「大蛇」はワクワクする存在です。
お会いしたくはないけれど、目撃談や遭遇譚を聞くのは楽しい。
桁外れに大きなヘビ。
それは純粋な恐怖でもあり、どこか神がかった印象もあるものです。
だいたいどこの地域にも「大蛇伝説」「大蛇の噂」がありますよね。
しかし、ヘビは横長の生き物。
サイズの目測は難しく、どこまで本当かわからない。
ヘビはどこまで大きくなれるのでしょうか?
各地の大蛇伝説・目撃談から、考察してみようと思います。
南米の大蛇
ヘビは神話にもよく登場します。
日本で大蛇といえば「ヤマタノオロチ」。
海外に目を向けても、
インドの「ナーガ」
ギリシャ神話の「ヒドラ」
北欧の「ヨルムンガンド(ミドガルズオルム)」
中南米の「ケツァルコアトル(ククルカン)」
……など。
半人半蛇の神も多い。
ヘビという生物に対する「畏れ」「畏怖」「神性」は、人類に共通なのかもしれません。
大蛇となれば、もう「神」「悪魔」のレベルでしょう。
神話の大蛇・ドラゴンは、実在した巨大ヘビが基になっている可能性もあります。
では、現実の大蛇はどれほど大きいのか?
大蛇の目撃では「パーシー・フォーセット大佐の一件」が有名です。
18mの大アナコンダ!
1906年。
アマゾンを探検していた、イギリス軍人フォーセット大佐が、大蛇と遭遇します。
それは全長18mのアナコンダ。
アナコンダは最大9mにもなる巨大ウワバミですが、倍もある!
普通は6m以下です
フォーセット大佐は、アマゾン調査に大きく貢献した探検家。
インディー・ジョーンズのモデルでもあります。
ホラを吹くような人物ではありません。
アナコンダも見慣れていたはずです。
信憑性は高いでしょう。
この目撃談は、近年まで疑問視されていました。
大きなアナコンダの個体と遭遇し、
さすがのフォーセット大佐も驚きのあまり、
かなり大きく見積もったのではないか。
確認されているアナコンダの最大は9mですが、10m超えもいるだろうといわれているのです。
実際は12mくらいの特大アナコンダだったのでは?
著名な探検家だって人間。
どでかいヘビに肝をつぶし、数字を盛っちゃうこともある。
「大袈裟な話」ってやつです。
それが2009年。
新たな発見で、
「本当に18mだったかも」
と見直されることになりました。
古代の大蛇ティタノボア
南米にはかつて「15mの大蛇」がいたとわかったのです。
新たな化石「ティタノボア」の発見。
長さ13~15m。
重さは1t以上。
胴体の太さが1mもあった。
6000万年ほど前に生息していた「史上最大のヘビ」です。
しかも、15mが最大なのか、もっと大きくなるのかは不明という、ロマン溢れる大蛇。
銭湯の煙突みたいなヘビだ!
風呂屋の煙突、間近で
見たことないんだけど……
ティタノボアは現在の最大種アミメニシキヘビ(9.9m)の近種で、アナコンダとも遠くない種類のヘビ。
フォーセット大佐が出会ったのは、ティタノボアの生き残り?
そんな空想もしたくなるじゃありませんか!
南米は大蛇の目撃が多い土地。
30mだの40mだの、フカシすぎな話も少なくありません。
でも、アマゾンを擁するだけあり、トンデモ大蛇がいる気もします。
ただし、限界はあるでしょう。
ヘビの大きさに限界はあるか?
大蛇の実在の根拠で、
「ヘビは死ぬまで成長する」
という話があります。
気候や栄養次第で、何十メートルにもなるのだと。
これは間違い。
「成長期が長い」だけなのです。
ヘビは老齢でも成長します。
人間でいえば「60代、70代でも背が伸びる」って感じ。
そんなヘビも高齢になれば成長は止まる。
「どこまでも大きくなる」わけじゃありません。
また、ティタノボアがいた時代は、今より温度も高かった。
現在では熱帯雨林のアマゾンとはいえ、ティタノボアレベルになるのは考えにくい。
大きな個体でも13m前後。
このあたりが現実的な数字ではないでしょうか。
こんな大蛇は、熱帯にしかいないと思われます。
しかし、この日本の四国でも10m大蛇の目撃があるのです。
大蛇は日本にもいる!
1973年(昭和48年)。
徳島県美馬の剪宇(きりう)峠で、
全長10m、太さ30cmの大蛇が目撃されました。
「剣山の大蛇」と呼ばれる、有名な昭和のUMAです。
剣山の大蛇
草刈り作業をしていた男性5人。
その草陰からニュッと鎌首を持ち上げたのが、2mもの大口を開けた大蛇。
青黒い背中に、黄色がかった腹部。
見えた部分は5mほどでしたが、見えない下半身を合せれば、10mはあったといいます。
5人はもちろんダッシュで逃走。
後日、100人を超える調査員が調べた結果、大蛇が這ったような跡は確認されたものの、実物の発見はならず。
その後の目撃もありません。
剣山付近には古くから大蛇伝説があり、同じ四国の高知県では「7mの大蛇の目撃」もあります。
日本の大蛇の正体とは?
日本で最大のヘビは、沖縄の宮古・八重山地方の『スジオナメラ』。
固有の「サキシマスジオ」と、台湾から移入した「タイワンスジオ」がいて、長さは2.5~2.7m。
4m近くになる個体もいるようです。
それでも四国で目撃された大蛇には、だいぶ足りません。
珍しくないアオダイショウ、ヤマカガシ、シマヘビなどは2m以下で、そんなウワバミにはなれない。
このことから、剣山の大蛇は動物園・見世物小屋あるいはペットで日本に持ち込まれ、逃げたか放たれたかしたニシキヘビ種であったと考えられます。
多くの大蛇は冬眠しない種なので、冬に力尽きたのでしょう。
こちらがサキシマスジオ。
大蛇感はあまりないかな……。
今は空前のペットブーム。
無責任な飼い主が自然に放った大蛇と、エンカウントする確率は高いと言えそう。
一方で「見間違い」「サイズの誤認」も有力です。
ヘビの長さは間違えやすい
ヘビは「紐のような生き物」。
「クチナワ」「ヒモムシ」という呼び名も、それが由来でしょう。
ヘビは横倒しになっていて、蛇行していたり、とぐろを巻いていたり。
パッと見で長さを測るのは困難です。
渦巻き蚊取り線香は
約75cmらしいですよ
そして、人間の観察力。
大きなヘビに出くわせば驚くし、錯覚が起こっても仕方ありません。
見たものを大きく言いたい心理も働く。
実物が捕まらない以上、証言はかなり怪しいと言わざるを得ません。
1970年代はUMAブームでした。
ツチノコが世に知られたのもこの頃です。
日本各地に10m以上の怪物がウヨウヨしていたようなご時世。
剣山の大蛇も、それらのサイズに釣られたんじゃないかと思えるのです。
でも、10mと誤認するなら、5mは下らないヘビでしょう。
2mを10mと間違えるとは思えない。
フォーセット大佐や、四国の人が見た大蛇が、規格外であったことは確かなようです。
まとめ
実物の大蛇は動画サイトでも見られます。
その迫力はとにかくスゴイ!
10mなんてなくても、ほとんどモンスターです。
そんな外世界の大蛇の噂に尾ヒレがついて、神話になったのでしょう。
現実の大蛇を見れば、さらに大きいのがいてもおかしくない。
ティタノボア級もあり得ます。
大蛇は可能性の高いUMAだと思います。
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