悪魔憑きは実話?精神病との関係とエクソシストの真実

悪魔憑きの画像 その他

ホラー映画の金字塔『エクソシスト』

少女に取り憑いた悪魔を祓うというストーリー。

「首がぐるん」や「ブリッジの階段降り(ディレクターズカットのみ)」のシーンが有名です。

映画のヒットで「悪魔祓い」が世に知られました。

それが実話を基に作られ、現実に行われていることも。

悪魔憑きの事件は多く記録が残っているのです。

悪魔を祓う行為が「エクソシスム(エクソシズム)」。

それを行う専門家が「エクソシスト」。

日本では「祓魔師(ふつまし)」と呼ばれます。

自分が悪魔に憑かれるなんて考えただけで首が痛い。

でも、「悪魔憑き」とかピンと来ない。

「悪魔を宿す自分」を演じている中二病じゃないのか。

僕など社会人二年目くらいでもそんなこと妄想していたし。(自慢にならない)

だいたい、悪魔がやっているにしてはセコい気しません?

ガキに憑依している暇があったら、世界の破滅とかに勤しめよと思う。

悪魔祓いだって、それっぽい儀式めいたことして「神父様スゲー感」出してるだけなのでは?

なんかすべてが芝居臭いんですよね~。

それとも、人間は病気などで悪魔に変わったりするんでしょうか?

だとしたら、誰でも悪魔に取り憑かれる可能性がある!

エクソシストの現実はどうなんでしょう?

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映画になった実話

悪魔祓いを知らしめた映画『エクソシスト』。

これは1949年にアメリカ・メリーランド州で起こった悪魔憑き事件をモチーフにした小説が原作。

映画では少女リーガンが被害者でしたが、史実は13歳の少年が憑依されました。

『エクソシスト』を生んだ事件

最初は奇妙な音がするラップ現象。

そして食器や家具が動くポルターガイスト。

やがては少年が見えない何かに引きずられたり、奇怪な行動をとりだします。

ホラー映画お決まりの流れですね。

病院に入院させて様子を見ていたところ、少年の腹部に「セントルイスに行け」と文字が浮かびます。

そこで悪魔を祓えというメッセージです。

セントルイスの親戚宅で悪魔祓いが行われました。

少年は神を冒涜する言葉を吐き、子供とは思えぬ怪力で抵抗。

悪魔と神父の永い戦いが続きます。

ある日、少年は「天使の夢を見た」と告げます。

その後は何も起こらず、エクソシスムが成功した。

――と、ざっくりこんな話。

ちなみに、この少年は成人してNASAで働いていたとのこと。

自分が「エクソシスト」のモデルになった過去が知られないか常に怯えていたそうです。

『エミリー・ローズ』と『悪魔のせいなら無罪』

映画になった事件は他にもあります。

映画『エミリー・ローズ』の基になったのが、
ドイツの女性アンネリーゼ・ミシェル

十代の中頃から妄想や幻聴に悩まされるように。

病院の検査では問題なし。

で、神父が頼まれて様子を見ると……。

アンネリーゼは恐ろしい声を発し、虫を食べたりする。

それらは神父によって詳細に記録されています。

「悪魔が憑いている!」

エクソシスムが開始されます。

その結果、アンネリーゼには6人の悪魔が憑いていると判明。

・ルシファー(地獄の王)
・カイン(竜騎士じゃなく弟アベルを殺した)
・ユダ(妖星の……じゃなくキリストを裏切った使徒)
・ネロ(ローマ帝国の暴君)
・フライシュマン(16世紀に破門された司祭)
・ヒトラー(ナチスドイツ総統)

悪魔というか悪人のてんこ盛りという面々。

むしろルシファーが浮いているような……

67回も悪魔祓いを受けるも、悪魔たちは去らない。

アンネリーゼはマリア様に「悪魔に苦しめられている人のため、悪魔と共に命を捧げてほしい」と言われ、餓死することを選んだのでした。

人を殺し、「悪魔に操られてやったこと。だから無罪」と主張した男もいます。

1981年の事件当時19歳だったアーニー・ジョンソン

『死霊館』シリーズの『悪魔のせいなら無罪』で描かれています。

この裁判は全米で注目を浴びました。

悪魔事件は真偽が怪しい

映画になったこれらの事件。

どう思いますか?

ポルターガイストなどを除けば、ほとんどは演技でもできそう。

アンネリーゼに憑いた6人も、悪魔はルシファーだけ。

他はキリスト教圏でよく知られた悪人というだけ。

イタコ芸みたいですよ。

アーニーに至っては、ただの言い訳です。

彼の判決は有罪。

「悪魔のせいなら無罪」が通れば、みんな悪魔のせいにしますもんね。

しかも、紹介した3件の被害者はみんな中二病こじらせそうなお年頃。

ポルターガイストや宙に浮くといったお決まりの出来事。

これだってどこまで事実なものか。

作り話に加えられた嘘とも思えます。

悪魔憑きの事例は数多い。

ただ、自己申告が主なので、客観的事実に乏しい。

そんな事例は現在、むしろ増えているのだとか。

ということは、悪魔憑きは中世のオカルトというより、現代病と捉えるのがいいでしょう。

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脳と心と悪魔憑き

日本では「狐憑き」「獣憑き」が悪魔憑きに当たります。

動物霊に憑依され、奇行を繰り返す症状。

僧侶、修験者、祈祷師などが治療をしました。

日本のエクソシストですね。

悪魔憑きは、悪魔の概念がない国でも起こるのです。

それなら病気という説明が妥当でしょう。

概ね精神病で説明がつく!

江戸時代にも「狐憑き」が精神疾患であることに薄々感づいている人がいました。

「てんかんの発作」や「統合失調症」が、狐憑きの症状に似ていたからです。

突如の痙攣、幻覚や幻聴、異常な行動。

悪魔憑きでも鉄板の兆候です。

「悪魔憑き=精神病」はずいぶん前から疑われていたんですね。

最近では「抗NMDA受容体脳炎」が注目されています。

抗NMDA受容体脳炎は脳の感染症。

神経の流れを受け取る受容体に抗体ができて、通常に伝達できなくなります。

初期は頭痛と発熱。

進むと「激しい痙攣」「異常行動」「幻覚・幻聴」「不随意運動」「興奮・錯乱」「昏睡」などを起こします。

『エクソシスト』のモデルの少年の症状も、だいたい抗NMDA受容体脳炎で説明がつくそうです。

この少年は後に「自分は悪魔に憑かれていなかった」と言っています。

「全部演技だったんだ」という意味にもとれますが、脳炎の症状が悪魔憑きと認識されて処理されたと考えられる。

もちろん、悪魔憑きのすべてが精神病とは言えません。

しかし、多くの場合がそうであると、エクソシストは語ります。

エクソシストの役割

癒しの画像

エクソシストは実在します。

バチカンが認めているし、エクソシストの協会もあります。

また、教会に認められていない個人営業のエクソシストも少なくない。

霊感商法レベルのものも多いと言います。

需要があるという証拠ですね。

精神疾患はまだまだ理解されにくい。

本人も家族も苦しむ。

でも、他人とはなかなか共有しにくい悩みです。

病院に行っても、安易に「躁鬱」と診断され、薬を出してもらう程度。

著名な医者に診てもらいたいけれど、それもできない。

そんな時、頼るのがエクソシストなのです。

彼らはまず対象者が精神病か悪魔憑きか見極めます。

知るはずのない言語で話すとか、超常的なパワーや能力を見せるなどなら悪魔憑きの可能性あり。

しかし、ほとんどは精神病か演技だそうです。

それでも依頼があれば悪魔祓いを行います。

対象者が心の安寧を感じ、症状を和らげる。

それは医者ではなく、聖職者の仕事だからです。

宗教、信仰の力は侮れません。

要は「暗示」「気の持ちよう」なのです。

パワースポットに行くと心が晴れる心理と同じ。

実際に儀式を行った後、症状が収まる人もいるようです。

芝居がかったカウンセリングといったところでしょうか。

悪魔憑きはまず「ない」と思います。

すべてを否定はしませんが、悪魔もそんな暇ではないでしょう。

でも、悪魔的な症状を発する人もいれば、悪魔に憑かれたと思い込む人もいる。

そうした人々に救いの手を差し出すのがエクソシストです。

「ヤラセでしょ」と否定するのは容易い。

ただ、救われている人もいることは事実なのです。

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まとめ

映画のヒットで有名になったエクソシスト。

千年以上前から存在し、その技法が受け継がれてきました。

なんだか特別な能力で悪魔に立ち向かうヒーローな印象がある。

でも、悪魔憑きのほとんどは脳障害や心の病。

その苦しみに悩む人々を救うのが主な仕事みたいです。

そして、現在も活躍。

戦う相手は悪魔ではなく、悪魔のようになった人間の心の闇なのです。

なんたってストレス社会ですから。

上手に発散しないと、あなたも悪魔に魅入られちゃうかも……。

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