あなたは「こっくりさん」をしたことがありますか?
僕は小学生の頃にしたことがあります。
誰でも一度くらいはしているかもしれませんね。
「キューピッドさん」「エンジェルさん」「チャーリーゲーム」といった似た簡易版がありますが、基本は同じ。
霊に尋ねるスタイルです。
こっくりさんは漢字で「狐狗狸さん」。
正体はどうやらキツネとイヌとタヌキらしい。
それら動物霊を呼び出し、質問して、答えを教えてもらうわけですが、本当にキツネやタヌキなんでしょうか?
キツネのふりをした何者かかもしれません。
子供が好きそうな占い遊びですが、実は危険もはらんでいます。
こっくりさんがきっかけで起こった事件もある。
そのせいで、あなたの学校では禁止になっていませんでしたか?
どんな危険があるのか?
安易に始める前に、知っておかないとなりませんね。
こっくりさんのやり方と正体
こっくりさんのやり方は以下のようなものです。
- 紙に平仮名、 数字、【はい】と【いいえ】、鳥居を書く (下画像参照)
- 鳥居の位置に10円玉を置き、参加者みんなが人差し指で押さえる
- 「こっくりさん、こっくりさん、どうぞお入りください。おいでになられましたら“はい”へお進みください」と話しかけ、その通りに動いたら、質問をする
- 10円玉が平仮名の上を移動し、答えます
- 次の質問があれば、「鳥居の位置までお戻りください」と頼み、その後同じように質問します
- 終わったらまた鳥居に戻ってもらい、「ありがとうございました」と礼を述べ、帰っていただく
だいたいこんな感じ。
鳥居から霊が入ってきて、答えを教え、鳥居から帰る、の流れです。
交霊術の一種ですね
禁止事項として
・こっくりさんの個人情報?(名前や正体)は訊かない。
・10円玉から指を離してはいけない。
などがあるようです。
ルールなどは地域で違いがあるようですから、他のもっと詳しいサイトで確認してくださいね。
もちろん、行うときは自己責任でお願いします。
もし霊が来たとしても、あまり良いものではないでしょうから。
正体の孤狗狸は人間の霊?
ほとんどの人はこっくりさんをキツネの霊と考えているのではないでしょうか?
僕がこっくりさんをしたときも、「油揚げを供えると来てくれる」という話があった。
油揚げがなかったので、「これを代わりに……」という友達の意見を採用し、横にサラダ油を置いてやりました。
油しか合ってないよ……。
油揚げというのは、やはり「こっくりさんの正体はキツネ」と認識していたためでしょう。
つまり「お稲荷さん」です。
でも、それもちょっと違うらしいんです。
稲荷は日本中で信仰される神様。
どこにでもいるイメージだから、占いにもつき合ってくれる気がしないでもない。
しかし、お稲荷さんは立派な神様の眷属。
そんな遊びはしません。
こっくりさんで呼び出すのは低級霊なのです。
それも下等なケダモノの「孤狗狸」の霊でもありません。
動物霊とは「人間の霊が獣化したもの」と考えられているのです。
ケダモノのように低級な人間霊ってこと。
この低級霊、恨みや未練だけは強く、人に悪さをします。
憑りついて堕落させるとか、悪い霊障を呼び寄せるとか。
こっくりさんは、そんな邪霊をわざわざご招待しているのです。
危険がないわけありませんね。
こっくりさんの危険性
こっくりさんが広く知られだしたのは1970年代。
心霊、オカルトがブームになり、古来の占術としてこっくりさんも日の目を見るのです。
その後、子供たちが半分遊びでするようなものになりました。
もちろん、霊が絡む怖い遊びという意識はあったでしょう。
しかし、そんな危険も神秘的な魅力となり、僕のようなアホな子供でも普通に行うようになったんです。
そんな頃、こんな事件がありました。
こっくりさんが原因のパニック事件
神奈川県で起こった事実です。
中学校のクラブ活動中、女生徒数人がこっくりさんを始めました。
しばらくすると、横で見ていた女生徒がパニックに陥ります。
「背中が重い!なにかが乗っている」
「霊が呼んでいる!」
半狂乱になって部室を飛び出したのです。
なんとか落ち着かせて連れ戻すと、今度は別な生徒が「霊が地獄に来いと言っている」と怯え、違う生徒が気を失うなど、異常事態が立て続けに起こりました。
この騒動は学校の噂になり、さらに精神が突然おかしくなる生徒が出るなど、連鎖的に問題が広がったといいます。
これは「集団ヒステリー」といわれるものです。
その事例は珍しくありません。
集団ヒステリーの恐怖
2013年、兵庫県の高校で女子生徒が体調不良となり、その様子を見た20人以上の生徒が過呼吸となり、うち18人が病院に搬送されました。
福岡県の高校でも、一人の女生徒が叫び声をあげてうずくまったのをきっかけに、26人の生徒が異常状態になったそうです。
どちらも、誰かがこっくりさんで霊を呼んだからと噂があったらしい。
日本人特有の同調圧力かと思えば、そうでもないんですよ。
ペルーでは、存在しない「黒服の男」を見たと100人もの子供が気絶したり、泡を吹いて発作を起こした事件がありました。
人間は集団が感染的なパニックになることがあるのです。
広義では「魔女狩り」「フランス革命」「ナチスドイツ」、身近なところで「口裂け女」なども集団ヒステリーといえるでしょう。
「こっくりさんをするとなにかが起こる」……なんとなく考えている人も多く、悪い方向に心理的に向かってしまう傾向があり、流されてしまうのです。
こっくりさんをしてはいけない理由
こっくりさんの危険は「霊」ではなく「思い込み」のほうです。
霊的な儀式でもあるこっくりさんは、その場にいる人みんなある種の緊張状態に置かれています。
参加者がトランスのような状態になりやすく、霊が憑依したという自己暗示にもかかりやすい。
集団ヒステリーの事例に、感受性の強い思春期の女子が多いのもそれが理由でしょう。
場の空気にのめり込んでしまうんですね。
異変が起これば、精神的な同調を引き起こし、集団ヒステリーになりやすいのです。
遊びのつもりで、自ら危険な状況を作り出しているのですね。
とはいえ、フザケて行うのもよくありません。
洒落でやるなら暗示にはなりにくいでしょうが、一応は交霊術。
怒った霊に祟られて、不幸になったという話もある。
真偽はともかく、こっくりさんは「やらないのが一番」のようです。
君子危うきに近寄らず、ですね。
どうです?それでもこっくりさんをやりたいですか?
たしかにあまりおススメできない遊びですよね。
でも、こっくりさんって本当に霊を呼んでいるのでしょうか?
実はもっと現実的な解釈もできます。
物が勝手に動くことはありえる
こっくりさんで10円玉が動く!
チャーリーゲームで鉛筆が回る!
霊の仕業じゃなければなんだ、って話です。
例えば、
参加者の誰かが10円玉を動かしている。
鉛筆に息を吹きかけて回している。
そう考えるほうが自然とも思う。
物理現象がこっくりさんの正体?
人間の筋肉は無意識に動くこともあります。
鉛筆を立てて、シャーペンをノックするように握り、紙の上に芯を置いてみればわかります。
力を抜くと、たぶん芯が勝手にすべってゆくと思います。
中学生時代、僕は授業に飽きると、いつもそうやって遊んでいました。
地味な遊びだな、おい
鉛筆が動き、「幽霊が動かしてるのかな~」とぼんやり思ったものです。
動かなければ、最初はちょっとだけ自分で動かしてみましょう。
あとは勝手に動きます。
友達とかにやらせても同じだったので、みんな動くんじゃないかと思うんですが。
僕だけだったら、それはそれで怖いわ。
筋肉は常に不随意運動をしているのです。
さらにいえば、10円玉に置いた指にも、無意識の力が入っている可能性はある。
こっくりさんは質問に答えてもらう占いですから、自分の進んでほしい方向もあるでしょう。
「彼女は僕のことが好きですか?」の答えは、「はい」と言ってもらいたい!
そんな意識が指を動かすこともあるはず。
鉛筆が回るのだって、人の呼吸、すきま風、周囲の振動、気づかないほど小さな変化が原因かもしれません。
こっくりさんが生み出す緊張感や雰囲気の中ならありえることです。
必ずしも霊と決めつけなくていいんですよ。
まとめ
こっくりさんの正体は動物霊ではないようです。
キツネもタヌキも関係なく、むしろ人間という動物の神経的、心理的な不思議でしょう。
しかし、危険もある。
集団ヒステリーでは死者が出るケースもあります。
こっくりさんは魅力的な占い遊びに見えますが、ボードゲームではないのです。
オカルトやスピリチュアルに触れたい気持ちはわかります。
若者は特に。
でも、触れないほうがいいこともあると思うな。
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