ペットでもお馴染みの水生動物。
「アカミミガメ(通称ミドリガメ)」と、
「アメリカザリガニ」。
この2種が『条件付特定外来生物』に指定されました。
特定外来生物とは「日本で悪さをする外来種」のこと。
平成5年6月1日から、両方とも飼育や放出などが規制されることになったのです。
つまり、これまでと扱いが変わる。
飼っている人には「いきなりなんやねん?」でしょう。
どちらも以前から生態系を壊すと悪評はあった。
正直、「なんで今頃?」って気もする。
まあ、「特定」は一年前に決まっていたのですが、唐突感は否めない。
前々から黒い噂のあった大手芸能事務所のスキャンダルを、突然報じ始めたみたいな不自然さも感じちゃいます。
とにかく、お上には逆らえない。
アカミミガメ、アメリカザリガニ(長いのでこの記事ではアカミミ・アメザリにします)。
今までは許されていたことが禁止され、法で裁かれる場合もできる。
何が変わるのか?
この機会に「特定外来生物」とはなんなのかも、改めて知っておきましょう。
特定外来生物になるとどうなる?
アカミミガメとアメリカザリガニ。
この2種はアメリカが故郷です。
アメザリはウシガエルの餌として。
アカミミは主にペット用で、日本に持ち込まれました。
それが捨てられたり、逃げたりして、日本に定着。
今ではどこの水場でも見られるようになりました。
この「よそ者」、繁殖力も生命力も強い。
そうして日本の固有種を脅かしているのです。
特定外来生物防止法について
『特定外来生物防止法』は2005年から施行されている法律です。
正式名は『特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律』。
なんの洒落っ気も感じない、「まんま」な名称。
「海外からいろいろな生物(植物も含む)が日本に入っている」
「中には定着し、増えているものもいる」
「人への害や、生態系に悪影響のものもいてヤバい」
「その防止のため、害獣害虫を特定し、販売や飼育に規制をかけよう」
という法律です。
有名どころだと「アライグマ」「ヌートリア」「ブルーギル」「カミツキガメ」「ウシガエル」「ヒアリ」など。
要は「ブラックリスト入り」。
指定された生物は、様々なことが禁じられます。
何が禁止されるの?
・飼育(植物の場合は栽培)、移動させることはダメ
飼うのは原則禁止。
許可を得れば飼えるものもいます。
別な場所へ移すことも許されません。
捕獲は許されますが、家に持ち帰るなどは移動になり罰則があります。
捕獲した場所にリリースするのはOK。
・販売もできない。
もちろん売れません。
ペットショップ、ホームセンターに置かれなくなります。
譲渡は認められますが、お金を取ると販売となります。
・輸入してはいけません。
許可なく輸入するのは違法です。
・自然に放す(植物は植える、種をまく)のは禁止。
危険生物を解き放つんですから禁止は当然ですね。
誰かに譲る場合、相手が飼育許可を持っていなければ、放出と見なされます。
これらに触れると、個人なら3年以下の懲役か罰金300万円以下。
許可なくペットにするだけでも、1年以下の懲役か罰金100万円以下の罰則。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki1.png)
法人は罰金1億円もある
まあ、実際は重罪になるのはよほど悪質な場合ですが、知らないでやっていても罪になります。
特定外来種はおいそれと扱えないのです。
ここにアカミミとアメザリが、平成5年6月遅ればせながら加えられたというわけ。
特定できなかった理由
アカミミ、アメザリは、どちらも悪名高い。
迷惑な外来種として知られていました。
でも、特定外来生物とはされなかった。
ペットにしている人が多かったからです。
飼育が簡単で、費用もそうかからない。
小さいスペースで飼えるし、鳴いて迷惑にもならない。
僕も子供時代、両方飼っていました。
子供が欲しくなるような生き物なのかも。
子供のお小遣いで間に合うペットですしね。
日本では数百万もの個体が飼われていると考えられていたのです。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki2.png)
どちらも“臭かった”記憶しかない
それを特定外来生物にしたら……。
法の施行前に、駆け込み?で捨てる人が大勢いるかもしれない。
飼育数が多いだけに、一斉に捨てられたら阿鼻叫喚。
そんな理由で目こぼしされたのです。
それが「特定」された。
アカミミとアメザリにも、上記した禁止事項が適用されることになったのです。
ただ「条件付」となっている。
この2種は、他の特定生物と違う点もあるのです。
今後も飼育はできるけど……
![アメリカザリガニの画像](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2023/06/26576537_s.jpg)
飼育数が多いことで棚上げされていたアカミミとアメザリ。
しかし、特定外来生物防止法ができたことで、両者のデメリットがクローズアップされることも増えました。
日本中で大繁殖。
元々いた生物が駆逐されている。
そんな「侵略者」のレッテルが貼られたのです。
「条件付」で「特定」された経緯
現在、アカミミ、アメザリの飼育数は減っています。
飼えなくなって捨てられ、日本の生態系を壊している。
そんな話もよく聞かれるようになった。
「自分も飼えなくなるかも」と、飼育を躊躇する人が増えたようです。
アメザリの寿命は約5年。
アカミミの寿命は20年以上で、5年も飼えば30㎝近くになる。
小動物の割には長く飼えるほうでしょう。
それは「飽きる」「飼育を止めたくなる」可能性が高いということでもあります。
そういった情報も広がり、人気が落ちていったんですね。
飼育数が減ったことで、「特定外来生物」としても良いと判断したのでしょう。
それでも共にまだまだ飼育者は多い。
知育に適したペットでもあり、全面的な禁止もしにくい。
日本のお役所らしい「どっちつかず」で、ちょっと特別扱いも必要。
ということで、「条件付」としたらしい。
飼い主に必要な心構え
アカミミとアメザリを飼育している人は、引き続き飼育することができます。
販売が禁じられたので、新規の購入は無理でしょう。
ただし、自然で捕獲したものは飼うことが許されます。
許可などは要りません。
しかし、一度飼育したものの放出は違法。
飼い主の過失で逃げても罪になります。
アメザリは雌雄揃っていれば、卵も持つことがよくあります。
生まれた子ザリガニを捨てるのも禁止。
飼っている人、これから飼う人は
・責任をもって「死ぬまで飼う」こと。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki1.png)
特にカメは長生きなので
自分の生活・寿命も考慮
・飼えなくなったら、飼ってくれる誰かを必ず見つけること。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki4.png)
誰かに面倒を擦りつけるのは
ダメですよ!
・それもできないなら、殺処分する覚悟を持つこと。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki1.png)
最悪殺せる気持ちも
飼い主には必要だと思います
これらが無理そうなら飼育はやめるべきです。
この法は「意味がない」という意見もあります。
特定外来生物防止法そのものが、チェックの厳しい法律でないうえ、アカミミとアメザリは飼育が許される甘い対応で、被害が減らせないというのです。
僕もそんな気がします。
特定外来生物はどれも増えすぎて、駆除も追いつきません。
特定しただけで、「もう手遅れ」なのが現実なのです。
被害を広げない努力を、国民にお願いしているだけ。
今回の「条件付特定」。
どれほどの効果があるかは未知数です。
まとめ
悪党外来種になったアカミミガメとアメリカザリガニ。
やっと特定され、規制がかけられることに。
しかし、「条件付」。
飼育は可能で、あまり厳しい感じはない。
正直、これまでとあまり変わらない予感。
彼らはこれからも捨てられ、増え続けると思います。
せめて飼う人が減り、被害が少しでも収まることを、祈るしかありませんね。
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