治安のよい日本は、凶暴な猛獣も少ない。
「動物に襲われて亡くなる」という被害はあまりないのですが、もちろん怖い動物もいます。
例えばクマとか。
でも、命を奪うような野生動物はやはり毒ヘビでしょう。
マムシ、ハブ、ヤマカガシ。
この3種が日本三大毒ヘビです。
少ないと言っても、今も日本で多いときは年間20人ほどの犠牲があるらしい。
毒ヘビとの遭遇率も低くはない。
見分け方や対処法を覚えておけば、安心ではないでしょうか。
マムシ
日本の毒ヘビといえば、「マムシ」と「ハブ」が双璧。
ハブは「沖縄にいる」ローカルなヘビのイメージでしょうが、マムシは全国区。
沖縄地方を除く、日本のどこででも見られます。
沖縄とそれ以外で住み分けられているとも言えるでしょうか。
マムシの特徴
マムシは長さが50~70cmくらい。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki1.png)
北海道のマムシは大きめで、1m近いらしい
胴体は太目で、ずんぐりした印象のヘビです。
一見ツチノコっぽいと覚えていればいいと思う。
よく「マムシは三角の頭」といいます。
三角頭は毒ヘビの特徴なのですが、かなり大雑把な見分け方で、必ずというものじゃありません。
コブラとかも三角じゃないですし。
マムシの頭も「ちょっとエラが張ってるかな~」程度で、ダイアモンド型のほうが近いと思います。
マムシ最大の特徴は胴体の模様。
5円玉のように、丸の中心に小さな黒丸がある。
そんな模様の、太くて短いヘビが、とぐろを巻いていたら、まずマムシと思っていい。
![マムシの画像](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2020/10/1328032_s.jpg)
他にも
「鼻先にある熱を感知する“ピット器官”が目立つ」
「瞳が縦長」
といった特徴がありますが、そこまで注意深く見る人もいないと思うので参考までに。
このマムシ、とにかく出会いやすいのが曲者です。
生息場所と対策
マムシはどこにでもいます。
藪があれば、マムシ出現の危険があります。
田んぼや川の近くにいることも多く、アウトドアでも農作業でも危ない。
餌となるネズミやカエルが多い場所なら、だいたいいます。
厄介なのは、人が近づいても逃げないことです。
勝気だからではなく、動きが遅いから。
マムシは実は気が弱いのです。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki1.png)
初夏の妊娠期のメスはちょっと攻撃的です
なので、人間が手を出さない限り、攻撃はしてきません。
うっかり踏んでしまったりすると、咬みつくわけです。
30分ほどで腫れ、頭痛や嘔吐の症状が出ます。
山などでは進行方向にマムシがいないか注意し、できれば厚手の靴やズボンで武装しておくことです。
マムシ対策は野歩きで注意していれば、だいたい防げるでしょう。
しかし、もう一方の雄「ハブ」はちょっと危険です。
ハブ
ハブは沖縄、奄美地方に生息する毒ヘビ。
いる島と、いない島がある。
いる島では被害も多発しています。
駐留するアメリカ軍をも怯えさせ、
『男はつらいよ』の寅さんもハブにやられて亡くなるという設定。
国民的スターを殺っちゃうほど、日本毒ヘビ界のトップに君臨するような存在感です。
毒は弱いが攻撃的
しかし、ハブの毒性はそれほど高くありません。
マムシの毒のほうが3倍も強い。
ハブが怖ろしいのは「大きさ」と「性格」です。
ハブは1~2mにもなり、牙の長さは1.5cmとマムシの3~4倍。
一度に注入する毒量も多いのです。
さらに性格は攻撃的。
手当たり次第に咬みつき、スピードも速い。
そんなオラついたヘビが、山や森、畑にも住宅地の近くにもいるんです。
ハブの特徴
![ハブの画像](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2020/10/3133355_s.jpg)
ハブの頭部はだいぶ三角に見えます。
雲形のまだら模様というか、グニャグニャした胴体デザイン。
夜行性で、夜の草むらなどは危険でしょう。
咬まれると大きく腫れ、嘔吐、腹痛、意識障害などが起こる。
内臓や咬傷部に後遺症が残ることもあります。
ただし、被害が多い分、治療法もしっかりできているので、現在では犠牲者も減っています。
ヤマカガシ
強い毒を持っているのはヤマカガシです。
マムシの4倍、ハブの10倍という猛毒の持ち主。
その割にマムシ、ハブと比べ、影が薄い。
水辺の美しい毒ヘビ
ヤマカガシは青森県から種子島辺りまでの、日本の大半で見られます。
長さは60~120cmで、緑っぽい体色に、オレンジ色や黄色の部分があるのが特徴。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki3.png)
地域によって体色に差があります
水辺を好み、釣りや川遊びでの遭遇率が高い。
同じくよく出会うシマヘビやアオダイショウは地味なので、ちょっと派手な色のヘビがいるな~と思ったら、ヤマカガシの可能性が高いでしょう。
![ヤマカガシの画像](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2020/10/3803986_s.jpg)
猛毒?でも被害は少ない
実はヤマカガシが猛毒だとわかったのは1974年。
それまでは無毒と思われていました。
理由は「被害がほとんどないから」。
毒ヘビとして、人間の脅威になっていなかったのです。
ヤマカガシはとても臆病で、人間からはすぐ逃げる。
捕まえたりしない限り、咬まれることはない。
咬んだとしても「やめろよ」と抵抗するくらいで、毒は注入しないことも多い。
ヤマカガシの毒牙は小さく、口の奥にあるので、よほどガブッとやられなければ問題なし。
だから、目立った被害もなく、安全なヘビだと思われてきました。
ヤマカガシの毒は、マムシ、ハブのものとは性質が違い、腫れたりしないのですが、脳内出血や腎不全を引き起こします。
咬まれる心配はかなり低い。
でも、手を出さないのが賢明でしょうね。
毒ヘビに咬まれたときの対処
これらのヘビに咬まれても痛みはそんなにありません。
チクッとするくらい。
傷口に吸血鬼に咬まれたような穴が2つあれば、ヘビと判断できます。
そんなときは?
マムシもハブもヤマカガシも、基本的な対処は変わりません。
咬まれても焦らないこと
「ヘビに咬まれた!」
このとき、ドラマなどでは口で毒を吸い出すシーンが見られますが、お勧めできません。
口内に傷でもあったら、二次災害です。
つまんで、搾り出すほうが安全。
虫刺されにも使える「毒吸引器」があるなら、それを使えばいいです。
患部を冷やす・温める意味はあまりないと思います。
水洗いくらいでじゅうぶん。
痛みがひどいようなら気分的に冷やしてもいいですが、毒には効果ありません。
温めるのは、毒が熱に弱い場合で、ヘビ毒はそんな特徴もないのです。
咬まれたら、なるべく体は動かさない。
血行が良くなり、毒の回りも早くなります。
急いで病院に行きたい気持ちを抑え、落ち着いて行動しましょう。
4~6時間以内に病院に行けるなら、まず大丈夫なので余裕を持って。
怖ろし気な毒ヘビですが、医療も発達し、今は被害も少ないのです。
慌てず、適切な対処をすればいい。
それだけわかっていれば、余計なパニックにならずに済むんじゃないでしょうか。
まとめ
マムシ、ハブ、ヤマカガシが日本の三大毒ヘビ。
太くて短いマムシ。
雲形模様の沖縄の殺し屋ハブ。
色鮮やかで臆病なヤマカガシ。
その特徴を知っていれば、危険を回避しやすいと思います。
そして、咬まれても落ち着いて行動する。
ヘビは意外と身近にいる動物。
中には毒使いもいる。
知識を持ち、よい距離感でつき合わなければならないのです。
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