グマ事件簿 初の「ヒグマ警報」!クマの増加や食性変化が理由か?

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2025年7月。

北海道・福島町に「ヒグマ警報」が発令されました。

なんだかすごい警報が出たものです。

鹿児島県では桜島の灰が降る警報があると聞いたことがありますが、このヒグマ警報も北海道ならではのローカル警報でしょう。

しかし、笑い事ではない。

警報は市街地でヒグマの被害が出たとき発せられます。

同町で新聞配達員がヒグマに襲われ、亡くなったのです。

それも人家の並ぶ住宅地で!

2022年に制度ができ、今回が初の発令だそう。

それだけ危険ということ。

7月18日現在。

一頭は駆除されたそうですが、まだうろついているクマがいる模様。

住人は気が気ではないでしょう。

にわかに起こった、このヒグマ騒動。

しかし、予兆はあったようにも思えるのです。

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ヒグマ警報発令!福島町のクマ被害

ヒグマ警報と言われても、何をすればいいのでしょう?

まあ、これは「注意喚起」なので、「こうすれば大丈夫」というのはなく、「こうすれば少し安心」という行動を促す意味が強いのでしょう。

具体的には――

(外出は襲われる危険が高まる。目視の効かない夜のほうが危ない)

(クマが潜んでいるかも。住宅地でも物陰は注意です)

(大勢いれば心強いし、クマも躊躇うでしょう)

(クマは食欲で動きます。ゴミは明るくなってから出しましょう)

そういったことです。

100%でなくても、危機は回避しやすくなります。

しかし、この騒動はなぜ起こったのでしょう?

新聞配達員が襲われた!

福島町は北海道の南西。

地図でいうと、左下に尻尾みたいに出ている渡島(おしま)半島にあります。

千代の山、千代の富士を生んだ「横綱の里」として知られ、「おんな相撲」でも有名です。

この夏、その市街地でたびたびヒグマが目撃されます。

「大丈夫だろうか……」

住民の不安が募っていた7月12日。

50代の男性新聞配達員が被害に遭います。

まだ暗い未明。

朝刊を配った玄関先で襲われたようです。

その家の人も叫び声を聞いています。

驚いて、外に出ると、クマが配達員にのしかかっている。

救出しようとするものの、クマには歯が立たない。

しばらく格闘したが、配達員はそのまま茂みに引きずられていった!

後に、遺体で見つかったのです。

都市部の人は「住宅地にクマとは、なんて田舎なのだ」と思うかもしれません。

もちろん、ヒグマの出没は北海道では珍しくないのですが、町のど真ん中に出ることはありません。

やはり、多くは山や森の近くです。

クマが増えている?

ところで、福島町のある渡島半島。

観光地の函館、江差や長万部、北海道唯一の城下町・松前、駅弁の王者「いかめし」で知られる森町などがあるエリアです。

広々とした北海道の中では、地形的にちょっと窮屈な印象じゃないですか。

それは、山地と町が近いということでもあります。

そのせいで、この地域は人里でのヒグマ遭遇が少なくありません。

そして、ヒグマ自体の数も増えているようなのです。

理由はいくつかあるでしょう。

気候が良く、餌も豊富で、クマが育ちやすくなった。

地方の人口が減少し、クマの行動範囲が広がった。

ハンターの高齢化、不足。

クマ愛護の声で、駆除活動が委縮する。

最近では、発砲の意識の違いから、ハンターが銃免許をはく奪される裁判や、報酬の少なさなどがニュースになり、猟友会の協力が得にくくなったことも背景にあるようです。

これは北海道に限りません。

地方であれば、どこでも見られる傾向です。

登山やキャンプ、アウトドアを楽しむ人も多い。

当然、クマとの接近も起こりやすくなる。

クマへの警戒は、僕らが思った以上にずっと身近なものなのです。

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クマの食性が変わってきている?

福島町の近くに、大千軒岳という山があります。

標高は1072m。

美しい山なのですが、ヒグマも多いことで知られています。

2023年にも、3人の消防隊員が襲われる事件がありました。

消防隊員も襲われていた!

10月31日。

駐車場に車を停めた3人の男性。

休暇を利用して大千軒岳を登る予定です。

消防隊員という職業柄、登山者を救助することもある。

山の地形を確認しつつ、身体も鍛えようとしたのです。

その途中。

休息していたところをクマに襲われました。

一人に馬乗りになるヒグマ。

足をクマの顔にあてがい、噛まれるのを防ぎます。

別な一人はとっさに逃げようとし、足を滑らせ窪地に転落。

もう一人は撃退しようと抵抗。

クマは怒り、その男性に襲いかかる。

やはり、足を使って防御。

隙を突いて、クマの喉元に山菜採りのナイフを突き刺します。

これが効いたらしく、クマは逃走。

転落した一人にも怪我はなく、すぐに3人は下山します。

クマは人間も食べようとする

彼らが屈強な消防隊員だったから、助かったのでしょう。

一般人ではヒグマに敵いません。

なんとか駐車場まで戻った3人は、あることに気づきます。

「あの車、俺たちが来る前から停まっていたけど、登山者じゃないのか」

「それならヒグマと出くわすかもしれん」

これも職業柄か、状況判断も的確です。

通報を入れ、捜索隊が派遣されます。

数日後、3人が襲われた現場の近くで、息絶えたヒグマと、土に埋められた男性の遺体を発見。

10月29日に大千軒岳に向かった22歳の大学生とわかります。

ヒグマの胃の内容物が、DNAで一致したのです。

おそらく、大学生はヒグマの襲撃を受けた。

クマは獲物を土に埋め、隠す習性があります。

「土饅頭(つちまんじゅう)」と呼ばれます

そこに3人が現れた。

クマは獲物を取られると思い、襲いかかる。

そこをナイフで返り討ちにされたと思われます。

クマ界に人食い意識が蔓延?

25年の新聞配達員が襲われた事件。

そして、大千軒岳の大学生。

ヒグマの行動から「人間を捕食」の意図があったように見えます。

藪に連れ去られた配達員も、土饅頭が目的だったと思う。

この加害熊、どうやら数年前にも人を襲った前科があったらしいのです。

元来、「クマは人を怖がる」「襲うのは子を守る、驚いてなど防衛のため」と言われてきました。

だから鈴などで「人がいるぞ」と知らせる対策がある。

しかし、最近はヒグマ、ツキノワグマの中に「人を食う気」が見られるのです。

昔から、クマの人食いは時折見られました。

有名な三毛別事件、沼田幌新事件などでも人食いはあった。

でも、「人“も”食う」といった印象。

しかし、2016年の十和利山(秋田県)の事件などは、「人“を”食う」ように思える。

本来、クマは「肉食より草食」という食性。

それが「草より肉」に変わっていたら。

人もまた、クマには餌に映ることになる。

「クマ避け」の鈴が「クマ寄せ」になりかねません。

詳しい調査を待たねばなりませんが、福島町の事件はクマの食性の変化を示唆しているのではないか。

人とクマの関係を、見直さないとならないかもしれません。

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まとめ

道南・福島町のヒグマ事件。

町内を徘徊するヒグマ、配達員が襲われ死亡。

警報レベルで注意を呼び掛ける必要ありと判断されたのでしょう。

そしてクマの増加。

同様の警報は今後も出ると思う。

事実、最近よくクマ出没、襲撃のニュースを見る気がする。

人を怖がらない様子のクマも多い。

クマに襲われることの現実味は増しているのではないでしょうか。

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