあったはずです。

だから、ダーウィンを悩ませ、今も起源がはっきりしない。

柴犬が古いタイプなのは確かですが、起源となっている可能性は低いでしょう。

あくまでウルフライクが濃い犬種にすぎないのです。

それでも「古代犬」らしさは感じられそうに思えます。

柴を見たら「初期の犬もこんな感じだったのかなぁ」と想像するだけでも楽しいんじゃないでしょうか。

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まとめ

DNA的にオオカミに近い柴犬。

多様化した洋犬と違い、原始の犬の血が濃い日本犬だからこそでした。

たしかに柴犬は堂々として、気も強そう。

オオカミの性質を感じられます。

ちょっと偏屈で飼いにくいのが玉にキズ。

それもオオカミらしさなのでしょう。

きっと始祖の犬も、最初は人に慣れず、気まぐれだったと思う。

手を焼きながら、忍耐強く躾けて、現在の犬となったのです。

柴はそんな血を受け継いだ犬種。

「世話のかかる子は可愛い」の心理で、柴犬のオオカミっぽさが愛される理由なのかもしれません。

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