世界的なロマン「ネッシー」。
未確認生物(UMA)界の頂点に君臨するといっても過言ではありません。
1993年に写真の捏造が報じられ、
「嘘なんでしょ」という風潮が広まりましたが、
膨大なネッシーの記録がすべて否定されたわけでもない。
今も多くの研究者が、ネッシーの正体を真剣に論じているのです。
そんな中――
「ネッシーはウナギである!」
最新の研究結果が世界を駆け巡りました。
ほぼ断定的に取り上げている記事もたくさんあります。
しかし、ネッシー=ウナギは正確ではありません。
どういうことなのか?
ネッシーの謎はまだまだ解けてはいないんですよ。
ネッシーは否定されていない!
ネッシーを描いてください。
そう言われたら、たいていの人は
「水面から長い首を出したネッシー」
を描くんじゃないでしょうか。
このイメージを植えつけたのが通称『外科医の写真』。
1934年に外科医のロバート・ウィルソンが撮ったという、もっともよく見るネッシー写真です。
これが
「おもちゃの潜水艦に、ネッシーの首から上の模型をくっつけたもの」
とネタバレしたのが1993年。
これですね。
まあ医者なんてこんなもんです。
僕は病院行っても腹立つことが多いので……。
しかもロバートは外科医じゃなく産婦人科医
ネッシーはウナギと結果が出た?
実はネッシーの形ははっきりしません。
首長竜の印象が強いのは、外科医の写真などが原因です。
このフェイクで、ネッシーが嘘っぽくなった。
しかし、ネッシーの記録は数が多い。
もともと「ネス湖の恐竜」みたいな話があったため、捏造写真も倣っただけ。
外科医の写真がネッシーの発端ではなく、便乗したイタズラ。
古来からのネッシー伝説は無関係です。
それらの目撃史を調べると、古生物が多いのはたしかですが、
魚類や哺乳類と思われる可能性もある。
研究者はいろいろなネッシー像を考察してきたんです。
「ネッシーとはどの生物なのか?」
その謎に「eDNA」という最新科学で迫る調査が実施。
2019年9月。
「ネッシーはウナギ」と判明したという。
長年の謎を解いた「eDNA」。
どんなものなのでしょうか?
eDNA調査でなにがわかったのか?
「eDNA」は環境(environmental)DNAの略です。
その概念は難しくありません。
「生息地のDNAを調べれば、そこにどんな生き物がいるかわかる」
要は痕跡を調べるのです。
新種の痕跡ナシ。ウナギの可能性が浮上
例えば、あなたの部屋にはあなたの汗が付着し、髪の毛が落ちているでしょう。
それで部屋にあなたがいることがわかります。
前の住人や訪問客のDNAが見つかれば、過去にいた誰かもわかる。
犯罪捜査に似ていますね。
eDNAでは、ネス湖の数百カ所からサンプルを採取。
サンプルに含まれるDNA、つまり糞や皮膚片といったものを分析。
ネス湖の生き物を調べ上げた。
その結果――
正体不明のDNAは出てこなかった。
「未知の生物はいない」と結論したのです。
ネス湖に恐竜や新種の哺乳類がいる痕跡はない。
これでネッシー=未知動物の線は消えました。
調査でもうひとつわかったことがあります。
「大量のウナギがネス湖にいる」こと。
ここから「ネッシーは大ウナギで間違いなし」みたいな記事が出回ったのです。
しかし、そう単純な話でもありません。
ネッシー=ウナギは不確定だった!
「ネッシー=大ウナギ説」は以前からありました。
ネッシーはほとんど水面から出てきません。
出てくるなら、もっと目撃されてます。
とすれば、ネッシーは水中にずっといる生物……魚だろうという見解です。
大きな魚、例えばチョウザメやオオナマズ、そして巨大化したウナギではないか。
ところが、eDNA調査で、ネス湖にチョウザメ、ナマズもいないことが判明。
「それならウナギですね」となった。
研究者は「ネッシーはウナギ」と言ってはいません。
「ネス湖に“ネッシー”と呼ばれる巨大生物がいるとすれば」
と仮定したうえで
「大ウナギという可能性はある」
と言っただけです。
ネッシーの実在や正体が解明されたわけじゃありません。
まあ、いくらかロマンが繋がる結果でしょうか。
でも、怪獣と見間違えるほどウナギは大きくなんですかね?
巨大ウナギは存在するか?
オオウナギは実際にいます。
日本にも九州以南にいて、体長は2mにもなります。
鹿児島県池田湖の怪獣イッシーは、
このオオウナギが正体といわれています。
2mは物足りないですが、個体によっては大きいものもいるかもしれない。
ただ、日本のオオウナギは熱帯の生き物。
ネス湖はイギリスの北部で寒い。
日本のオオウナギとは違うでしょう。
また、ヨーロッパにいるのはヨーロッパウナギ。
大きくても1.5mは超えません。
ただ、150年以上生きたヨーロッパウナギの記録もありますから、
環境のいい場所ならもっと大きくなるかもと期待したい。
大型幼生レプトケファルスとは?
ウナギの稚魚はシラスウナギ。
最近は不漁で、ウナギが高騰。
僕もウナギは好きなんですが、しばらく食べていません。
シラスウナギになる前はレプトケファルス幼生といいます。
孵化後、葉っぱ型のレプトケファルス期を数年過ごし、
シラスウナギそして成魚へと成長します。
アナゴも同じです
通常ウナギの成魚はレプトケファルスの20倍ほどの大きさ。
海では稀に、巨大レプトケファルスが見つかります。
1.8mもあるレプトケファルスもいる。
それがウナギだったとすれば。30~40mに育つ計算ですよ。
これなら怪獣ネッシーになれそう!
海の大ウミヘビ、シーサーペント伝説にもなれる!
しかし、レプトケファルス幼生はウナギとは限りません。
ソコギスという魚は1m以上ある深海魚ですが、やはり孵化後はレプトケファルス。
ソコギスは成魚よりレプトケファルス期のほうが大きいこともあるそうで、1.8mのもソコギスだったといわれています。
超巨大ウナギも少々怪しいですね。
しかし、ウナギは最近まで産卵場所もわからなかった。
養殖も上手くいかない、謎の魚でもある。
大きな個体がいても、おかしくないと思うんですが。
まとめ
ネッシーの謎に迫ったeDNA調査。
その実在は証明できませんでした。
でも、ネス湖にウナギがいっぱいいることはわかった。
中には大ウナギもいて、ネッシーと呼ばれている可能性も否定できません。
また、ネッシーのような巨大獣が餌に困らないこともはっきりしました。
まだまだネス湖のロマンは健在です。
あの、池の水を抜くっていう番組で、いっぺんネス湖をさらってみてほしいんだけど。
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