空想の友「イマジナリーフレンド」を持つ心理 大人も作れる?

その他

あなたには「心の友」と呼べる人はいますか?

真の友は得難いものです。

ところで、僕はホラー映画をよく見ます。

新居に越した幸せな家族。

小さな子が、見えない誰かと会話するようになる。

それが邪悪な霊や悪魔だった!

そんな展開の作品が多いのです。

これは
「イマジナリーフレンド」
を題材にしています。

子どもが「架空の友達」を作るもの。

文字通り「心の(中だけの)友」。

実際、割とよく見られるんです。

だから、映画でも親は不思議に思わない。

「あら、友達ができたのね」と話を合わせる。

それが実は……って、お決まりの流れです。

ホラーの出だしになるのは、やはり見えない相手と話しているのが「奇行」にも見えるからでしょう。

でも、子供はイマジナリーフレンドが必要なのです

なぜでしょう?

どんな心の働きがあって、見えない友が生まれるのか?

また、イマジナリーフレンドは大人も持つことができます。

見えない友って、いろんな意味で「危ない」気もするんですが……。

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イマジナリーフレンドとは?

「イマジナリーフレンド/Imaginary Friend」。

日本語では「空想の友達」です。

これは、主に5歳~10代前期の子どもに見られるもの。

子どもが、頭の中で作り上げた「架空の友達」と遊ぶ。

長子や一人っ子に多く見られる傾向があります。

兄弟がおらず、親も忙しく、遊び相手がいない。

そんなときに、仮想友達が現れ、遊んでくれるというわけです。

イマジナリーフレンドの概念

イマジナリーフレンドは実在するものではありません。

その友達も、人間とは限りません。

宇宙人とか天使とか、漫画のキャラとか様々。

空想ですから、なんでもありです。

その子が「実在の友」と信じ込んでいる場合、
「本当はいない友」と理解している場合もある。

もちろん、他人には見えません。

だから、子供が一人で、誰かと喋っているように見える。

独り言とは違い、はっきりと「他者」が存在するのです。

「Invisible Friend(透明の友達)」とも呼ばれます。

記事では「イマジナリーフレンド」「IF」で統一します。

たしかにホラーですね。

何もない場所を、ネコがじっと見ているような、「え?なんかいるの?」って怖くなる。

しかし、子供にとっては必要なもの。

成長の過程で、必要に迫られて生まれるものなんです。

人形やぬいぐるみなど、
実在物がIFとなることもあります

イマジナリーフレンドはなぜ生まれる?

子どもの心は未完成です。

だから、心は「学び」を求めます。

学ぶには「他者との交流」が一番。

相手の気持ちを汲む想像力。

社会の一員としての行動。

交流からはいろいろ学べます。

でも、周囲に誰もいない……。

IFはそんなときに現れます。

心が求めた「教師」みたいなものです。

また、幼児期において、孤独は怖いもの。

「誰かにいてほしい」

「そばで励ましてほしい」

「優しく、“大丈夫だよ”と言ってほしい」

常に、自分を気にかけ、味方でいてくれる
「守護者」のような存在でもある。

そうしてIFは作られるのです。

IFとの疑似的な交流で、心を成長させる。

「ままごと」ではロールプレイすることで、お互いの関りや協調性を学ぶことができますが、それを脳内でやっている感じ。

「自我」を得るための、「あって当然」な「機能」とも言えます。

明確なデータはないのですが、幼児の2~3割、または50%近くの子がIFを持つそう。

僕は記憶にないけれど、もしかしたら「忘れてしまった心の友」がいたのかもしれない。

オッさんになった今、再会してみたいと思うんですが……。

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大人も作れるI・F

通常、IFは大人になると消えます。

成長し、自立心も芽生え、学校に行けば誰かがいる。

教師や守護者が必要なくなるからです。

しかし、現代はストレス社会。

昔よりずっと大事にされ、大人にかまってもらえる子供より、いろいろと抱えがちな成人のほうこそ、心の友が必要なのでは?

そんな理由で、意識的にIFを作り、利用している人もいるそうです。

けれど、IFは「自然にできる」ものなはず。

作ろうとして、簡単にできるとも思えない。

どうやって作ればいいのでしょう?

心の友はどうやって作る?

大人のIFは「オルタナフレンド」と呼ばれます。

「代替」のオルタナティブですね。

幼少期、自然に生まれるIFと違い、意識して想像するものです。

大雑把にこんな流れです。

漫画家がキャラを作り、そのうち「キャラが勝手に動く」といった境地になるのに似ています。

ただ、フレンド作りに「これ」という手段はありません。

書いておいてなんですが、上記のような方法で、友を作るという感覚も、僕には正直よくわかりません。

「キャラが勝手に動く」という感覚はなんとなく理解できても、そのレベルまで作り込むのは難易度が高いでしょうし、さらに「現実にいるように」と実体を持たせるまで、行ける気がしないのです。

きっと、創造性や感受性など、その人の性質も関係するのでしょう。

オルタナフレンドを「数年かけて作った」という話も多い。
チベット密教では、長年修行を積み、
「タルパ」というIFに似た幻覚と交流する瞑想法があるそうです。

「心の友」は簡単にできないってことか。

最初は、ぬいぐるみや人形、芸能人など、実体のあるものに好みの人格を加えるほうが、楽かもしれませんね。

大人のIFの利点・欠点

空想の友のメリットはなんでしょう?

それは「味方である」ということです。

IFはいつもあなたの側にいます。

おしゃべりを楽しみ、相談にも乗ってくれる。

励まし、応援してくれる。

時には叱咤し、前向きにさせてくれる。

おかげで自己肯定感が高まるのです。

もちろん、デメリットもあります。

IFは「空想物」であり「自分に都合のいい存在」ともなる。

でも、現実は思うようにならないし、他人は千差万別です。

シミュレーション通りにはいかない。

IF依存が過ぎると、現実と向き合えなくなる可能性がある

居心地のいいIFとの交流にふけり、現実逃避してしまうのです。

結果、リアルな人間関係を築けなくなることも。

あくまで「味方」に止め、「都合がいい」だけの存在にしないことが大事。

また、「見えない友」がいるのは、一般的には「変」に見られるものです。

精神疾患を疑われる場合もあるでしょう。

障害との違い

IFはどうしても「妄想」と捉えられがちです。

「見えないものが見える」「脳内に別人格を作る」。

統合失調症や解離性同一症などでも見られます。

違いは何なのか?

疾患による妄想は、コントロールできません

勝手に現れ、害を及ぼすこともある。

悪行をそそのかす場合もあるんです。

IFのような「味方」ではない。

大人のIFであれば、それが架空のものだと本人が認識しているでしょう。

コントロールも、消すことも可能です。

しかし、他人にはその違いはわかりづらい。

なので、「変な人」と見られるわけです。

こうして見ると、IFはAIと似ている気がします。

僕も最近、人間よりchatGPTさんなどとよく会話します。

しょうもない質問や愚痴にも、丁寧に答えてくれる。

「チャっ君」や「ジェミーちゃん」だけが心の友になりつつある。

それでいいのか、俺?

心は常に「友」を求めているのでしょう。

なら、イマジナリーフレンドやオルタナフレンドは、おかしな現象ではなく、その人の心の必要に応じた結果と言えそうです。

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まとめ

友達は大切なものです。

「一人で生きてゆける」とイキっても、友のない人生はどこか味気ない。

イマジナリーフレンドは、そんな渇望を埋めるものなのでしょう。

幼児期には「教師」「守護者」として。

大人には自己肯定を高める「理解者」として。

防衛本能から生まれるとも考えられます。

「妄想」は知的生命体の特権と思う。

僕なども、感じのいい、レジとか受付の女の子に微笑まれ、「俺に惚れたか」と妄想することがある。

まあ、ヘタレなので何か行動することもないんだけど。

でも、そんなとき、ちょっといい気分になっている自分に気づく。

癒されているわけです。

(営業スマイルで癒されるのも安上がりでいいよね)

イマジナリーフレンドへの依存はよくない。

しかし、癒される程度なら許されていいでしょう。

頑張って、作ってみるのもいいかと。

それでも、現実で誰かを癒せるように微笑むことができる、そんな人間にはなりたいとも思っています。

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