シーラカンスは本当に生きた化石?謎に満ちた生態と進化

シーラカンスの画像 水生動物

テレビで高齢のタレントさんを久しぶりに見ると、
「この人、死んだんじゃなかったっけ?」
とだいたいいつも思ってしまう僕。

シーラカンスはそんな生き物です。

恐竜と一緒に滅んだと思っていたら、
「お前、生きとったんか?」
「全然見た目変わっとらんな」
年寄りの同窓会みたいになった魚。

誰もが知る「生きた化石」ですね。

でも、改めて「どんな魚?」と訊かれると、
よく知らないんじゃないでしょうか?

そもそも「進化してない」生物ってあり得るものなの?

シーラカンスはかなりの変わり物です。

普通の魚とはだいぶ違う。

今回は意外と知らないシーラカンスについて書きますよ。

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シーラカンスってどんな魚?

シーラカンスは現在、アフリカとインドネシアで確認されています。

大きさは1~2m。

特徴的なのは、葉っぱ型になった胸びれ、腹びれでしょう。

これが左右に2対、4本の肢のようにある。

さらに背びれと、大きな尾びれ、
補助的な小さな尾びれも上下にあって、形はメカニカル。

最初は海底を歩いていたんじゃないかと思われていました。

実際は葉状のひれをオールのように動かし、なかなか器用に泳ぎます。

縦泳ぎ、逆さ泳ぎも可能。

普段は水深200m辺りの洞窟にいますが、
50m~600mくらいの間を移動するそうです。

動画で泳ぐ様子や、人間との大きさの対比が見られますよ。

【ナショジオ】「古代魚シーラカンスの再来」より

両生類になりたかったのさ……

肢のようなひれは、
シーラカンスが陸に上がろうとしていたことを物語っています。

魚が両生類へと進化する途中ってこと。

シーラカンスも陸を這う準備はしてた。

退化した肺さえ持っています。

でも、なぜか断念。

海への未練が捨てられなかったのか?

中途半端な「魚」のまま、特に進化もせずに生き残ったのです。

「生物が海から陸へ」

シーラカンスはこの進化の一大改革の生き証人として、
現代の僕らにその様子を教えてくれているのです。

シーラカンスの生活

生態はまだ謎ですが、少しずつわかってきました。

日中は洞窟に潜んでいます。

このとき、多くのシーラカンスがいても争いは起きません。

適当に距離をとり、他に干渉せず、それぞれが浮遊している。

漫画喫茶みたいな感じでしょうか?

夜になると行動し、魚やイカを食べる肉食。

逆にサメなどに捕食されることもある。

無事に生きれば寿命は60年

中には100年生きる個体もいるようです。

なるべく動かず、採餌以外は洞窟での休息に当てるエネルギーコストの削減が、長寿に繋がるのかもしれません。

脊椎が空洞?弱々しい骨格

シーラカンスは「中空の背骨」という意味。

背骨が管になっていて、体液が入っているだけ。

その背骨から軟骨が上下に少しある。

そんな骨なしなのに、体がしっかりしているのは、外殻が固いからです。

小さい脳と心臓。

かなり原始的な魚ですよ。

大きな脳や心臓など、スローライフには必要ないのです。

脂肪の詰まった浮き袋のおかげで、広い水深域にも対応できる。

シーラカンスの化石は世界中で見つかっていました。

昔のシーラカンスは川や湖にも棲んでたらしい。

日本では見つかっていませんが、
中国ではたくさん出土されているので、
日本にも生息していたと考えられます。

「両生類になりかけの魚」と、元から知られていたのです。

こんな魚が現代まで生き残っているなんて誰も思っていませんでした。

それが1938年にひっくり返ります。

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シーラカンス発見と今後

シーラカンスの登場は約4億年前。

古生代デボン紀に当たります。

6500万年前、恐竜絶滅と同時に滅んだと考えられていましたが、20世紀になって再発見。

この下りは有名な話ですよね。

どうして生き残れたか?

南アフリカ、チャルムナ川の沖で、
地元の釣り師が釣ったシーラカンスを、
博物館の職員が見つけたのです。

世紀の大発見でした。

6500万年ぶりに姿を現したのです。

そりゃ驚きますよね。

デボン紀、ペルム紀、三畳紀、白亜紀の
大絶滅を乗り越えてきたんですよ。

どうやって生き延びたのか?

「比較的、環境変化の少ない深海にいたから」というのが一般的。

魚と両生類の中間という「どっちつかず」な特殊性も、
関係あったのかなと僕は思っています。

2-WAYなら、何かあっても保険がある。

変化には強かったんじゃないでしょうか。

第二のシーラカンス

その後、コモロ諸島、モザンビーク、マダガスカルなどでも確認。

もっとも地元ではたまに捕まる魚で、
「脂ぎった肉の不味い魚」と見向きもされなかったようです。

美味かったら市場にも出て、発見も早かったんじゃないかな。

1997年になって、インドネシアでもシーラカンスが見つかります。

アフリカのシーラカンスと見た目、生態も変わりません。

ところが、調べてみると、両者はなんと別種。

同じシーラカンス属でも、
アフリカ……カルムナエ
インドネシア……メナドエンシス
という違う種だったのです。

史上、シーラカンス目の魚は数多くいましたが、ほとんど絶滅。

一種だけがアフリカで生き残っているとされていました。

それが2種、別地域で生き残っていた

つまり、別のどこかに3種目4種目のシーラカンスがいる可能性もでてきたわけです。

それが日本だったら嬉しいんですが。

日本には深海も多いですから

沼津港深海水族館では、氷漬けのシーラカンスが見られますよ。

シーラカンスの口の中!冷凍でカチカチ!〔沼津港深海水族館〕

シーラカンスは進化していた!

インドネシアのシーラカンスは、
アフリカのよりも原始的な部分を残しているといいます。

ここで疑問が湧かないでしょうか?

シーラカンスといえば「生きた化石」の代名詞。

4億年前に登場し、変わらぬ姿で6500万年ぶりの復帰ですからね。

「生きた化石」という枕詞がこれほど似合う生き物もいません。

変わらぬシーラカンスなのに、なぜ原始的なのか?

じゃあアフリカのが進化しているってことでは?

もちろん、シーラカンスにも進化があります。

進化しない生物などいません。

シーラカンスはそれがとても遅いだけなのです。

それはおそらく数の問題もあると思います。

シーラカンスは少数で、生息地が点在。

ミックスしにくいことが、進化を遅らせているのでしょう。

しかし、4億年前とそっくり同じではありません。

どっぷり昭和なのに、携帯電話くらいは出てくる
サザエさん程度には変化しているのです。

「進化してる」というと、シーラカンスのアイデンティティーが揺らぐかな。

次に見つかるシーラカンスは、
かなりリニューアルされているかもしれません。

一見、シーラカンスに見えないような。

海洋調査の進歩で、またの大発見の可能性は高まっているのです。

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まとめ

シーラカンスは特殊な魚です。

肢のようなひれを持ち、骨はすかすか。

いかつい顔と体も「昔気質」って感じ。

両生類になりかけの進化の変革を見せてくれるだけでなく、
絶滅と思われていたところで劇的な再登場。

話題の提供にも事欠きません。

深海でゆっくり進化しながら、生き延びてきた強さも感動的。

災害などがあると、現代社会って便利なようで、意外ともろいと感じる昨今。

シーラカンスのような生き方も、案外いいのかもしれません。

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