【バニップ】オーストラリアの人喰い未知怪物

その他

世界中で目撃される未確認生物・UMA。

未確認と言いながらも、なんとなく固定のイメージはあるものです。

そのイメージから正体を空想するのが楽しいんですよ。

中には、さっぱりわからないUMAもいます。

オーストラリアの『バニップ』はその代表でしょう。

ある人は「哺乳類だ」と言い、ある人は「首長竜だ」と言う。

「鳥だ」と言う証言もあれば、「一つ目の怪物」だともいわれます。

とにかく、イメージの湧かないUMAなのです。

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正体不明の水棲妖魔バニップ

僕が昔読んだ本に、
「一つ目の怪物で、人を襲う“バニープ”」とあり、
人を呪うような魔性もあると書いていました。

「不思議なUMAがいるものだ」と思ったものです。

これがオーストラリアに出現する「バニップ」。

原語の「Bunyip」を「バニープ」「バンイップ」と訳すこともあります。

証言が一致しない謎の生物

バニップは、オーストラリア東部の川や湖に棲むそうです。

本来なら、ここでどんな特徴か挙げたいのですが、バニップはそれができません。

証言、記録がまちまちなのです。

例えば、1847年の記録では
「巨大ヒトデのような」となっています。

軟体動物?

かと思えば、同時期に別な場所で見られたバニップは「エミューのように長い首、胴体はワニ」

ヒトデとは似ても似つかない恐竜なのか?

他にも
「子牛よりも大きい」
「犬のような顔」
「ギョロ目」
「ヒレ状の四肢」
「水かきのある手足」
「顎の下に袋状の部位がある」
「巨大なカモノハシのよう」
「カバのような」
「夜に大きな鳴き声をだす」
……などなど。

モンタージュがさっぱりわからない。

いろいろなバニップがいるとしか思えない。

僕はマーライオンに近い姿を想像するのですが、人によって受ける印象はだいぶ違うようです。

El BUNYIP De Australia – Criptozoología

「落ち着け。お前らは何を見たんだ?」と叱責したいほどです。

この不鮮明さはなんなのでしょう?

いくら未確認生物だからって、話バラバラすぎますよ。

そこには僕が最初に聞いた「一つ目のバニープ」が関係しているようです。

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頭蓋骨発見!伝承から実在へ

バニップはアボリジニの伝承でした。

「川、湖の妖魔」といった位置づけです。

日本の河童と似ているでしょう。

知の巨匠・南方熊楠が、バニップを例にとって民俗学の権威・柳田國男と、河童の正体を論じ合ったエピソードもある。

豪華な討論だな~

もともとは伝承に過ぎず、実在は考えられてなかったのです。

ところが、物証が出てきました。

奇怪な骨はバニップのもの?

1846年。

ニューサウスウェールズ州の川で、奇妙な頭蓋骨が見つかります。

細長く、下顎が極端に飛び出し、大きな眼窩がひとつ。

誰も見たことのない頭蓋骨です。

「バニップではないか?」

となるのは必然だったでしょう。

バニップは入植して間もない白人もよく聞いていた怪物。

オーストラリアは不思議動物の宝庫でもある。

未知の動物がいてもおかしくない。

その頭蓋骨も「バニップのもの」と大衆は決定づけてしまった。

僕が最初に聞いた「一つ目のバニープ」は、その骨からの想像だったようです。

その後も、川に近い場所から見慣れない骨がいくつも出てきた。

「伝承のバニップは実在する!」

そのような流れになるのもわかる。

さて、バニップが現実にいるとなれば、増えるものがあります。

目撃者です。

各地で目撃されるバニップ

話題になれば「俺も見た」と言いたくなるのが人の心理。

「見たような気がする」というのも同じですよね。

情報の乏しかった19世紀。

川や湖沼で、さまざまなバニップ目撃が報告されます。

でも、その姿は一致しない。

カバだか犬だか鳥だかメチャクチャなのは、前項で紹介した通り。

このことから、水中の不思議なものをすべて「バニップ」で片づけているとしか考えられません。

ネス湖で変なモノがネッシーに見えるように、思い込みで信じるパターン。

みんなが見ているのは「バニップという一種の生物」ではないのでしょう。

ただ、バニップと思われた生物がいたとも言える。

その正体を推理していきましょう。

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バニップは情報のキメラか?

物的証拠の頭蓋骨は、現在「既知動物の奇形」と結論されています。

新種ではなく、馬などが奇形したもの。

その他の骨も、だいたい既知動物とわかりました。

一つ目の怪物ではなさそう。

では、どんな動物なら説明がつくのでしょう?

絶滅種?海棲哺乳類?鳥?

最初、バニップの正体に挙げられたのは『ディプロドン』でした。

現存するウォンバットを、3mくらいにした姿。

45,000年ほど前までオーストラリアにいました。

「犬のような顔」「カバのような」に当てはまりそうです。

しかし、生き残りは確認されていない。

草食で、水中で過ごしていた痕跡もない。

水辺で、人を襲う特徴とは合いません。

Diprotodon – The Largest Marsupial | Evolution | Prehistory |

南方熊楠は、たまたま川を遡上した海洋生物と考えました。

カイギュウ類、アザラシ、サメなどです。

カイギュウ、アザラシなら犬顔で、カバっぽさもある。

現在、この可能性が最も高いといわれています。

人が襲われたのはサメ。

あるいはワニの被害を、バニップと思い込んだのかもしれません。

ワニが子牛などを咥え、水中に引きずり込んでいたら、哺乳類の頭と爬虫類の胴体の怪物にも見えたでしょう。

バニップ伝説の基が「鳥」という説もあります。

オーストラリアにいるヒクイドリは、大きな鉤爪の危険な大型鳥。

攻撃的で、アボリジニにも怖れられていました。

ヒクイドリへの警戒が、バニップ伝説に加えられた可能性はありそうです。

「鳥のように長い首」は、この辺から派生したのかも。

もうひとつは、オーストラリアサンカノゴイ

70cmほどもある、サギの仲間です。

繁殖期に低温で「ボーボー」と鳴く。

「夜に大声で鳴く」は、サンカノゴイの声らしい。

現地では「バニップ鳥」とも呼ばれてる

消えたバニップ

バニップは、いろいろな動物を混ぜて生まれた架空生物と思われます。

まだまだ未知の大陸だったオーストラリア。

その頃は、怪物が棲む「余地」があったのでしょう。

バラバラの情報をツギハギして、
バニップは作り上げられた複合動物(キメラ)ですよ。

バニップの目撃は、20世紀になるとほとんどなくなります。

河童と同様、今は伝承だけの存在ですね。

人々が広大なオーストラリアの空白地を埋めてゆくのと同時に、未知のバニップの居場所がなくなっていった。

バニップ実在は、奇妙な頭蓋骨が出てきた前後数十年の夢でした。

終わったUMAではありますが、バニップは昔の夢として、今もオーストラリアで愛されているそうです。

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まとめ

バニップは捉えどころのないUMAです。

さまざまな特徴を寄せ集めた、異形な雰囲気。

水辺の不思議な動物や現象をひっくるめ、
すべて伝承のバニップに当てはめた結果なのでしょう。

だから正体不明の怪物になった。

しかし、情報化が進むにつれ、バニップも忘れられます。

未知が減った現代、UMAも生き辛くなっているようです。

バニップも「古き良きオーストラリア」でしか生きられなかったのでしょうかね。

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