コロポックルは小人じゃない!アイヌの妖精は実在した種族?

コロポックルの画像 その他

小人や妖精の伝説は世界中で見られます。

日本ではアイヌの物語に出てくる
「コロポックル」がそれに当たるでしょう。

フキの葉の下に住むという小人です。

「コロボックル」とも呼ばれますが、ここではポックルで統一します。

僕は北海道生まれなので、子供のころからコロポックルの話は聞いていました。

フキの繁る場所に行くと、今でもつい「いないかな」と覗いてしまう。

虫くらいしかいないんだけど。

コロポックルは童話や漫画にもよく登場します。

妖怪、妖精、精霊という扱い。

近頃はアイヌ文化にも関心が高く、知る人も多いでしょう。

でも、コロポックルが実在したという説もあります。

かつて世界中に、妖精のモデルとなった小さな人種がいて、北海道にもいたということなのでしょうか?

調べてみると、どうやら小人でもないらしいのです。

お馴染みの可愛らしさは後付けっぽい。

じゃあコロポックルとは何者なのか。

考えてみましょう。

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コロポックル伝説の誤解

アイヌ民族は自然と共に暮らしています。

いわゆる「アニミズム」で、民話にも「自然の精霊」「神の化身の動物」がよく出てきます。

ただ、コロポックルはもう少し実在感がある。

アイヌと共存する、別な種族といった雰囲気があるのです。

代表的な物語はこんな話です。

コロポックルはアイヌが住み着く以前からいた先住民。
背が小さく、フキの葉を屋根にした竪穴に住み、アイヌには友好的でした。
姿を見られることを嫌い、夜に窓から食料などを贈っていたそうです。
ある日、一人の若いアイヌ人が、コロポックルの姿を見ようと待ち伏せして、窓から入れられた手を掴み、引っ張り入れると、美しい女性のコロポックル。
その行為に起こったコロポックルは、「トッカプチ(水は枯れろ、魚は腐れ)」と呪いの言葉を残し、姿を消してしまった。

ストーリーは土地ごとに違いがあります。

似た話は北海道から樺太、南千島に伝わっています。

どこもアイヌ人の住む土地で、アイヌ全体でコロポックルは共有されているんですね。

この「トッカプチ」が、現在の帯広市などがある「十勝地方」の由来なんだとか。

コロポックルは小人ではない!

コロポックルの特徴は

・背が小さい。

・狩猟をする。

・フキで屋根を葺いた竪穴に住む。

・会うこと、話すことを嫌う。

なかなか具体的じゃありませんか。

そして、よく見れば小人のイメージとは違います。

「フキの葉の下に住む」のがコロポックル。

フキの高さは数十㎝なので、その葉の下の住人は身長10~20㎝ほどの小人って思ってしまいます。

高さが2mもある
「ラワン蕗」というのもあります

でも実際は、フキで葺いた屋根の竪穴に住んでいる。

地面を掘って、上にフキの屋根をかぶせた住処ってこと。

これ、ただの古代人ですよね。

神とか精霊というより、“そういう種族”に感じます。

そこで実在説が出てくるわけです。

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コロポックルの正体は?

妖精の画像

コロポックルの実在には2つの説があります。

「未知の先住民説」「北千島アイヌ説」です。

生き延びていた縄文人

先住民説は、まんま古代人という可能性です。

アイヌ人は縄文人に近いとされます。

稲作をする弥生時代になった後も、寒冷地の北海道は米が作れず、縄文文化をしばらく残していました。

やがて、シベリア方面からも人が入ってくる。

その人々が結びつき、アイヌとなったらしいのです。

「新縄文人」といったところ。

しかし、多民族と混じらなかった「旧縄文人」もいた。

それがコロポックルではないか。

新縄文人のアイヌと、旧縄文人のコロポックルはしばらく共存していました。

物の交換など、交流もあったでしょう。

時が経ち、コロポックルは衰退し、消えてしまった。

かつての隣人が絶えた後も、アイヌ民族の間に口承でコロポックルが伝えられた。

そして、伝説へ……という流れ。

コロポックルもアイヌ人?

北千島アイヌ説は、考古学者・瀬川拓郎が唱えた説。

アイヌ民族は北千島にも定住していましたが、ここだけコロポックル伝説がないのです。

そこで、コロポックル=北千島アイヌと推理したわけ。

北千島アイヌは竪穴住居を作り、交易ではあまり相手と接触したがらない。

ほとんど喋らず、営業に向かないタイプらしい。

あ……僕と一緒(共感)

コロポックルの特徴に合います。

ただ、身長は別に低くありません。

北千島はアイヌ圏でも外れ、オホーツク海の彼方。

他地域のアイヌから「未開のちっぽけな奴ら」と見下されていたのかもしれません。

同族でも、そんな上下関係を作っちゃうのが人間ですしね。

そんな気分が、小人設定に転化されたのではないか。

あり得そうな話です。

消えた小人族の謎

小人、巨人は、世界中の民話に登場します。

このことから、小人族や巨人族がかつて存在していて、言い伝えとして残っていると考えたくなります。

つまり、我々ホモ・サピエンスとは違う、兄弟のような別人種の存在です。

しかし、10㎝の小人や10mの巨人というのはなさそうです。

小人なら100~120㎝、巨人なら2.5mくらいが、実在した人種として考えやすいと思う。

例えば、インドネシアで化石が見つかった「ホモ・フローレシエンシス」

身長は1mほどで、「ホビット」の愛称で呼ばれます。

種族全体が1mだったかは不明ですが、小柄な人種だったことは間違いなく、5万年ほど前までいたようです。

自然人類学者の坪井正五郎は、コロポックルはアイヌより前の先住民族と主張しました。

北海道からシベリア近辺は少数民族が多い。

その中にフローレシエンシスのような矮小で消えた民族がいて、コロポックルのモデルになったとも考えられます。

これはロマンがある!

しかし、全世界にホビット人種がいて、小人伝説や妖精譚になったとしたら、スケールが大きすぎますよね。

そんな広範囲なのに、化石も見つからないなんて不自然です。

これは巨人伝説でも同じこと。

巨人の骨はたまに出るけど、フェイクっぽい

やはり、精霊、神の子孫という空想なのだと思えます。

小さい(大きい)人間は凝ったデザインも要らず、スケールをいじった程度の空想。

そこに古い自然崇拝の考えが加わり、隠れ住む小人が誕生するのは不思議ではありません。

そして、人間に干渉する妖体となる。

コロポックルは河童や座敷わらしみたいな存在ではないでしょうか。

それでも僕はフキの葉の下を、ついつい覗いちゃうんだろうけど。

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まとめ

「森の小人」は楽しい空想です。

真夜中に木陰でドンジャラホイと踊っているイメージ。

しかし、コロポックルはもう少し生々しい気がします。

竪穴住居に住み、オドオドと交易し、時には怒る。

人間っぽいんですよね。

古代人、北千島アイヌの説も納得できます。

一方で、世界中に普遍的にある小人伝説のひとつとも思える。

道産子としては、いつかお会いしたいと思っているんですが、どうかな~?

昨今は「小人」も「巨人」も差別用語なのだそうです。

病気でそうなっている人もいますからね。

この記事ではどちらも多く使いましたが、差別意識など微塵もないことはご理解ください。

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