【ボノボ】チンパンジーとは違うちょっとHな平和主義猿

ボノボの画像 陸生動物

“人間にもっとも近い動物”とは?

「チンパンジー」というのが常識。

でも『ボノボ』のほうが近いかもしれません。

「ボノボってなんだ?」という人もいるでしょう。

ボノボはチンパンジーの同族です。

チンパンジー属(パン属といいます)の中に、チンパンジーとボノボの2種がある。

人に近いというなら興味も湧きますよね。

会ってみたいとも思う。

残念ながら、ボノボは動物園でまず見ません。

ある理由で、とても展示しにくいのです。

それは記事で触れますが、ボノボの生態はとても不思議。

普通のチンパンジーよりも平和的で温和。

人間が平和的かどうかは微妙ですが、やや理性もありそうなボノボが、意外と凶暴なチンパンジーに比べれば、人間っぽくは見えるということです。

ヒトとサルの分かれ目を考えるうえで、ボノボは無視できません。

時に「パンツをはいた猿」なんてディスられる人類。

ボノボを知れば、ヒトとサルの関係がいっそう理解できると思いますよ。

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ボノボとチンパンジーの違い

ボノボはアフリカ・コンゴ共和国の熱帯雨林に生息します。

コンゴ川とカサイ川に挟まれた地域。

といっても、日本の面積より広いエリアなんですが。

おそらく、その地区にいたパン属が、大河の流れが変わって孤立。

他地域と交流・交配できなくなった。

そのため、チンパンジーと分かれ、独自の生態を得たボノボになったのです。

さて、一地区に閉じ込められたボノボ。

パン属はカナヅチなので、川の向こうへ渡れません。

これは海に囲まれた日本と同じ状態。

島国チンパンジーともいえるでしょう。

島の動物は、体が小さくなる傾向があります。

そのせいかはわかりませんが、ボノボも昔は
「ピグミーチンパンジー」と呼ばれていました。

体長は普通チンパンジーと変わらないのですが、全体的にスリムなのが特徴。

手足が長く、肩幅が狭く、小顔。

その顔は、人間が見ても違いがわかるそうです。

アウストラロピテクスに似ているといわれ、ヒトにとても近いことは間違いありません。

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ボノボの性格と生態

ボノボは表情も豊か。

これは社会性が高い証拠です。

閉鎖された島国では「協力」が不可欠ですからね。

逃げ場がないので、無駄な争いは避けるわけです。

幸い、生息地は食料も豊富で、敵も多くなかったため、ボノボは平和主義となりました。

ボノボ社会はジェンダーフリー

チンパンジーはけっこう攻撃的。

仲間同士で殺し合いも珍しくない。

たまに共食いだってしちゃう。

一方のボノボでは殺人?は見られません。

動物の群れでよくある「強いオスが君臨する」というのもない。

上下関係はありますが、チンパンジーより希薄です。

女性(メス)がわりと強かったりする。

人間界も最近は……

もちろん、野生動物ですから暴力は見られます。

それも激しいものではなく、たいてい丸く収まってしまう。

ボノボは「みんな仲良し」なのです。

その安定社会に役立っているのが「疑似セッ○ス」です。

愛こそすべて!平和のコツはナニ?

ボノボの群れは奔放です。

あっちでパコパコ、こっちでパコパコやっています。

なんてうらやま……いや、下品な!

でも、交尾しているわけじゃない。

これが「疑似セッ○ス」で、友好の証しなのです。

なんだか、やたら触ってきて「スキンシップだよ~ん(笑)」とか言うオヤジみたいですが、ボノボにとってのスキンシップがHの真似事ってわけ。

挨拶なので、同性同士でもヤる。

大人も子供もヤる。

しかも、人間らしいボノボは体位も人間とそっくり。

メスは胸のふくらみもあるので、艶めかしくもある。

これがあるから、動物園で展示しにくい。

家族みんなで見ていたドラマでHなシーンが始まったみたいな、お互いどうしていいか居たたまれない気分になる、あの感じになるに違いない。

パパもママもお子さんも、なかなか直視できない光景ですよ。

Bonobo Love | Wild Wives of Africa

しかし、ボノボには重要な行為。

ほとんどの問題は「疑似セッ○ス」で解決します。

「こんにちは」「ごめんね」「好きだよ」「仲良くしよう」いろいろな意味がある。

昔はヒトもそうやってたのかな。

人間以外で「大人のキス」を
するのはボノボだけなんですって

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ボノボの知能と可能性

ボノボの画像

ボノボとチンパンジーは、脳も違います。

ボノボは「共感」する部位がよく発達している。

「他者の痛みがわかる」のです。

さらに、攻撃性を生む部位と、それを抑制する部位が、強く連携しています。

「怒りのコントロール」ができる。

これはもう半分「ヒトだけが持つ能力」。

チンパンジーはボノボほど、感情を抑えられません。

互いに理解し合い、争うよりも助け合う。

まさに「和を以て貴しとなす」です。

日本人には、なんか他人に思えない。

ボノボはチンパンジーより人間的といえるでしょう。

感情深いのはわかったけれど、知能のほうは?

「カンジ」というボノボが有名です。

天才ボノボ「カンジ」がスゴイ!

カンジは1980年生まれ。

アメリカの大学で、ボノボの研究として「マタタ」というメスボノボに言葉を教えていたのですが、カンジは母親がいなかったので、マタタが育てていたのです。

他者の子を養育するのに抵抗がないのも、ボノボの特徴。

カンジはマタタが教育されるのを横で見ていました。

そして「門前の小僧」よろしく、マタタより言葉を覚えてしまったのです。

覚えの早さに、研究者もビックリ。

人間でも子供のほうが覚えは早いものですが、横で興味もなさそうにしていたカンジは、すぐにいくつかの言葉を習得。

最終的には、3000の単語と、かなりの文章を覚えたそうです。

名前は「カンジ」ですが、
覚えたのは「英語」です

猿用のキーボードを使って、人に物を要求することもできた。

舌の構造で人語は喋れませんでしたが、鳴き声に「言葉?」と思われる音声も多かったらしい。

教えれば道具も作ったし、棒にマシュマロ刺して焚火で炙るなど、小洒落たこともする。

マタタの子で、一緒に育った義妹パンバニーシャまで、カンジに劣らぬ優秀さを見せました。

「言語能力はチンパンジーより上」と証明されたのです。

ここまで人間に近いと、
「文明を持つようになるのか?」
「ヒトと交配できるのか?」

と、未来を想像してしまいますよ。

ボノボはどこまで人に近づけるかも考えてみましょう。

ボノボはヒトになれる?ヒトと交配は可能?

映画『猿の惑星』は、猿がヒトのように進化し、人間を奴隷にする物語。

ボノボのイメージも映画に活かされているそうです。

カンジの研究から、ボノボは
「言語能力は優れているが、道具を作ったりはチンパンジーに劣る」
ことがわかりました。

教えれば覚えるが、自発的な創意工夫はあまりない。

生息地が楽園ですからね。

困って、なにか考える必要があまりなかったんでしょう。

困ったら例の「疑似セッ○ス」で万事OKですし。

潜在能力は高いものの、ヒト並みに進化するのは無理そうです。

では、人が干渉して文明を与えたり、あるいは、人と交配させてもっと知恵のある新ボノボを誕生させたとしたら……?

実は、人と猿の交配は昔から研究されていました。

20世紀初め頃は「普通にできる」と思われていたのです。

実験も行われていたようです。

その結果、とんでもない怪物が生まれたなんて都市伝説もある。

その怪物が逃げ出して、雪男になったとか。

しかし、成功した実例はないと思います。

ヒトとサルは、近いようでずいぶん遠い。

というか、ヒトが極めて異端でかけ離れています。

交配は無理でしょう。

猿に支配されるとか、お見合いの相手が猿のお嬢さんとか、勘弁してほしいですし。

ボノボの平和主義は、見習うべき部分でもある。

でも、あちこちで疑似セッ○スする社会も、けっこうカオスです。

進化には「適度な攻撃性」が必要なのかもしれません。

こう考えると、人間は理性的とすましていても、「ケダモノ」の枠内から逃れられないのだろうとも思うのです。

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まとめ

ヒトとチンパンジーの枝分かれは、600~700万年前といわれます。

さらにチンパンジーからボノボが分かれたのは推定80万年前前後らしい。

その間、3者は別の道を辿りました。

広大な生息地で仁義なき戦いを繰り広げてきたチンパンジー。

争わないために「疑似セッ○ス」を編みだしたボノボ。

争いとエロ。

古き良き日活映画って感じ。

ポリコレ蔓延で嫌われるけれど、どちらも人間は捨てきれない欲求ですよね。

つまり、僕らはやはり猿の延長上にいるようです。

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