牙のないゾウが増えている?象牙の役割とゾウの変化

ゾウの画像 陸生動物

長い鼻、大きな耳、そして立派な牙。

これがゾウの3種の神器。(たぶん……)

ゾウはこの3つの設定があるだけで、極めてキャラ立ちしている動物でしょう。

しかし、長い鼻と大きな耳は役立ちそうだし、使い勝手もありそうなのに、牙はあまり使われているように見えない。

あの牙で戦っているイメージがないんですよ。

牙はどうやって使っているのか?

防衛用の見せ武器でしょうか?

さらに、あの牙は象牙として人間に重用されるため、狙われる原因にもなっています。

最近、牙のないゾウが増えているのだとか。

なくてもいいものってことですかね。

今回はゾウの牙にまつわる物語です。

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人は象牙が大好きなのか?

どうも人間というのは、動物の牙や角になにやら思い入れが強い気がします。

イッカククジラの角がユニコーンのものとして高値で取引されたり、サイの角のグラスには解毒効果があるといわれたり、すごい特殊なものと信じ込むふしがある。

これは古今東西あまり変わらないようで、石器人が彫刻したマンモスの牙や、首飾りにされた獣の牙や角も見つかっています。

たしかに、体から突き出したトンガった物体は目を惹きます。

それだけで強力な必殺技が使えそうに見える。

サンダー系のやつ

中でも立派なのはゾウの牙です。

大きなものでは長さが3m。重さも100kg近くになります。

これが象牙という高級品なのはご存知の通り。

淡い色味と加工のしやすさで、ヨーロッパでは昔から工芸品の素材に使われました。

15世紀の頃になるとアジアにも象牙は入ってきて、日本や中国で緻密な芸術品も作られます。

そのため、ゾウは牙を得るために狙われ、数をどんどん減らしているとニュースでもよく見ますよね。

「このままではゾウが絶滅する!」

ということで、1989年のワシントン条約で取引が禁止。

日本では在庫がある分の加工、国内の取引が認められていますが、海外では新たな加工、取引まで禁じられています。

しかし、非合法に象牙を取引する事例も後を絶たず、密漁は現在進行形で続いています。

アフリカではレンジャーと密漁ハンターのイタチごっこです。

ゾウは牙のせいで酷い目に遭ってきたといえますね。

その自慢の牙、そもそも何をするためのものなんでしょうか?

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ゾウの牙はこうやって使う

ゾウの牙は前歯が発達したものなので、主に犬歯が伸びた牙というよりは「出歯」になります。

下に向かって伸び、上に反りかえっているのが象牙の特徴。

つまり、下から上に突き上げて使用するわけです。

ゾウは長い鼻で果物や草を巻きとって、口に運んで食べるイメージですが、ときには木の根や樹皮も食料にします。

あの巨体を維持するのだから、食えるものは食っとけ精神。

あの牙の形状は根を掘ったり、樹皮をこそげ落とすのに都合がいいんですよ。

牙は邪魔なものをどかす作業にも使われます。

フォークリフトの爪のように下にこじ入れて、倒木などをひっくり返すことができる。

まさに生物重機だね

もちろん、武器としても使います。

平和的なゾウだって、たまには争う。

オス同士が牙を合せて、ガツンガツンとやりあう。

横でメスが「私のために争わないで」と泣いているかどうかは知らないけど。

とにかくゾウのケンカです。

これは迫力あるでしょうね~。

と、牙はいろいろと使い道もあるんです。

あの形ならお姫様だっこもいけると思う。

長く太い牙こそ、強いゾウの証しともいえそうです。

でも、最近は牙のないゾウもよく見られるんだそうですよ。

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牙なしゾウが増加中!象牙はますます貴重に‼

ゾウの画像

考えてみると、ゾウのみんながみんな立派な牙を持っているわけではありません。

動物園のゾウは貧相な牙なことが多い。

ちょっとガッカリ……って経験、誰でもあるんじゃありませんか?

あれは檻にぶつかって折れたりするからなのだそうです。

さすがに象牙も鋼鉄には歯が立たない。(前歯だし)

牙は折れてもまた伸びるのですが、だいたいは中途半端な牙になってしまうんですね。

牙が伸びるなら、わざわざゾウを殺さずに途中で切った象牙を使えばいいと思うかもしれません。

しかし、象牙は根元に近いほど価値があるので、密漁者は殺して奪ってしまうのです。

仮に生かしたまま牙を抜いても、ゾウは長生きしないんだとか。

抜かれた個所から菌などが入り、病気にもなりやすいのが理由。

人間も歯は大事にしなきゃです

ところで、最近は牙のないゾウが増えているという調査結果があります。

「人間に殺されて盗られるくらいなら牙なんかいらねぇや!」

そんな抵抗かな~と思えますが、事実は違います。

牙ありのゾウが密漁され、牙なしのゾウの生き残る割合が増えたため、それが遺伝された結果なのです。

どちらにしても悲しい話です。

このままでは、ゾウが絶滅しなくても、牙のあるゾウがいなくなってしまうかもしれません。

ゾウの3種の神器なのに!

いつの日か、「昔のゾウは牙があったんだって」なんて子供に教える日が来るんでしょうか?

そうならないでほしいですが、ゾウの密漁は減りません。

ゾウの生息地が貧困国に多いというのも、密漁に拍車をかけています。

ゾウの変化は人為的要因で起こっているのです。

立派な牙のゾウが希少種にならないことを祈るしかありません。

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まとめ

ゾウの牙には使い道も多く、なくてはならないものです。

反面、その牙のせいでゾウの生存が脅かされているというジレンマ。

牙のないゾウは密漁からは逃れられるかもしれません。

それを「進化」という意見もあります。

でも、それが僕にはやむにやまれぬ「欠損」に思えてなりません。

今ゾウ達は本当に幸せなのでしょうか?

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