【恐鳥】恐竜になろうとした最強の鳥の生態と絶滅理由

その他

恐竜が絶滅して6500万年。

はるか昔の生き物という印象でしょう。

しかし、その後恐竜になろうとした生物がいました。

それが「恐鳥」

恐竜のような鳥類です。

「なんだ鳥か」と馬鹿にはできません。

その猛々しい姿は、じゅうぶん恐竜。

怖ろしいハンターでもあった。

なによりも、そんな生物が人間と共存していたかもしれないんです。

とっくに消えた恐竜よりも、「恐怖の実感」が高いと思いませんか?

恐鳥の怖ろしさ、絶滅理由などを解説します。

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まるで恐竜!恐鳥とは?

「恐竜は鳥になった」

最近、よく聞く話です。

恐竜と鳥は同じ祖先を持っており、
羽毛を持った恐竜もいたことから、
同族の鳥が恐竜の血を受け継いでいるといえるのです。

でも、こう思っていませんか?

「恐竜が鳥になったとかピンとこないよ」

たしかにスズメやハトに恐竜は見いだせない。

獰猛なワシやタカでも恐竜は連想できない。

そこまでの迫力はないですもんね。

しかし、恐鳥を知れば、納得できるでしょう。

陸で繁栄した巨大な肉食鳥

恐竜が滅んだ6500万年前。

羽毛と飛翔能力を持ち、小型だった鳥はなんとか生き延びました。

恐竜なき陸は不毛の大地。

この新世界を利用しようと、一部の鳥が空を捨てます。

陸で王者となるには、恐竜になればいい。

まるで先祖返りをしたように、恐竜化したのが恐鳥です。

体高は2~3m。

丸太のような太い後肢には鋭い爪。

後頭部からくちばしの先までの長さは70cmほどもある。

巨大なくちばしは高さがあり、先は鉤状。

近年、“羽毛の生えたティラノサウルス”が話題になりましたが、イメージはそれに近い。

鳥が持つ可愛らしさはまったくない。

全身が凶器といったスタイルです。

Terror Bird – Ancient Animal (audio issue)

「恐鳥」というのは種の名前ではありません。

タカやフクロウ、コンドルなどの肉食鳥を「猛禽」というように、肉食で飛べない大型鳥の総称が「恐鳥」。

恐鳥にもいくつか種別があり、同じ生態・形状のものを「恐鳥類」と呼ぶ。

アジア、ヨーロッパの『ガストルニス(ディアトリマ)』はカモに近い。

南米の『フォルスラコス』はオウムと遠縁。

現在まで5科14属18種が知られ、世界中で繁栄していたことがわかっています。

彼らはどんな生態だったのでしょう?

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残忍な恐鳥の狩り

陸で生きることを選んだ恐鳥。

しかし、恐竜という大勢力が消えた地球は、バトルロワイヤルの様相でした。

生き残った爬虫類ヘビやワニは大型化。

哺乳類も大きくなったり、俊敏な肉食獣も現れだした。

ライバルたちはどれも手強い。

恐鳥もより攻撃性を増してゆきます。

恐鳥は走る凶器

飛べない恐鳥の前肢は退化しました。

現在の飛べない鳥、ダチョウやエミューやキーウィは、羽の痕跡があります。

恐鳥はそれがほとんどありません。

頼りになるのは太く、歩幅もある長い足。

爪は大きく、キックも有効だったでしょう。

獲物を執拗に追うのも足。

あの風貌の鳥に追われたら泣きますよ。

時速50kmくらいで走れたそう

怖ろしいのは頭です。

恐鳥の首の骨は柔軟で、ムチのようにしなったらしい。

そして頭部ごと鋭いくちばしを、3mの高さから打ち下ろす。

勢いをつけたヘッドバットどころじゃない。

鎖鎌とかモーニングスターのような破壊力だったでしょう。

頭部の化石から、知能も高かった可能性があります。

頭や首などの急所を狙う知恵もあったかもしれません。

頭蓋骨など簡単に粉砕され、獲物はあえなく殺られたはず。

牛くらいの獲物なら、一撃で沈められたと思う。

あとは爪やくちばしで腹を裂かれ、臓物を食い荒らされる運命。

凶暴な捕食者として、恐竜絶滅後の3000万年ほど、頂点に立っていたと考えられるのです。

実は草食だった?

近年、一部の恐鳥が草食だったと唱える人もいます。

「いや、こんな全身兵器みたいな鳥がベジタリアンなわけないでしょう」とも思う。

でも、化石のカルシウムを分析すると、現在の肉食動物と一致しないんだとか。

攻撃的で、大きな鉤爪を持つ、オーストラリアのヒクイドリも主食は木の実。

見た目と食性は必ずしも一致しない。

恐鳥草食説は、現在では一説に過ぎません。

やはり、主流は肉食です。

フック状のくちばしも、肉食の猛禽類に見られる特徴で、捕食者だった可能性が高い。

キャラも崩壊するし、肉食と思いたい。

異論がでるのは、恐鳥と類似する生物が現在いないからです。

参考になる動物がいないから、よくわからない。

完全に滅びたタイプの生物ってこと。

最強の恐鳥は、なぜ滅んだのでしょうか?

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恐鳥はいつまで生息していたか?

恐鳥の多くは、3000万年ほど前には滅んだとされています。

これは「始新世」から「漸新世」に当たり、哺乳類が発達した時代です。

まだ初期の哺乳類だけなら、恐鳥も最強だった。

しかし、哺乳類の中からライバルが登場しだすのです。

絶滅理由は哺乳類との競合?

肉食哺乳類は5000万年前からいました。

それが始新世になると大進化。

大型で、より効率的なハンターになった。

今の食肉目(ネコ、イヌ、クマ、イタチなど)の祖先です。

それらとの競合で負け、恐鳥は衰退したというのです。

ただ、これにも異論がある。

なぜなら、地域によって恐鳥が滅びなかったから。

この時代、たしかに恐鳥類は陸の覇権を失いました。

しかし、世界各地で生き残った恐鳥もいた。

ダメージは受けたが、トドメは刺されていない。

では、最後の恐鳥はいつまでいたのか?

どうも意外と最近まで生き残っていたようなのです。

恐鳥ティタニスが近年まで生存?

南アメリカでは、フォルスラコス種が180万年前まで生息していました。

漸新世から数えて2000万年ほども生き残っていたことになる。

当時の南米は孤島。

古い生物が残りやすい環境でもあったのです。

270万年前に、南米と北米がくっついた。

北の肉食獣が南に渡り、フォルスラコスも滅んだわけです。

ところが、フォルスラコスの一種『ティタニス』は、逆に南米から北へ移動していました。

アメリカでも化石が見つかっています。

その中に、1万5000年前と見られるものがあった。

日本だと縄文時代!

アメリカ大陸にも人類が移住していたので共存していたはずです。

ここ頃の北米は、人類とともに、大きな牙のサーベルタイガー、強靭なダイアウルフ、暴獣ショートフェイスベア、巨大なマンモスなどがいた。

さらに、ティタニスが加わっていた?

なかなかサバイバーな世界だ。

(Terror Bird) Titanis

これははっきりしません。

1万5000年はさすがに計測ミスだろうといわれています。

ティタニスもやはり180万年前前後に消えたようです。

でも、ティタニスと同じフォルスラコス属の『プシロプテルス』は10万年前までいた可能性が本当にある。

プシロプテルスは80cmで、恐鳥というには寂しいもの。

でも、恐鳥が衰退後、数千万年生存しており、他の捕食者とも共存していた証拠でもある。

飛べない鳥は見つかりにくい。

沖縄のヤンバルクイナ(ちょっと飛べる)だって、確認されたのは1981年。

2m級は無理としても、小型の恐鳥が森林の奥に隠れ住んでるかも。

生き残り発見にも、つい期待しちゃいます。

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まとめ

恐鳥はやや特殊な生物群です。

鳥を捨て、恐竜に戻ったような存在。

陸鳥のダチョウやモア、猛禽とも違う。

現存する捕食動物とはまったく一致点がない、唯我独尊アニマルですね。

こういう生物は長続きしないものですが、恐鳥は6000万年近くも生存していました。

他の捕食者と、競合しつつ住み分けもできていたからだと思うのです。

人間の時代までいたかは不明。

まあ、恐鳥に脳天を突かれることを想像すれば、出会わないほうが幸運だったかもしれません。

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