シュモクザメはなぜトンカチ頭?視界はどうなってるの?

シュモクザメの画像 水生動物

「奇抜すぎて一度見たら忘れない」。

シュモクザメはそんな生物のひとつでしょう。

特徴的な頭、左右に張り出した目。

数多いサメ類の中でも
「シュモクザメだけは知っている!」
という人も多いんじゃないかな。

とにかくキャラは立っています。

でも、どうしてあんな頭に?

離れた目で視界がどうなっているのかも気になる。

すごい進化なのか、アホな進化なのか、判別できない。

実はあの頭、なにげにスゴイのです。

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トンカチ頭にはワケがある

シュモクザメの英名は「ハンマーヘッドシャーク」

和名のシュモクは「撞木」で、お寺の鐘をゴーンってやるやつ。(表現力ないな)

どちらもトンカチ頭からの命名でしょう。

水族館でも見られます

シュモクザメは世界中の近海に生息しています。

日本でも珍しくなく、あの異形で群れることも多く、けっこう不気味です。

悪魔の軍団って感じでしょうか。

海で出会うよりも、水族館で見るのが安心ですね。

日本では

・アクアマリンふくしま(福島県)
・葛西臨海水族園(東京都)
・鴨川シーワールド(千葉県)
・名古屋港水族館(愛知県)
・マリンワールド 海の中道(福岡県)
・美ら海水族館(沖縄県)

などで、シュモクザメが見られます。

あの想像を超えたデザインをゆっくり堪能できますね。

変な頭の形はどうして?

シュモクザメといえば、あの頭。

スタイリッシュ?なT字型。

誰もが目を見張るシュモクザメ独特のスタイルですね。

あの頭の理由はいくつか考えられます。

有力なのは、「ロレンチーニ器官」の拡大。

サメ類は頭部に、ロレンチーニ器官という、
微弱な電流も捉える優れた感覚器官を持っています。

筋肉が動くと電気が出る。

それを感知し、獲物の位置を特定するのです。

シュモクザメの好物は、海底の砂の下にいる甲殻類やエイなど。

それなら、ロレンチーニ器官がある頭部を広げれば、広範囲をサーチできます。

他にも、
「好物のエイを叩きつけやすい、押さえつけやすいから」
とか、
「浮力が大きくなり、泳ぐのが楽」
などの理由かもしれません。

ハエ叩きとかビート板の感覚ですかね。

使い勝手の良い頭……なのかな。

動画ではけっこう苦労しているようだけど……。

Hammerhead vs. Stingray

でも、頭を広げたため、目も離れてしまいました。

「あれで視点が定まるのだろうか?」と心配にもなる。

シュモクザメはどんな世界を見ているのでしょうか?

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シュモクザメの視界

シュモクザメは好感度なサメです。

広いロレンチーニ器官もそうですが、実は視界も広い。

見えないのは、すぐ前方くらいで、上下左右よく見えているそうです。

死角の前方も、ちょっと顔を動かせば問題なく、360℃カバーできているらしい。

さらに、立体視も可能です。

効率的な立体認識

立体視とは3Dのこと。

左右の目でみることで、立体(奥行き)を認識できます。

捕食動物は、目が前方についているもの。

獲物との距離をちゃんと測れないと、狩りは大変ですから。

逆に草食動物の目は横についている。

距離感はつかみにくいですが、広く見渡すことで捕食者を発見しやすいわけです。

サメはバリバリの捕食動物。

しかし、魚類の悲しさで目は横向き。

視覚よりも、匂いなどが頼りになります。

シュモクザメの目は離れ、トンカチの両端の前方部についている。

鼻の穴も左右が離れて、目の下部にあります

つまり、目でも鼻でも他のサメより機能が高いのです。

離れ目は身を救う!

シュモクザメは世界に9種類。

日本の海で見られるのは
「アカシュモクザメ(約4m)」
「シロシュモクザメ(約5m)」
「ヒラシュモクザメ(約6m)」

の3種。

大きさは最大で、普通は2~3mでしょう。

サメとしては中型。

これは捕食者であると同時に、さらに大きなサメに襲われるサイズ。

シュモクザメも、敵に早く気がつく必要がある。

そこで視界を広げる進化をしたとも考えられるのです。

シュモクザメは捕食と被食どちらにも対応した、新型の2WAY仕様。

馬鹿げた頭のようで、かなり進化したサメなのです。

優れもののシュモクザメは「人食い」ともいわれます。

浅海域にもいるサメですから、危険度も知っておかないとなりません。

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シュモクザメは危険なのか?

最大4m以上のシュモクザメは、人も襲えます。

ビーチに侵入してくることもある。

あんな不気味なサメが向かってきたら……。

とんでもない恐怖でしょう。

Massive hammerhead shark reeled in on Florida beach

しかし、シュモクザメはそこまで危険ではありません。

人食いの疑いは外見から

シュモクザメが確認されたのは200年ほど前。

といっても、珍しいサメでもなく、近海にもいるので、昔から知られてはいました。

学名がついて正式に認定されたのが200年前ってだけ。

もっと古い記録にも出てきます。

「悪魔のようなサメ」と。

原因はやはり、あの頭。

とにかく見た目が悪い。

インパクトありますからね。

「悪魔」扱いされるのは、しかたないかもしれません。

その影響もあり、「怖ろしい人食いザメ」の印象が強いのです。

温和だが安全なサメでもない!

調べてみると、シュモクザメの人食い事例はほとんどありません。

国内では、1982年に熊本県の天草で、シュモクザメに襲われ亡くなった事件が一件。

歯型から「シュモクザメだろう」とされています。

大型のヒラシュモクザメが容疑者です

シュモクザメの口は下側にあり、それほど大口ではなく、3mクラスの個体でも、人間は大きすぎる餌なのです。

性格もどちらかといえばおとなしい。

おそらく、他のサメに襲われたものを、外見の悪いシュモクザメが濡れ衣を着せられたパターンが多いと思われます。

ただし、絶対安全なサメともいえません。

大型のシュモクザメが、人間を餌だと思い込めば、食いつく可能性はある。

海水浴場にも時々現れるシュモクザメ。

用心したほうがいいでしょうね。

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まとめ

シュモクザメはどうしても悪目立ちします。

しかし、印象の悪い頭は、進化の賜物。

ロレンチーニ器官や視力を最大限に活かす形態なのです。

「悪魔のよう」は偏見というものでしょう。

見た目ほど危険度は高くないですが、人食いもあり得ます。

シュモクザメを触れる水族館もあるようで、小さいものなら大丈夫。

機会があれば触れ合ってみましょう!

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