あなたは蛾が好きですか?
…………お好きな人はあまりいないでしょうね。
蝶はイメージがいいのに、蛾は人気がありません。
僕も部屋に蛾が入ってきたら、殺虫剤プシュ―です。
きっと蝶なら、優しく外に出してあげると思うんですが。
でも、美しい蛾だっているんです。
僕が好きなのはオオミズアオ。
大きくて、ちょっと怖いけど、とてもきれいな蛾なんです。
オオミズアオは最近「顔が可愛い」「モフモフしてる」とひっそりブレイク。
飼育したい人もいるんだとか。
今回はオオミズアオのいろいろを解説。
さらに他のきれいな蛾にも触れてみたいと思います。
オオミズアオってどんな蛾?
まず、オオミズアオの勉強をしましょう。
勉強ってほどのことはありません。
薄緑や水色で、ステルス戦闘機みたいな形の、でっかい蛾を見たら、たぶんそれがオオミズアオです。
羽を広げると10~12cm。
羽には黄色の小さい丸模様がポツンとあって、前翅の前方縁の赤いラインもエレガント。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki3.png)
「月の女神」とも呼ばれています
北海道から九州の、山でも住宅地でも見ることができます。
成虫が見られるのは初夏と真夏。
モフモフした胴体。
葉っぱ型のアンテナみたいな触覚。
これはヤママユガの特徴ですね。
わかりやすい蛾なのですが、オナガミズアオという近種もいます。
近種オナガミズアオとの違い
オナガミズアオもきれいな蛾です。
ただオオミズアオとの区別は難しい。
色、形、大きさ、羽模様がほとんど一緒なんです。
僕は、とまっている形が
「逆三角形(▼)ならオオミズアオ」
「上が尖った三角(▲)ならオナガミズアオ」
と割り切っているのですが、そう単純でもないようです。
オオミズアオは羽に丸みがあり、丸模様の形はいびつ。
対してオナガミズアオの羽の縁は鋭角で、丸模様は真円に近い。
赤いラインもオナガのほうがくっきりとしています。
とはいっても、微妙な違い。
見分けるのは大変だけど、なんとなく違いを覚えておけば、観察も楽しいですよね。
よく見たいのであれば、いっそ飼ってしまえばいいのです。
手乗りもするよ!オオミズアオの飼育
美しいオオミズアオは、人懐こいことでも受けがいいです。
成虫も幼虫も、手を出すと乗ってくる。
「手乗り蛾」です。
人懐こいのか、危機感がないのかは不明ですが。
毒はないので大丈夫です。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki1.png)
人によっては幼虫でかぶれることもあるかも
それで飼育する人もいる。
でも、成虫はすぐに死んでしまいます。
オオミズアオはカイコガと同じで、成虫の仕事は繁殖だけです。
成虫の寿命は1週間くらい。
餌も食べない。水も飲まない。
その間に交尾して、子孫を残すわけです。
餌やりもしなきゃ成虫を捕まえてきても、ただ閉じ込めただけじゃないですか。
「さあ子作りだ」ってところで邪魔されたら頭くるでしょ。
なので、僕個人としては幼虫を飼育し、羽化したら自然に還してあげる飼育をおススメします。
幼虫の捕獲と飼育法
「じゃあ幼虫はどこにいるの?」ですね。
幼虫が好むのはサクラ、ウメ、リンゴ、ブナなどです。
家庭の庭木にいることもあります。
わりとどこにでもいる。
オオミズアオの幼虫は「トゲトゲしたアオムシ」と思えばいい。
見た目怖そうですが、おとなしいです。
手乗りするから、捕まえるのも簡単。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki4.png)
トゲはちょっと痛いので注意!
桜の季節が終わった頃から見られるようになり、小さい時はヒョウ柄の毛虫って感じ。
大きくなるとトゲトゲしてきて、8cmくらいにもなります。
捕獲の際は、餌となる幼虫がいた樹木の葉も頂いておきましょう。
容器に幼虫と餌の葉を入れておけばいいだけです。
あとは時々、糞を片づけるとか、軽く霧吹きして乾燥を防ぐくらい。
大人の人指し指くらいになったら、サナギになるのも近い。
もちろんマユガですから繭も作りますよ。
夏には羽化するので、夏休みの自由研究にもピッタリ!
飼育すれば愛着も湧くし、蛾の面白さを再発見するかもしれません。
オオミズアオ以外にも美しい蛾は多いんですよ。
まだまだいるぞ!ビューティーモスの世界
蛾が苦手な人は多い。
あなたも「蛾はちょっと……」と嫌っていませんか?
蛾は「夜に飛ぶ、気持ち悪い蝶」みたいな印象。
でも、蛾と蝶を含む鱗翅目のグループでは9割が蛾です。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki1.png)
蝶は蛾から派生した少数派です
蝶より蛾のほうが圧倒的に多い!
きれいなヤツがいないわけがありません。
華やかな蝶に負けない蛾、ダークゴシックな蛾、ユニークな蛾……。
そんな美蛾が下の動画で一部紹介されていました。(BGMで笑っちゃった)
日本はきれいな蛾が多い
日本にいる蛾は約5,000種。
日本で見られるビューティーモスも少なくありません。
オオミズアオが属するヤママユガはどれも模様が凝っています。
八重山諸島のヨナグニサンもヤママユガ。
羽を広げると最大30cmにもなる、世界最大の蛾。
褐色の派手な羽で、一見の価値あり。
本州・四国・九州で見られるキンモンガなど、蝶にしか見えない蛾もいます。
キンモンガは珍しい「昼間飛ぶ蛾」。
下の画像がそうですが、蛾の特徴でもある「羽を広げたとまり方」なのがお分りでしょう。
知らなければ、アゲハ蝶の一種に見えますよね。
![キンモンガの画像](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/09/d7f5c6aae1015b6f6a439ec934654388_s.jpg)
蛾は蝶にも負けない魅力があるんです。
まずは嫌な印象を取っ払い、改めて観察してみましょう。
オオミズアオを発見したら、手に乗せてみてください。
苦手な蛾が、意外と「かわいぃ~」になるかもですよ。
まとめ
オオミズアオと、美しい蛾について紹介しました。
蝶はきゃぴきゃぴのアイドルって感じですが、蛾はシックな大人の女優というイメージ。
オオミズアオは分布が広く、出会うことも多いはずです。
しかし、数は確実に減っていると思う。
僕はもう何年も見ていません。
近種のオナガミズアオはちょっとヤバい準絶滅危惧種です。
せっかく街中でも見られるきれいな蛾なんですが……。
もし見つけても成虫の寿命はすぐ尽きるので、優しく扱ってやってくださいね。
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