『アブ』ほど可愛げのない虫もいないと思う。
ハエとハチの嫌なところを掛け合わせたような姿と生態。
妙にまとわりついてくるシツコさ。
そして、人を刺す。
好きになる要素がないじゃありませんか!
いったい、アブとはなんなのでしょう。
どんな対策をすれば、被害を防げるのか。
種類によっては可愛いアブもいるのでしょうか。
ウザイのに、よくわからない虫「アブ」。
つき合い方を考えないといけません。
知られざる「刺す虫」アブ
アブは漢字で「虻」。
旧字だと「蝱」(亡の下に虫2つ)。
虫と亡の組み合わせで、なかなかインパクトあります。
この字を見るだけで「いい印象がない虫だったんか?」と思う。
たしかにアブは好かれる昆虫じゃありません。
でも、僕らもアブをよく知っているとは言えないでしょう。
よく見ているようで、あまりわからない。
アブは曖昧な昆虫なのです。
アブじゃないアブもいる?
あなたはアブをどう認識していますか?
「ハエのデカいやつ」
「ハチみたいなハエ」
たぶん、そんな感じでしょう。
実は「アブ」と呼ばれている昆虫は、アブだけではありません。
なぜなら、アブは本当に
「ハエのデカいやつ」
「ハチみたいなハエ」
だからです。
見た目で「こいつアブじゃね」っていうのがアブ。
ハエなのにアブの名前が付けられたり、
アブなのにハエと呼ばれたり、いい加減なのです。
しかし、生物学で曖昧は許されない。
厳密な見分けをしなきゃなりません。
アブと、ハエやハチはどう違うのか。
対策するうえで、知る必要があるでしょう。
アブ・ハチ・ハエ・ブユをどう見分ける?
アブは「ハエ目」に属する虫。
ハエ類に、蚊やブユ(ブヨ)という迷惑なグループ。
その中でハエとアブが「ハエ亜目」と一緒にされている。
アブとハエの違いは?
「羽化のときのサナギの割れ方」
これだけ。
背中が縦に割れて出てくるのがアブで、
蓋を開けるように出てくるのがハエ。
「直縫群」と「環縫群」といいます
「そんな差がわかるかよ!」と言いたくなる。
「ハエはアブと違って刺しませんよね」
こういう区別をしている人もいるでしょう。
だいたい刺すのはアブ。
でも、吸血性の刺すハエもいるので「刺す・刺さない」で区別はできません。
刺すといえば、ブユもそう。
関東では「ブヨ」、関西では「ブト」と呼ばれるそうです。
ブユはハエ目の蚊科で、黒っぽい5mm程度の昆虫。
渓流のある山でよく見られます。
アブと間違えることはないでしょうが、刺されると腫れ、体質によって患部の腫れがひかなかったり、慢性湿疹にもなります。
キャンプ、山歩きではブユ専用の虫除け、肌の露出を減らすなど対策が必要。
もう一つのハチはアリの仲間です。
アブが口で噛むのに対し、ハチはお尻の針で刺す。
アブは傷をつけてから、血を吸うという吸血性で、攻撃目的のハチとは違うんです。
アブはハチほどきれいな縞でもなく、羽が2枚。(ハチは4枚)
痛い目に遭うという以外は、あまり似ていません。
これでアブは特定できるでしょう。
しかし、アブはそれほど害があるわけでもないのです。
ほとんどのアブは平和主義
ハエ亜目は8万種もいるという巨大ファミリーです。
けれど、刺す種はそんなに多くありません。
アブも大半は、花につくような平和な昆虫です。
よく見るのは「ハナアブ」。
ハチのような色合いで、日本にも400種いるといわれます。
実はハナアブは「アブ」の名がついたハエ。
ハエグループのハナアブ科になる。
幼虫はアブラムシを食べ、成虫は受粉を助けるので、農業者には歓迎すべき虫なのです。
アブの悪評は、一部の刺すアブが原因。
ヤマトアブ、ウシアブ、シロフアブなどの数種類が人も刺す。
出産のため、血を欲するのです。
刺されたらどう対処するか?
それを覚えておくのも大事ですよね。
アブに刺されたら
アブは2~3cmほどもあります。
小さな蚊やブユよりわかりやすいのが不幸中の幸い。
近づいてきたら追い払う、逃げることも可能です。
ただ、アブはけっこうしつこい。
刺されるときは刺されてしまう。
アブは春先からよく飛びますが、危ないのは夏。
アウトレジャーの機会が増え、ブッキング率がドンと上がるからです。
刺されるとどうなるんでしょうか。
アブに毒はない
アブに刺されると、チクッとするのですぐわかります。
患部が痛痒くなり、腫れあがります。
毒はなく、重篤になることは稀です。
アナフィラキシーショックもまずないでしょう。
刺す虫としては、危険度は下ですから、落ち着いて対応すれば大丈夫です。
まず、かいてはいけません。
清潔な、冷たい水で洗い流すようにしましょう。
「虫刺されは温める」といいますが、それは熱に弱い毒を抑える目的で、無毒のアブには効果ありません。
できれば、早めに虫刺され用のステロイドや抗ヒスタミンの軟膏を塗ってください。
そういった薬をいつも携帯しておくと安心ですね。
アブ除けに効くハッカスプレー
注意したいのは、虫除けスプレーです。
一般のものは、主に蚊を寄せつけないことが目的。
これがアブほど大きい虫にはあまり効かない。
使用するなら、アブ専用の虫除けスプレーがおススメ。
あと、僕は初耳だったんですが、ハッカが効くのだそうです。
ミントですね。
サクマ式ドロップで出たら「ハズレだ」と思うやつ。
アブもあれは「ハズレだ」と感じるらしい。
というか、ハッカは虫全般が嫌うようです。
メンソール系は虫除けになるんですね。
ハッカはミント種のひとつです
ハッカのスプレーもありますし、ハッカ油を薄めて作ってもいい。
こちらはアブに悩む釣り人さんがハッカを使ってみた動画。
夏は涼しさも感じられそう。
アブは蚊と同じで、熱や二酸化炭素に寄ってきます。
人や車の周囲に集まるのはそのせい。
つまり、体温がある以上はタカられる。
自然の多い場所へ行くなら、備えは怠れないのです。
まとめ
アブはどこにでもいる昆虫。
当然、遭遇することもしばしば。
だいたいは無害ですが、刺す(噛む)やられると気分は悪い。
けっこうデカいのに寄ってくるのもウザい。
それも集団で。
あまり仲良くしたくない虫なのは否めません。
やはり対策は必要です。
アブ除け方法を知って、楽しい夏を過ごしたいものです。
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