シャンハイ・ハナスッポン 絶滅に最も近い生物?復活できるか!

その他

カメはどこか「神感」のある生き物です。

特に東アジアではその傾向が強い。

「神の使い」のような扱いをされたりする。

その思想の元は、今回紹介する
「シャンハイ・ハナスッポン」かもしれません。

中国とベトナムの一部に生息する大スッポン。

寿命も長い。

なんだか人を超えたような「神性」を抱いてしまう。

それを崇める文化が生まれ、伝播したのではないでしょうか。

そんな伝説級のシャンハイ・ハナスッポン。

たいへん数が減っています。

絶滅間近と言ってもいい。

だけど、スッポンと言えば生命力溢れる生き物。

まだまだ、未発見のシャンハイ・ハナスッポンがいるかもしれません。

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文化に根差すシャンハイ・ハナスッポン

スッポンは漢字で「鼈」

「鼈甲(べっこう)」くらいでしか見かけない漢字ですね。

櫛や眼鏡フレームに使われる素材です。

「鼈」自体に「カメ」の意味があるんです。

ただ、古くはカメを「亀鼈(きべつ)」と呼びました。

甲羅の硬い「亀」と、甲羅の柔らかな「鼈」。

両方合わせてカメ類と、一応は区分されていたようです。

スッポンは英語でも「Soft shelled turtle」。

カメだけれど、「硬くない甲羅の変なカメ」。

それがスッポンの世界共通認識なのでしょう。

シャンハイ・ハナスッポンの特徴

その、変わった亀であるスッポン。

アジアでは食材や、精力剤でお馴染み。

スッポンという語感だけでエロスを感じるのは僕だけではないでしょう!(そうかな……?)

北米やアフリカにも仲間がいて、広く分布しています。

特徴は、甲羅が薄く、平らで、柔らかいこと。

いわゆる「亀甲」模様はない。

口吻が突き出している。

「雷が鳴っても放さない」という強力な
咬みつきで知られますが、歯はありません。

そして、大きくなる種が多いことです。

1m級もけっこういます。

シャンハイ・ハナスッポンもそのひとつ。

公式では最大記録が甲長109㎝。

非公式ではもっと大物がいたという話も。

頭も入れれば150㎝にも届く大鼈。

体重も100kg近く。

寿命も100年以上と考えられています。

ハナスッポンは一般スッポンの
亜種的な位置づけで、
口吻の尖りは目立ちません

中国、ベトナムの淡水に生息。

そんな大亀ですから、もう「ヌシ」のように神聖視されたでしょう。

言い伝えられる大スッポン

スッポンは歴史にも登場します。

有名なのは、ベトナムの英雄
黎利(れいり:ベトナム語でリ・ロイ)」の物語。

600年ほど昔。

北の明国(中国)の支配下にあったベトナム。

その圧政に抵抗したのが黎利でした。

しかし、明は強大国。

苦戦が続く黎利軍。

そんな時、彼は精霊から魔剣を受け取ります。

その名も「順天剣」。

最強剣を気前よくくれる精霊って、なろう漫画の神様に通じる「いい加減さ」を感じるが……。

とにかく剣のチカラで明を退けた黎利。

ベトナムを独立させたのです。

その後、精霊の使いであった
ホアンキエム湖の大スッポン
剣を返したといいます。

「ホアンキエム」は「還剣」の意

このスッポンがシャンハイ・ハナスッポンであることは間違いありません。

ホアンキエム湖はシャンハイ・ハナスッポンの生息地なのです。

湖には亀の塔があり、見ることができます。

その亀の塔も、今は高層ビルに囲まれています。

亀の塔の画像

ただ、シャンハイ・ハナスッポンそのものに遭うのは難しいでしょう。

いや、不可能に近いと言ったほうがいいかもしれません。

なかなか水面に出てこない。

それもあるのですが、なにより「いるのかどうか」もわからないのです。

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生息数は3匹?急がれる調査と繁殖

中国・蘇州の動物園にシャンハイ・ハナスッポンはいました。

オスとメスで、繁殖させようとしていたのです。

でも、2匹は100歳くらいと思われた。

いくら長寿の亀でも、100歳で子作りはキツイ。

結局、メスが死に、繁殖は不可能に。

シャンハイ・ハナスッポン絶滅は時間の問題なのです。

こちらは中国で流されたニュース。

One of Last Four Known Yangtze Giant Softshell Turtles Dies in China Zoo

野生のシャンハイ・ハナスッポンは?

しかし、希望はあります。

野生にシャンハイ・ハナスッポンがまだいる。

実はシャンハイ・ハナスッポンは「絶滅した」と思われていた。

生息地は発展著しいエリア。

急速な環境破壊に加え、乱獲もあり、すっかり見られなくなっていた。

それが「まだいた」と確認もされているのです。

ただ、増やせるかはわかりません。

ホアンキエム湖でもメスが2020年に見つかったのですが、そのメスも2023年に死亡しました。

現在、ベトナムの別な湖に2匹はいることが判明しています。

ところが、性別や年齢は不明。

雌雄が揃ってないと増やせませんしね。

けっこう大きいことから、高齢であるとも思われます。

シャンハイ・ハナスッポンが、今もっとも絶滅に近い生物のひとつであることは、否定できないのです。

シャンハイ・ハナスッポンは消えたのか?

繁殖できる若い個体はいないのでしょうか?

そこに期待したいところ。

楽観的に考えれば、可能性はあるでしょう。

100年も生きるシャンハイ・ハナスッポンです。

出産だって何度かしているのではないか。

スッポンは生命力の強い生物。

精力のカタマリみたいな奴ですよ。

したたかに生き残っていると思う(思いたい)のですよ。

目撃談もいくつかあります。

シャンハイ・ハナスッポンは数十年前にはまだ見られていたのです。

減ったとは言え、まだ残っていてもいい。

50年前のスッポンでも、100年生きるなら存命なはず

もう少し、数はいるのかもしれません。

それらを捕獲・繁殖できれば。

神の使いのような大スッポンが、のんびりと湖畔で日向ぼっこしている姿なんか、見れるようになるといいのですが。

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まとめ

スッポンは大きな亀。

日本の食用スッポンでも40~50㎝になるものがいる。

さらに大きいのがシャンハイ・ハナスッポンです。

普段は泥水の下に潜み、時に姿を見せる。

それは「池のヌシ」「自然の守り神」と見られるに、じゅうぶんな存在感だったでしょう。

しかし、今は絶滅の危機。

いや、雌雄揃わず、もう絶滅しか道はないかも。

片手で数えられる数しか確認できないのだから。

「アジアの湖沼に100年も住む大スッポン」

伝説めいた、こんなフレーズ、僕は好きなんですよね~。

若い個体が見つかり、数が回復することを望みます。

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