カメレオン色変わりの謎~単純な仕組みと理由だった!

カメレオンの画像 陸生動物

冷酷な印象が強い爬虫類の中で、平和そうなのがカメレオン

色が変化することで、「面白い動物」と人気もそこそこです。

カメレオンで僕が思い出すのは、
カルチャークラブの『Karma chameleon(カーマは気まぐれ)』。

歌でも「赤に金色に緑」と、コロコロ色を変えると表現されてました。

こんなに鮮やかな変色をする動物は珍しい。

実は、カメレオンの変色のメカニズムがわかったのは最近のこと。

ずいぶんと誤解があったようです。

「周囲の色に同化して隠れる」というのも間違いでした。

思ったほど、変幻自在ではないらしいのです。

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カメレオンの変色の仕組み

カメレオンといえば……

「カムフラージュ」の達人と思っている人が大半でしょう。

自在に変色し、忍び足で迫る忍者のイメージです。

すっかり変色キャラが定着していますが、そこまで七変化ではありません。

それを知るために、まずカメレオンが色を変える仕組みを勉強しましょう。

皮膚の色を変えるのは色素細胞

体色変化する動物は少なくありません。

夏は森に溶け込むためにくすんだ色なのに、
冬は雪景色で目立たないよう白くなるというのも、体色変化のひとつです。

ウサギやライチョウなどがそうですね。

しかし、これは「毛の色を変えた」だけ。

体色そのものを変えるのは、哺乳類や鳥類にはできません。

爬虫類のカメレオンは体色から変えられます。

それは「色素細胞」があるからです。

色素細胞はみんな持っています。

人間にもあって、「メラニン細胞」といったほうがわかりやすいかもしれません。

あの迷惑な、黒くなっちゃう細胞です。

「メラノサイト」とも呼ばれます

人間などは「黒」しかないのですが、
魚類や爬虫類にはさらに「白色」「赤色」「黄色」「虹色」があり、
彼らの色鮮やかさの元となっているのです。

これらをまとめて「色素胞」と呼びます。

で、色素胞を収縮させたり、膨張させたりすることで、色が変わる。

カメレオンもそうやっている……と思われていました。

でも、カメレオンの体色変化はあまりにも多様。

その秘密は色素胞のひとつ、「虹色素胞」にありました。

どんな色も可能にする虹色素胞

カメレオンの皮膚の一番上は透明です。

その下に色素胞があって、虹色素胞もあります。

虹色素胞は特定の色ではなく、格子状の光結晶が緩んだり広がったりすることで、光の反射具合が変わり、色が変化して見えるのです。

これは「構造色」と似ています。

CDなどで見られる、「反射の加減で違う色になる」ってやつ。

蝶やタマムシの羽、熱帯魚らも構造色。

体にその色がついているのではなく、角質の層の構造や、その部分の凹凸で、特定の色に見えるわけです。

カメレオンの虹色素胞も密度が変化することで、反射する色が変わります。

これなら大抵の色を表現できる。

しかし、虹色素胞は自分でコントロールできません。

カメレオンは好きな色になれるのではなかったのです。

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体色変化は思い通りにならない

カメレオンの画像

カメレオンの変色を「擬態」と思っている人は多いでしょう。

周囲の色と同化し、ステルス化すると。

これが実は大間違い。

カメレオンの模様替えは、虹色素胞を自在に操れない以上、「勝手に変わる」と判断する他ないのです。

色は気分で変わっていた?

虹色素胞を変化させるのは感情、気温なのです。

僕らも恥ずかしいときは顔が自然と赤くなる。

自分ではどうにもなりませんよね。

同じように、虹色素胞も勝手に反応しています。

気温が低ければ、黒ずんで太陽光を集めようとする。

暖かければ体温が上がり過ぎないよう、明るい色へ。

カメレオンは変温動物ですから、体温調節は死活問題です。

興奮しているときは、鮮やかな赤になる。

激おこプンプン丸の状態です。

もちろん、繁殖期もカラフルに。

人間も色気づくと派手な装いをしたくなるし。

でも、色の変化は感情と気温次第。

なりたい色になっているんじゃありません。

虹色素胞を持っている生物はいくつかあります。

巧みに使いこなしているのはタコやイカ。

他の色素胞と併用して、タコなどは化けたいものの質感までそっくりになれます。

ただし、色の種類はカメレオンが上。

これは、カメレオンの体色のほうが、よりいっそう虹色素胞に決められているということでしょう。

そのため、色鮮やかだけれど、融通が利かない。

言い換えれば、カメレオンは感情がわかりやすい爬虫類ともいえます。

顔(皮膚だけど)に出るタイプというか。

カムフラージュではなく、「俺の気持ちをわかってくれ」というアピールの度合が強そうです。

色を変えさせようとするのはNG

余談ですが、僕は子供の頃カメレオンを飼っていたことがあります。

親戚がもらってきたのを譲ってもらったんです。

カメレオンは色が変わる。

子供の僕はその瞬間が見たかった。

「ほ~れ、変われ変われ」とずいぶんいじりまわしたものです。

目で色を確認すれば体色が変わると思い、色紙などを鼻面に押しつけたこともありました。

でも、カメレオンはくすんだ色のまま。

好きなように色を変えられないのだから当然です。

だけど、子供だった僕には、手品師が手品を見せようとしないみたいで腹が立った。

結局、一度も色を変えないまま、天国に行ってしまいました。

今思うと、ずっとビビっていたのかもしれません。

目の前でしょっちゅう色紙ヒラヒラやられたんじゃ、ストレスたまるわ

カメレオンはとてもデリケートな動物。

飼育も簡単ではないそうです。

飼い主は色の変化を期待するだろうし。

もし、飼育を考えている人がいるなら、僕のような真似はしないでくださいね。

色変わりは無理させず、自然にまかせておきましょう。

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まとめ

カメレオンはどこにでも同化できると思われがち。

虹色素胞ならどんな色にもなれるでしょう。

しかし、自分がなりたい色にはなれません。

たまたま、カラフルな体色が南国の草花に溶け込んで見えただけでした。

南国以外では逆に目立ちそうですし。

カメレオンは爬虫類の中では、生息域が狭いほうです。

感情や気温変化で色が変わってしまうため、
他の場所では生きにくかったからかもしれません。

僕みたいなアホに色変わりも求められ、
変色もカメレオンにとっては厄介な特性だった可能性もありますね。

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