アフリカに広く分布する【サバンナモンキー】。
黒顔で尾の長い1mほどの中型猿で、アフリカではよく見られます。
どうもパッとしない猿なんですが、実はなかなかの優れもの。
怖ろしい感染症の研究に欠かせず、言語の元を作った猿かもしれないのです。
つまり、人間はサバンナモンキーに支えられている!
けっこうスゴイ猿なんですよ。
ただ、この猿を見た人はみんな笑ってしまう。
「見ろよ、あの○○を」と必ず言ってしまう。
あまりにも目立つ「ナニ」が……。
笑っちゃうけどスゴイ猿サバンナモンキーを紹介します。
玉にしか目がいかない!サバンナモンキーとは?
サバンナモンキーはオナガザルの一属。
その名の通り、サバンナにいる猿です。
サバンナモンキー属は6種いて、
中でもベルベットモンキーとグリーンモンキーがよく知られます。
他は「ベール」「グリベット」「タンタルス」「マルブラウク」で、合計6種。
名前はきれいそうですよね。
でも露出した顔は黒く、頭頂から背中の毛は茶色っぽい。
どれも体長は50cmほどで、さらに50cmもの長い尻尾がある。
尾が30cmくらいのもいます
地味な猿なんですが、たった一箇所がカラフルで有名。
それは「チン」と「タマ」です。
青い玉袋なのはなぜか?
サバンナモンキーの陰嚢……袋ですが、見事なスカイブルー。
そこに可愛い?真っ赤な陰茎がポツン。
他者の道具を笑うのは失礼と思いつつ、つい吹き出してしまう。
動画でも撮影者はやっぱりクスクスしちゃうらしい。
しかし、これはサバンナモンキーのオスには重要なこと。
美しい金……いや青玉は健康な証拠であり、メスにモテるのですから。
サバンナモンキーの腹部の毛は白く、ヘソ下に鎮座する青と赤がとても目立ちます。
そのトリコロールは(色だけ見れば)とてもきれい。
でも、残念な感じは否めない。
そのスカイブルーですが、どうして青いのかはわかりません。
目的は「メスの気を惹く」なのですが、なぜ青く見えるのかが謎なのです。
おそらく、陰部周辺の体毛の密度とか皮膚構造で、青い光が反射されるではないかと。
アフリカでは青が映えるのかもしれません。
青い色を持つ哺乳類も珍しいですしね。
謎の青いアレを堂々と見せつけ歩き、メスを虜にする。
悪目立ちなんかじゃ決してない。
性器をアピールする意味
サバンナモンキーの群れは数十匹で構成され、メスが多い。
女性社会で、ボス以外のオスは群れを出て、別な群れに合流するか、メスをハントして新しいグループを作るしかない。
オスのお相手が複数になることも珍しくありません。
メスがたくさんいる群れで「モテたい」のは当然。
では、何をアピールすればいいか。
ストレートにイチモツを選ぶ。
サルには性器をアピールする種は多いのです。
「ふしだらな!」と思いますか?
たぶん、初期のヒトも同じことをしていたんだと僕は思う。
根源的な婚活ですね。
アダムとイブが禁断の実を食べてアソコを隠すようになったといいますが、それがサルからヒトになる転換期だったとも言えます。
創世期は奥が深い。
これもコミュニケーションなのでしょう。
「俺のモノを見せれば、言葉なんかいらねえぜ」って感じ。
口の上手いナンパ師が逃げ出す「漢(おとこ)らしさ」じゃありませんか!
ところがサバンナモンキーは「言葉を交わす」ことでも知られています。
言語の始まり?サバンナモンキーの会話
伝える言葉を持つのがヒト。
言語の発祥は諸説あるのですが、
サバンナモンキーが解き明かしてくれるかもしれません。
彼らは「警告」を出すのです。
警告が言語の起源?
サバンナモンキーの敵は、ヒョウ、猛禽、ヘビなど。
敵を発見した個体は、仲間にそれを教えるため声を出します。
それが敵によって使い分けられている。
ある発声では仲間はみんな木に登り、樹下のヒョウを探します。
別な発声では木を下り、頭上のタカやワシから身を隠すのです。
警告は、他の群れに対しても行われます。
近くにいる群れはいわばライバル。
縄張り争いでシノギを削る競争相手なはず。
しかし、「お前らの群れが狙われているぞ!」と教えてやる。
敵に塩を送るってやつでしょうか。
サバンナモンキーの繁栄は、こうした互助精神があったからかも。
「普段は敵だが、同族の危険は見過ごしておけないぜ」って感じ。
ナニが青くなければカッコいいんだが……。
サバンナの仁義なき戦い
サバンナモンキーは警告の音声から、さらに違うパターンの言語も生み出しています。
音を組み合わせて、意味を強調したりするのです。
また、顔の表情と体の動き(ポーズ)も多彩。
すべては解明されていませんが、高度なコミュニケーションを行っているのは明らかです。
しかし、高度というのは「ズルさ」にも繋がる。
群れ同士は同盟関係になることもあれば、味方と思っていた群れに騙されることもある。
サバンナモンキーの世界には「他者を利用する」概念があるのです。
人間世界に近い複雑さですよ。
その人間も、実はサバンナモンキーを利用しています。
ウイルス研究の功労者だった?
実験動物によく利用もされるサバンナモンキー。
サルだから人に近いし、数も多いという理由です。
それでもアフリカの砂漠化・都市化で数は減っている傾向
特にワクチンの開発には欠かせません。
ワクチンを作る際、ウイルスを培養するのに「Vero細胞」というのが使われます。
免疫機能がない細胞なので、ウイルスも増やし放題。
だから研究がしやすい。
このVero細胞はサバンナモンキーが由来。
サバンナモンキーのおかげで、ポリオや天然痘のワクチンができました。
ほとんどのウイルス研究で利用されるものですから、おそらく新型コロナ(COVID-19)の他、未来に現れるウイルスの開発にも使われることでしょう。
最近ではAIDSの研究にも一役買っています。
というのは、サバンナモンキーは猿のAIDS(SIV)にかかる。
このSIVが、人に感染するHIVとなり、AIDS症状を引き起こすようになったと考えられているわけです。
さらに、肥満や高血圧の研究のモデルにもなっているらしい。
現代人の健康な生活はサバンナモンキーに大きく依存している。
「青いタマタマの笑っちゃう猿」ですが、足を向けて寝られません。
まとめ
なんたってブルーの玉が目立ち過ぎるサバンナモンキー。
その外見は道化でも、やっていることはスゴイ!
言葉を操り、医療への貢献も多大です。
日本の動物園でもよく見られるはず。
アソコを笑う人がほとんどだと思いますが、実は「デキる猿」。
サバンナモンキーに出会ったら、心の中でちょっと感謝してあげましょう。
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