人気アニメ『けものフレンズ』に、スナネコというのが出てました。
「スナネコ?」
動物には詳しいつもりだった僕も、聞いた記憶がなかった。
それもそのはず。野生でもめったに見られず、
動物園でもまずお目にかかれない、マイナーなネコですからね。
そんなネコを持ってくるところが、『けものフレンズ』は侮れないアニメでした。
とにかく、アニメのおかげもあって今は知名度もアップ。
そして「かわいい~❤」と世のネコ好きをメロメロにしちゃっている。
「砂漠の天使」「砂漠のアイドル」と呼ばれるのも納得です。
スナネコはもちろん可愛いだけではありません。
砂漠に適応した逞しいネコでもあるのです。
スナネコは砂漠に適応したネコだった!
スナネコは英語でも「Sand Cat」。
砂漠のネコです。
生息地はモロッコ、アルジェリアなどサハラ砂漠周辺。
アラビア半島のサウジアラビア、クゥエート、カタール、オマーン。
カスピ海の東のカザフスタンやトルクメニスタン。
たしかに砂のイメージが強い場所ばかり。
実際は低木などがある地域で見られます。
体長は50cmくらいですから、イエネコとあまり変わりません。
野生ネコとしては小さい部類です。
尻尾は20cmくらいと短め。
色は黄色っぽい砂の色で、背中に薄い黒の縦縞が数本。
砂漠の保護色でしょうね
大きな耳とモフモフがチャームポイント
このスナネコの「可愛さ」は
大人でも子ネコのような顔をしているのが理由です。
というのは、スナネコはイエネコより顔の幅が広い。
さらに、砂漠の厳しい環境でどんな音も聞き漏らさないようにしているのか、三角形の耳が大きく、横に広がっている。
もう、これはマンガのネコですよ。
そんな顔のまま、10~13年くらいまで生きるそうです。
「年を取らないネコ」とも呼ばれています
この姿で普通に「ニャー」と鳴いたり、チワワみたいに吠えることもある。
なんか卑怯な気もする。
そして、長い体毛も忘れてはなりません。
砂漠は砂と暑さとの戦い。
スナネコは足の裏にまで毛がびっしりと生えています。
真夏の砂が熱いのはご存知の通り。
海水浴場なんかで「熱っ、熱っ~」と飛び跳ねたことありますよね。
砂漠の砂は日によって60~80℃くらいにもなり、裸足なら立っていられないほどです。
でも、スナネコは足の毛のおかげで砂を歩いても平気。
「かんじき」みたいに砂の上を沈まず歩きやすい効果もある。
また、強い日差しを防ぎ、夜に気温が下がれば防寒にもなる。
子ネコ顔に、モフモフ――ネコマニアが失神するような組み合わせじゃないか!
だけど砂漠は過酷。可愛いだけじゃ生きてゆけません。(むしろKawaiiは必要ない)
見た目に反して、スナネコはなかなかタフでもあるんです。
夜行性でなんでも食べる
砂漠で困るのは「食料」と「水」。
どちらも見つけるのは大変そうですもんね。
スナネコはとにかく何でも食べます。
ネズミ、ヘビ、トカゲ、昆虫……砂漠で目につくものはすべて食料です。
もちろん、水分もそれらの獲物から得ます。
水場に出会うラッキーが少ない以上、水分は他の生物から奪うしかないのです。
獰猛なようですが、野生ネコですからこのくらいは当たり前でしょう。
スナネコが動くのはだいたい夜。
日中に狩りなんてしていたら、砂漠ではすぐ干上がってしまいますよ。
そこで昼間は巣穴にいて、日没後に動く夜行性なのですが、
砂漠では夜行性が多く、獲物もいるけど敵もいる。
ジャッカルやキツネ、オオワシなどはスナネコを狙っています。
数少ない獲物を見つけ、敵が近づくのも察知しなければならない、
中間管理職みたいな立ち位置がスナネコの聴力を上げたのでしょう。
こうした敏感さのせいか、スナネコは人間にも懐きません。
飼い慣らすのがもっとも容易ではないネコといっても過言ではありません。
そのため人為的な繁殖も難しく、絶滅が心配されています。
絶滅危惧種‼でも保護や繁殖は難問
現在、スナネコは野生のと飼育されているのを合わせても120匹くらいだろうといわれています。
あまりに少なく、生態など詳しいこともよくわかっていないのが事実。
スナネコが発見されてから150年ほど経ちますが、
交配期以外は単独行動で、見つけることすら難しい動物で調査も進まない。
フサフサの足は足跡を残しにくいし、糞までわざわざ埋めて、自分の居場所や痕跡を知られないようにする忍者性もあるんですよ。
スナネコの子ネコが動画で撮影できたのもつい最近なのです。
↓こんな感じ。(萌え死にしても責任はとれません)
スナネコ減少の理由は、やはり人間のようです。
スナネコの生息地にも人間や家畜が進出し、スナネコ自体も追われることになったうえ、餌となるヘビやトカゲも減ってしまった。
そして、「カワイイ~」が密漁の増加に繋がってしまったためです。
前述したように、スナネコはペットにまったく向いていません。
人に懐かないばかりか、スナネコも人に飼われると1ヶ月ほどしか生きないのです。
砂漠という特殊な環境に呼吸器が適応したため、砂漠以外の場所では感染症にかかりやすく、それが快適な室内でもスナネコにとって悪環境なわけです。
それだけデリケートなネコってことですね。
スナネコのいる動物園も世界にたった4つしかありません。
残念ながら日本にはないです
それでも心無いマニアは、可愛いスナネコを手に入れたがるのでしょう。
■補足
2020年3月から栃木県の「那須どうぶつ王国」でスナネコが見られるようになりました。
赤ちゃんも生まれ、人懐こいのだそうです。
もちろん日本初。元気に育ってくれるといいですね。
ドイツやイスラエルの動物園では繁殖も行われていますが、成功は半分くらいだそうです。
ベビーフェイスで「砂漠の天使」なんて呼ばれるスナネコですが、種そのものが天国に行っちゃいそうなほどその生存はピンチ。
せめて密漁や自然破壊だけでも食い止めて、生息を守ってあげることが喫緊の課題です。
まとめ
その愛らしさで人気も高まっているスナネコ。
同じ砂漠の生物でも、この前に書いた「モンゴリアンデスワーム」とはえらい違いだ。
でも、スナネコを取り巻く問題はとても大きく、いつ絶滅してもおかしくありません。
大きな耳や長い毛、子ネコ顔と魅力山盛りのスナネコも、実は苦難の道なのです。
しかし嬉しいことに、最近は繁殖プログラムも発達して、少しずつ増えている傾向だといいます。
研究者もこの結果に手応えを感じているようです。
スナネコの未来に少し日が射してきたといえるかもしれませんね。
コメント
著作権侵害多すぎませんか?他のサイトよりはマシかもだけど訴えられますぜ