棘皮動物:トゲトゲしくも美しい!ウニ、ヒトデ、ナマコの世界

ヒトデの画像 水生動物

「ハリネズミのようだ」

そんな理由で命名されたのが、
海にいる「棘皮動物(きょくひどうぶつ)」

ウニ、ヒトデ、ナマコなどの生物です。

「ウニはわかるけど、ヒトデやナマコってトゲトゲか?」

という疑問はおいておくとして、
棘皮動物はウミユリ、クモヒトデなどを含め、
7300種くらいもいる、けっこう繁栄しているグループなのです。

堤防で釣りしているとよくヒトデがかかることを考えても、
「こいつらどんだけいるんだ」という繁栄ぶりです。

でも、ピンとこない。

ウニは丼、ナマコは酢の物程度。

それだって頻繁に食うものでもない。

だいいち高い!(怒)

知ってるようで知らない生物ではないでしょうか。

しかし、棘皮動物は独特の、魅力ある奴らなのです。

今回は棘皮動物の不思議と、
代表種のウニ、ヒトデ、ナマコに焦点を当て、
その生態をざっくりと紹介したいと思います。

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基本は五放射?棘皮動物の特徴

棘皮動物はすべて海にいます。

トゲトゲした生き物ということですが、
最大の特徴は「五放射相称」であること。

つまり「星形☆」ですね。

「それってヒトデだけじゃないの?」

そう思いますよね。

星形のウニやナマコなんて見たこともありません。

でも、ちゃんと星形なんです。

ヒトデを「むいたミカンの皮」だと思えばわかりやすいです。

むく前の丸い状態がウニ。

そのウニをビヨーンと伸ばしたのがナマコ。

なんとなくイメージできるでしょうか。

足がたくさんあるヒトデもいます。

何十本も足があって、星というよりヒマワリみたいなヒトデですよ。

あれも基本は五放射。

たまに変則的な種類もありますが、
五方向に広がっているのが棘皮動物なのです。

脳も心臓も要らない単純構造

棘皮動物には脳も心臓もありません。

それどころか前後もはっきりしない

「頭部」に当たる部分がないのです。

ナマコは一応、口と肛門はありますが、
それが前後という意味ではなく、
単に両端に食う穴と出す穴をつけたというだけ。

目も鼻もない。

口があるから頭でもないんですよ。

肛門から物を食べることもあります

体内を通るのは血管ではなく、「水管」。

海水を流しているだけの管で、血液の代わりをさせています。

血管がないのだから、心臓も必要ない。

要らないものは装備しないシンプル構造。

体内がシンプルなら、体外もかなり適当です。

棘皮動物は固い?柔らかい?

コリコリしたナマコ酢。

「あの食感がたまらない」という酒飲みも多いはず。

あの固さ、不思議に思ったことはないですか?

ナマコってかなり伸縮自在の生き物ですよね。

ナマコが苦手な人は、フニャフニャした印象だと思っているでしょう。

あれも棘皮動物の特徴です。

コラーゲン質の組織で、固くなったり柔らかくなったり瞬時にできる。

完全武装のウニは固いですが、
ヒトデ、ナマコはフニャーンとカチコチを使い分けます。

筋肉もあるけれど、コラーゲンで姿勢が保てるくらい。

アンチエイジングの塊といえるのか。

そのおかげなのか、
最近ウニがとても長寿なのがわかってきたようです。

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寿命200年!危険なトゲのウニ

北海道に住む僕も、滅多に食べられない高級食材のウニ。

棘皮動物の名に恥じない、トゲトゲしい生物ですよね。

漢字では「海胆」「海栗」

よく見る「雲丹」は、加工されたウニに当てられます。

見た目くだらなそうな生き物なんですが、
最新の研究で「種と環境によっては200年生きる」ことが判明しました。

100年経っても生殖能力が衰えない!

100歳でも子作り可能という絶倫はちょっと羨ましい。

僕らが食べているウニは10~20年ほどの寿命らしいですが、
それでもほとんどの魚よりは長い。

生命力の強さは害にもなります。

ウニはけっこう危険な生物?

ウニは針山のようなボディーで、
一本一本を自由に動かせるニードルマスターです。

針の短いウニはいいのですが、
暖海に住む長い針を持つガンガゼは危険なウニ。

うっかり踏んづけたりすると大変です。

ガンガゼの針はダイバーのスーツも貫くほど鋭い。

さらに返しがついていて、抜くのも難しい。

痛みと腫れは当たり前。

何本も刺さると
呼吸困難、手足の麻痺まで引き起こす殺人針。

海遊びの際は要注意です。

ウニの口は下の部分にあり、
割るときはその口に包丁などを差し込んでひねるといいでしょう。

ヒトデが反り返って丸くなったものと思えばいいです。

海藻などに付き、この口で食べるんですね。

昆布、ワカメの大敵で駆除されることもある。

タフな生き物なので被害は甚大です。

駆除するくらいなら、値段が安くなってもいいと思うんですが、
そこは商業の謎部分なんでしょう。

タフと言えば、ヒトデはさらに強靭です。

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凶悪ヒトデと怪物ナマコ

絵にすると星形が可愛いヒトデも、実物はグロい。

とにかく大食漢で、体のほとんどが胃という凄さ。

一部のヒトデはその胃を体の外に出し、
獲物をくるんでしまう
という捕食スキルがもう異世界系です。

ヒトデ驚きの再生力

「オニヒトデがサンゴを食べて困っている」

そんな環境破壊も引き起こすヒトデは、
食えもしないし、不気味だし、海の嫌われ者でしょう。

ヒトデを食べる地域もあるらしい

まあ、ヒトデだって食わなきゃ死んじゃうんですが、
たいていは「サンゴかわいそう」になるので、悪者とされてしまう。

この扱いの差は、やはり見た目なんでしょうね。

ヒトデも脳はないのですが、
時々考えているように動くことがあります。

形が人型に似ているので、ことさら気持ちが悪い。

この辺もヒトデが嫌われる理由でしょう。

食害が大きいのは、ヒトデが腕一本からでも再生するからです。

ずいぶん前、
サンゴを守るためにオニヒトデ駆除に乗り出した環境団体が、
そのまま陸地で干からびさせればいいものを、
よほどヒトデが憎かったのか、わざわざ捕獲したヒトデを鉈で切り刻み、
残骸を海に投げ捨てたところ、
再生してますます数が増えたという笑えない話もあるくらい。

さらに、これといった天敵もいない。

毒性があって、不味いのだから、襲われることはほとんどないんです。

凶悪な感のあるヒトデに比べると、平和そうなのはナマコ。

ナマコもかなり変な生物です。

最大のナマコは4.5m!

ナマコにも再生能力があります。

珍味の「コノワタ」はナマコの内臓。

また、攻撃されると内臓を噴射して逃げるナマコもいますが、
内臓は3ヶ月もすれば再生します。

身を切る防御も再生能力あってこそ。

そんなナマコは砂の上を這いまわり、
バクテリアや魚の死骸などを食べています。

海の掃除屋さんです。

漢字の「海鼠」はその様子がネズミっぽかったからかも。

トゲトゲのウニや、暴食王のヒトデに比べると、
だいぶ穏やかな棘皮動物ですね。

ナマコをペットにして飼う人もいるんです。

ナマコは比較的大きくなる棘皮動物で、30cmくらい。

沖縄地方で見られるクレナイオオイカリナマコは、なんと4.5m!

見た目もモンゴリアンデスワームみたいで、かなり怖いです。

こちらが動画。

すごい迫力で泣きそうです。

世界最大級!クレナイオオイカリナマコ

僕が子供の頃、
店でポリバケツにナマコを入れて、売っていました。

ナマコが高級品となった今思うと、
ぞんざいな扱いをされていたものです。

ヒトデやナマコには美しいものも多く、観賞も楽しい。

手に乗せても、
思ったよりしっかりしていて、気持ち悪くありません。

浅瀬や磯でも普通に見られますから、思い切って触れてみましょう。

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まとめ

棘皮動物は宇宙から来た生物のようです。

でも、意外と人間にも近く、
ウニなどは人間と70%の遺伝子が一致するらしい。

人間の7割がウニってのもスゴイ話ですが。

棘皮動物はカンブリア紀には誕生していたようです。

古代種の多くが絶滅している中で、
今も生き残っているのがウニ、ヒトデ、ナマコたち。

棘皮と、毒、再生能力と生命力で生き抜いてきたのです。

海のモブキャラみたいなのに実はしたたかな動物群。

もっと注目されていいんじゃないでしょうか。

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