人類の進化はわかりにくいものです。
まず、ホモ・ハビリスだのホモ・エレクトゥスだの「本種」がある。
そこにネアンデルタール人だの北京原人だの「人種」がある。
どれも長く、ヘンテコな名前なので非常に覚えにくい。
課程や順番もゴッチャになる。
「1とか2と付けてくれればいいのに」と、
ハリーポッターの映画を観るときのように困る。
「サルがヒトになった」とは言いますが、
その数百万年のスパンには複雑すぎる興亡と変遷のドラマがあったのです。
人はどうやって「ヒト」になったのか?
ざっくりと、順を追ってまとめてみました。
サルからアウストラロピテスクへ
ヒトの進化は謎が多い。
現在の学説でも「こうだろう」と言われているだけで、異説を唱える人もいる。
ここで紹介するのは一般的なものです。
ヒトへの第一歩『サヘラントロプス』
ダーウィン進化論でよく言われる「サルがヒトになった」。
これは正確には「ヒトとサルは共通の祖先から枝分かれした」ということ。
時間を2000万年ほど巻き戻してみましょう。
この頃、ヒト上科が古いサルと別れます。
ヒト上科というのは、いわゆる「類人猿」。
テナガザル、オランウータン、ゴリラ、チンパンジーといった「尾のないサル」たち。
ここから、テナガザルが2000万~1600万年前に。
1400万年前にオランウータン、
1000万年前にゴリラが別れ、
700万年前にチンパンジーと袂を分かったのが、人類の祖先になります。
この生物が「サヘラントロプス」。
「チャンデシス」という一属が、アフリカにいました。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki1.png)
「トゥーマイ猿人」とも呼ばれます
実はサヘラントロプスの少し前にも、
「グレコピテクス」
「オウラノピテクス」
という、サル人間みたいのがいて、どれを「最古の人類」と呼んでいいかはっきりしない。
ただ、これらが登場した1000万~700万年前辺りが、人類の始まりと言っていいと思います。
直立したアウストラロピテスク
サヘラントロプスから300万年。
現代から400万年ほど前のこと。
やっとヒトらしい動物がアフリカで生まれました。
これがよく聞く「アウストラロピテスク」。
これは種の名前です。
サル7ヒト3って感じのアウストラロピテスクは、身長が120cmくらい。
直立歩行し、だいぶヒトに近づいた。
立つだけで300万年とは育ちが遅いけど。
このアウストラロピテスク種が200万年ほどもかけて分化し、
「パラントロプス」と「ホモ・ハビリス」
という属が誕生します。
初めて「ホモ」が出てきたわけです。
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「Homo」はラテン語で「ヒト」のこと
パラントロプスは1.4mほどで、獣っぽい。
しかし、ホモ・ハビリスは「ホモ」と名付けられるように、かなりヒト型。
「獣人」といった風情です。
僕らの先祖「ホモ属」の歴史は、ハビリスから始まったのです。
ホモ・ハビリスからホモ・エレクトゥスへ
ホモ・ハビリスは240万年前から、約100万年間生息していました。
その期間中、別な人類も現れます。
「ホモ・エレクトゥス」です。
ヒトに近づいた!『ホモ・エレクトゥス』
ホモ・エレクトゥスの登場は150万年ほど前。
獣人のハビリスと比べ、エレクトゥスは現代人に近く、体毛も薄くなっています。
身長も150cm前後。
もうサルには見えません。
ジャワ原人、北京原人は、このエレクトゥスの種です。
ちなみに、ジャワ原人の旧学名が「ピテカントロプス・エレクトゥス」
いわゆる「ピテカントロプス」。
名前が変わってホモ・エレクトゥスにまとめられたんですよ。
ハビリスとエレクトゥスは、数十万年共存していたようです。
エレクトゥスがハビリスから進化したのか、別種だったのかはわかりません。
ただ、ハビリスが滅んだ後もエレクトゥスは残り、80万年前あたりまでいました。
そして、
「ホモ・アンテセッサー」
「ホモ・ケプラネンシス」
といった、ほぼ現代人のような種へと繋がってゆくのです。
『フローレス人』と『ギガントピテクス』
ちょっと話は逸れます。
アジアで面白い化石が見つかっています。
一つはインドネシアの「フローレス人」。
エレクトゥスの後に出てきた原人で、身長1mのミニマム種です。
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愛称は「ホビット」
もう一つは、100万~30万年前までいたという「ギガントピテクス」。
こちらは身長3m、体重300kg以上のヘビー級。
ただし、ギガントピテクスはオランウータンに近い「巨猿」で、人類とは離れています。
中国、インド、ベトナムに分布していました。
インドネシアで時々目撃される、小型の野人。
そして、アジアのイエティ、野人、アルマスなどの大型獣人。
これらUMAの正体と目されています。
フローレス人は5万年前まで生き残っていたらしい。
原人、巨猿の生き残りは今もいる?
ワクワクしちゃう話ですが、どうなんでしょう?
ホモ・エレクトゥス時代の後期に登場するのが「ホモ・ハイデルベルゲンシス」。
僕は「灰・出る・ベル・源・死す」と2文字区切りで記憶しています。
30万年ほど前までいました。
同時期、ハイデルベルゲンシスのバージョンアップ版も現れます。
「ホモ・ネアンデルターレンシス」。
ネアンデルタール人です。
ネアンデルタール人から現代人へ
ネアンデルタール人の出現で、人類の進化は加速します。
現代人よりも大きな脳を持っていたこの種族は、火や道具を使いこなし、旧石器時代を作り上げました。
『ネアンデルタール人』とヒトの関係
ネアンデルタール人の後が「ホモ・サピエンス」です。
つまり我々「ヒト」。
なので、ネアンデルタール人が祖先と思われがちです。
ただ、はっきりしない。
両種は遺伝的にかなりかけ離れている。
おそらく、直接の祖先ではないでしょう。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki1.png)
現代人にも3%くらいネアンデルタール人のDNAが混じっています
しかし、彼らが残した数々の壁画。
装飾品など、サピエンスに近いセンスを感じます。
死者を埋葬したり、犬を家畜化した痕跡も見られ、ヒト9サル1くらいにはなっていた。
ネアンデルタール人は4~2万年前に絶滅したとされます。
その時期と重なっているのが、「クロマニョン人」です。
原始文明の祖『クロマニョン人』
クロマニョン人は、ホモ・サピエンスの一部。
立派なヒトでした。
有名なラスコー、アルタミラの壁画の作者もクロマニョン人。
4~1万年前の原始人です。
1万年前といえば、世界中に文明らしきものがあった。
縄文時代も始まりは1万5000年ほど前です。
氷河期が終わり、ヒトは世界中に版図を広げた。
洞窟に住み、マンモスを追い、怪しげな宗教みたいのを信じる。
僕らが想像する「原始時代」ですね。
そして、現代の新人となるわけです。
人類の進化をまとめちゃおう!
一般的な人類進化を追ってきました。
ここには書ききれなかったヒト種の亜種も多く、それらが絡み合って僕らはできているのです。
簡潔に覚えるなら
- サルからヒトへ『サヘラントロプス』(700~400万前)
- 二足歩行の『アウストラロピテスク』(400~250万前)
- ついに人類『ホモ・ハビリス』(250~150万前)
- 北京原人・ジャワ原人の『ホモ・エレクトゥス』(150~80万前)
- 重要な繋ぎ『ホモ・ハイデルベルゲンシス』(80~30万前)
- 石器時代到来!『ネアンデルタール人』(30~4万前)
- やっとサピエンス『クロマニョン人』(4~1万前)
- 現代人
で、いいでしょう。
まとめ
カタカナが並ぶと、どうも頭に入らない。
人類の進化もそれで覚えにくいですよね。
たくさんの種が現れ、交雑し、古いものが淘汰されてゆく。
そして、僕らになるのです。
数百万年でこれだけ進化するのは、生物界でも稀有でしょう。
半分サルと馬鹿にできません。
改めて見ると、原始時代はたった1万年前。
未来人から見たら、僕らも原始人がちょっと進んだ程度かもしれないのです。
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