時には殺し合うカピバラの野生「優しいだけじゃ生きられない!」

カピバラの画像 陸生動物

この記事で紹介するのは『鬼天竺鼠/オニテンジクネズミ』

アマゾンに生息し、固い剛毛と巨大な歯を持っています。

なんとも怖ろし気な動物ですね。

この動物、実は『カピバラ』

温泉につかってボーっとしているアイツです。

人懐こく、いかにも温厚そう。

カピバラってそんな印象じゃないですか?

でも、生息地は猛獣、凶獣がひしめくアマゾン。

動物界の「修羅の国」で生きているカピバラが、タダモノであるはずがない!

癒し系の見た目の裏に、強かな生態が隠れているかもしれませんね。

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なぜカピバラはモテるのか?

世界最大のネズミとして知られるカピバラ。

大きい顔と、くびれのない胴に、短い四肢。

その体長は1~1.3m、肩までの高さも60cmほどあります。

体重はおよそ50kg。

73kgの記録もある

まあ、小ぶりのイノシシくらいもある大ネズミです。

「ドブネズミの親分じゃねーか!」とも思う。

だけど各地の動物園にいて、トップクラスの人気者。

それには理由があります。

・人懐こい

人に触られても平気。
好奇心が強く、人に寄ってくる。
「可愛い!」

・包容力

カピバラは近くにサルや小動物がいてもなにもしない。
「優しい!」

・温泉好き

寒い日本の冬はきつかろうと温泉に入れてみたら大当たり。
今やカピバラ温泉は施設の目玉。
「癒される!」

・警戒心が薄い

よく地べたでゴロンと無防備に寝ている。
リラックスしすぎ。
「面白い!」

こうした野生生物らしからぬ「ユルさ」がカピバラの魅力。

人間でもモテそうな性格ですね。

のんびりと動じないオトナの生態というか。

一言で言えば「人畜無害」

悪く言うなら、かなりの甘ちゃんです。

しかし、生き馬の目を抜くようなシビアなアマゾンで、生きてゆけるのでしょうか?

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実は肉体派?意外なカピバラ

カピバラの画像

カピバラは半陸半水の動物です。

だいたいは水辺で20頭前後の群れで暮らし、陸と水中を行ったり来たりしています。

優秀なランナー&スイマーだった!

陸上での速さは時速50kg。

あの体型からは想像できませんが、かなり機敏です。

水中でも泳ぎは得意。

5分くらいなら潜水もできるし、鼻だけを出して水中睡眠もできる。

アマゾンは陸にジャガーやピューマ、水中にはワニやアナコンダと天敵も多い。

どこにでも逃げられることは重要です。

水陸どちらにも適応してないと、生きてゆけないのでしょう。

タワシのように固い毛も持っています。

これはカピバラとヤマアラシが近種だから。

やはり防御用と考えられます。

思ったよりモフモフではありません。

だけどあまり防御になってなさそう

そして、大きな前歯

ネズミですからね。

前歯は攻撃用というのではないのですが、噛む力は強い。

人間の指くらいならへし折られます。

下手に手を出すと、痛い目に遭うこともある。

血の粛清 カピバラ殺傷事件

2018年のクリスマスイブ。

年の瀬が迫った茨城県の動物園で、一頭のカピバラが無残な姿で発見された。

「まるお(死んだカピバラの名前)にいったい何が?」

のんびり、仲良しに見えるカピバラの群れ。

楽園のような場所で起こった、陰惨な事件。

「この中に善人ぶった犯人がいるのか」

すいません、ちょっとサスペンスに味付けしちゃいました。

この事件は、まるおの兄「おもち」の仕業だったのです。

カピバラは仲間意識、縄張り意識の強い動物。

おもちは、まるおを別な群れのオスだと勘違いし、攻撃したらしい。

敵だと思っていた相手が実の弟だった!

海の見える崖の上で告げられた真相に、おもちが泣き崩れるシーンだ。

基本的にカピバラは専守防衛。

しかし、別な群れの侵略や子供のカピバラへの脅威については攻撃も辞さない。

ちょっかいを出したサルを血祭りにあげた例もある。

殺し合いだってするんです。

そのくらいじゃないと、アマゾンでは生きてゆけません。

平和主義に思えるカピバラも、野生の闘争心は失っていないのです。

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巨大ネズミの世界

「もっとも大きいげっ歯類」のカピバラ。

小さい動物の代表格ネズミの中では、異端に思えます。

でも、ネズミは種類が多く、大型種もけっこういるんです。

大ネズミはカピバラだけじゃない!

例えば、日本でも繁殖しているヌートリア

体長50cm、尻尾まで入れると1m近くになる。

ネズミ自慢の繁殖力の強さで、害獣として問題になっていますね。

水生植物、農作物が大被害!

他にも、南米の
パカラナ(体長50cm)
パカ(体長50~80cm)
アグーチ(体長40~70cm)
マーラ(体長70cm)など。

ペットで人気のチンチラも30cm弱のネズミです。

また、都会ではネコに匹敵するほど育ったドブネズミもいる。

昔はもっと凄いネズミもいました。

3mのカピバラがいた?

やはり南米にいた
フォベロミス(約800万年前)、
ヨセフォアルティガシア(約400万年前)
はカピバラのような姿。

ただし、大きさは3m!

体重も1t以上で、牛よりもデカい。

カピバラ同様、水中にいることが多かったらしく、ほとんどカバみたいなネズミだったんでしょう。

両者は直接カピバラの祖先とはいえないのですが、
生態も近く、近縁なのは間違いありません。

Josephoartigasia monesi

カピバラが突出して大きくなったわけじゃない。

小さくまとまった多種のネズミの他に、カピバラなどの大型ネズミが大きいまま残っている。

大きくなければアマゾンは厳しかったからかもしれません。

平和そうに見えるカピバラですが、アマゾンで生きる強さを持った大ネズミなのです。

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まとめ

癒し系のカピバラは日本で大人気。

性格も優しく、誰からも好かれています。

でも、カピバラだってアマゾンで生き抜く猛者。

水陸で素早く動き、時には攻撃的にもなる。

僕らが知るカピバラは、動物園というぬるま湯でボケている姿なのでしょう。

ネズミは一番繁殖している哺乳類。

カピバラなどの巨大ネズミを見ると、その多様性こそがネズミの強さなんだろうな~と感じるのです。

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