【ケツァルコアトルス】最大の翼竜?飛べない失敗作?

翼竜の画像 その他

アステカの羽のある蛇神「ケツァルコアトル」。

その名が由来となった生物がいます。

翼竜『ケツァルコアトルス』。

恐竜の時代が終わる頃に現れた、史上最大の飛翔動物ともいわれています。

その存在感は圧倒的という他ありません。

デカい頭に、鋭い嘴。

翼を広げれば10数メートルという化物。

翼竜といえば、ドラゴンに最もイメージが近い生物。

その最大種ですよ。

神々しく宙を舞う、天空の支配者といった姿をつい思い浮かべてしまう。

ケツァルコアトルスはそんな生物だったのでしょうか?

調べてみると、少し違っていました。

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巨大翼竜ケツァルコアトルスとは?

ケツァルコアトルスは、今から6800万年前に現れた翼竜です。

つまり、「空を飛ぶ恐竜」。

ですが、翼竜は恐竜とは別に飛行能力を手に入れた爬虫類であり、厳密には恐竜と違います。

翼竜が鳥になったわけでもありません。

「翼トカゲ」というような、独立したグループです。

その翼竜は2億2800万年前に出現。

中生代の第一紀「三畳紀」の後期になります。

それからジュラ紀、白亜紀と、1億5000万年をかけて進化・分化を遂げます。

そして恐竜時代が終わるちょっと前(白亜紀後期)に、ケツァルコアトルスが誕生。

ケツァルコアトルスこそ
「翼竜の集大成」「翼竜の完成形」
といえるかもしれません。

神がかった大きさ

翼竜では「プテラノドン」が有名ですね。

昔の恐竜図鑑には必ず、ティラノサウルスがトリケラトプスを襲っている背景で、プテラノドンが飛んでいる絵が載っていました。

プテラノドンは羽を広げた翼長が最大7mくらい。

最大の翼竜とされていました。

しかし、1971年にケツァルコアトルスが発見された。

それが翼長10~12m。

最大で18mあったと推定される大翼竜。

神の名がつけられるのも納得。

様々な分野で人気もあります。

Quetzalcoatlus – Ian Cooke

翼竜には小さい種もいて、多くは現在の鳥と変わらぬサイズ。

大きく重くなれば飛べませんからね。

ただ、一部が大型化してプテラノドンやケツァルコアトルスなどになりました。

ケツァルコアトルスは他の部分も大きい。

頭部だけで3mほどもある。

嘴の部分で2mあります

さらに長い首と、頭部に比して貧弱な胴体。

巨大なペリカンといった感じ。

羽(前肢)を地につけ四つん這いになれば、キリンと同じ5m近い高さ。

それで体重は200から250kgと、キリンの1/4以下だったそうです。

5mの高さに、3mの鳥頭がある。

それが大きいわりに、ガリガリの痩身。

想像するだけで不気味ですよ。

でも、生態についてはわからないことも多いんです。

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ケツァルコアトルスの生活

古生物学者を悩ませるのは、

「このデカブツがどうやって飛んだのだろう」ということ。

飛行についてはわかっています。

ケツァルコアトルスの羽は、飛行機と同じ断面。

風を受けると、翼の上下で風圧が変わり、揚力を増すようにできています。

体重も最初は70kgくらいと考えられていましたが、この構造がわかって200kgでも大丈夫と変更されたのです。

飛行は主にグライダー滑空。

はばたきはあまりせず、風に乗るスタイル。

ケツァルコアトルスは1万3000kmの距離を飛べたそうですから、生息地の北アメリカから日本に飛来したヤツがいたかもしれません。

東京―ニューヨーク間が約1万キロ

問題は離陸と着陸です。

実は飛べなかった?

ケツァルコアトルスの離陸はどうだったのでしょう?

鳥はその場から飛び立てますが、ケツァルコアトルスは大きすぎて無理。

巨体を持ち上げる筋力もありそうに見えない。

高い場所まで歩きで行って、そこから飛び降り風に乗ったか。

50mほど助走して、飛び立ったか。

たぶん、どちらかです。

あまりカッコイイとは言えません。

波に乗っているとカッコいいサーファーが、沖までパドリングでジャブジャブ泳いでいくのに似ています。

着陸も下手だったと思われます。

ほとんど落下するように着地し、勢いで前にコケることも多かったでしょう。

ドラゴンのイメージ台無しです。

あまりにも大きいので、「飛べなかったのでは?」と考える学者もいます。

四足歩行の陸生というわけです。

羽も嘴もあるのにと思いますが、足のバランスなどは四足動物に近く、大半は陸を歩いていて、飛ぶことがほとんどなかった可能性は否定できません。

どうもライフスタイルがわかりにくいのです。

わからないのは食生活も同様。

最初は水面スレスレを飛びながら、大きな口で魚を掬って食べていたと考えられました。

しかし、化石が見つかる地域は海や川から遠い。

魚食ではないようです。

となると、陸をうろついて、小動物を捕食する。

あるいは、コンドルのように屍肉を漁っていたと思われます。

QUETZALCOATLUS – THE BIGGEST FLYING PREDATOR OF DINOSAURS ERA

それって、翼があるだけの肉食恐竜ですよね。

飛ばなくても生きてゆけます。

翼竜の完成形というのも、僕の誤解だったかもしれません。

巨大化は失敗なのか?

翼竜は絶滅も謎です。

恐竜絶滅と一緒に滅んだのは間違いないのですが、その前から衰退していたようなのです。

考えられる理由は鳥類との競合。

鳥類も1億5000万年前頃には出現していたのです。

でも、大きさでは翼竜に適いません。

しばらくは住み分けされていて、どちらも順調に進化したはずです。

ただ、ケツァルコアトルスのような大型翼竜は頭打ちだったと思います。

ろくに飛行もできず、支配圏だった空を捨てざるを得なかった。

といって、陸でも活動しやすかったとはいえないでしょう。

大型翼竜はどっちつかずなのです。

そう考えると、ケツァルコアトルスはむしろ失敗作。

大きくなるというのは進化の常套ですが、逆に鳥型である意味がなくなった。

200万年ほどで滅んでしまったようです。

まあ、復元模型を見ても、バランスが悪いですし、ちょっとキショい。

「やっちゃった感」が滲み出たような見た目。

それでも、妙な威圧感だけはあるんですよね。

なんといっても「史上最大の飛翔動物」とされ、頂点を極めた一族。

蛇神ケツァルコアトルを連想させるには、じゅうぶんな古生物ではないでしょうか。

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まとめ

恐竜とは別に、空を目指した翼竜たち。

そこからケツァルコアトルスが誕生しました。

大きさはセスナ機にも匹敵します。

しかし、その大きさで苦労も多かったようです。

ただ、ケツァルコアトルスは謎だらけ。

どんな暮らしをしていたか、よくわかりません。

巨体で襲われにくく、意外とのんびりライフだったのかも。

いろいろ空想してみたい生物ですね。

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