世界で一番心地のいい場所は「布団の中」だと思う。
これは誰もが賛同してくれるんじゃないかな。
「出たくない」と僕は毎朝願っているくらい。
『睡眠』は生物に不可欠なものです。
だけど、「眠る時間を削れば、もっといろいろできるのに」と思うこともある。
遊びや勉強、スキルアップに忙しい若い頃は特に。
「どれくらい眠らないでいられるか」に挑戦したことありませんか?
過去には不眠の実験も行われています。
その結果は……怖ろしいものだったらしい。
人間は眠らないとどうなるのか?
他の生物の睡眠事情とともに、調べました。
実験でわかった【睡眠】の重要性
不眠実験でよく知られているのは、
1964年に当時17歳だったランディ・ガードナーが行ったものです。
自ら実験台となり、研究者を立ち合わせた、自由研究だったそうです。
自由研究ってそんな命懸けでやるものか……。
まあ、そのおかげで「人は眠らないとどうなるか」だいたいの症状がわかっています。
幻覚!言語障害!恐怖の不眠
彼の結果はこのようなものです。
- 1日目―午前6時に起きて実験開始。
- 2日目―目がしょぼしょぼ。
- 3日目―イライラ、吐き気。
- 4日目―幻覚症状。
- 5日目―ボーっとする時間が増える。
- 6日目―立体認識が怪しくなる。
- 7~8日目―ろれつが回らない、発音障害。
- 9~11日目―思考力低下、記憶の欠落。
12日目に眠り、実験を終えました。
1~5日目あたりの症状は、
睡眠不足のときなどに経験したことのある方もいるでしょう。
その先はかなり危険な領域のようです。
ランディ・ガードナー氏は後遺症もなく、普通の生活に戻れたんだとか。
それでも後半は「クレイジーな状態だった」と語っています。
徹夜は3日以上しないほうがいいでしょう。
でも、これより眠らなければ人間どうなっちゃうんでしょう?
人が怪物に!?「ロシア睡眠実験」
1940年代。
ロシアで非道な実験が行われたといいます。
5人の受刑者に対し、釈放を報酬として、覚醒ガスを用いた不眠実験です。
ガスによって強制的に眠らない状況を作り出す。
5日目ほどまでは問題なし。
その後、被験者は錯乱し、絶叫したり、部屋を走り回ったり奇行を始めます。
10日目にもなると、逆に静かになった。
「もう自由になんかなりたくない」
研究者が問いかけると、そんな言葉が返ってきたそうです。
15日が経過した頃……。
被験者たちは、自分の体を食いちぎるようになりました。
「実験中止!部屋から運び出せ!」
しかし、被験者たちは激しく抵抗。
手術の際にも「麻酔はやめろ!」と眠ることを拒否し、
不気味に笑いながら麻酔ナシの手術を受けた。
すっかり狂人となった被験者たち。
全員を射殺することに。
最後の被験者に「お前たちはどうなってしまったんだ?」と尋ねる研究者。
最後の一人が答えます。
「わからないのか?私は“あなた”だ。
毎晩ベッドであなたと一緒にいる。みんなの心にいる狂気ですよ」
……と、これは都市伝説。
事実とは思えません。
ネットでもこの「ロシア睡眠実験」が詳しく紹介され、
その様子を撮影したという動画も出回っていますが、おそらくフェイクでしょう。
こんなのですね。(閲覧注意!)
でも、10日も眠らないとおかしくなるのは事実だと思います。
混乱し、自傷行為に走ることもありそうです。
どうしてそうなってしまうのか?
やはり脳のオーバーヒートと思われます。
眠りは脳の休息
「眠る瞬間はいつだろう?」
その瞬間を知りたいと思いながら、気づいたら寝ちゃってた。
子供の頃、やりませんでした?
睡眠は一般的に「脳のクールダウン」と考えられています。
睡眠のメカニズム
使い続けると安全装置が働いて稼働を止める機械。
それと同様に、昼間酷使されていた脳が
エコモードみたいに活動を抑えるのが睡眠というわけです。
でも、完全にシャットダウンしてもいない。
夢を見るなど、微電力で動いています。
まさにPCのスリープですね。
だから、起きてすぐ動けたり、立ち上がりも早い。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki2.png)
低血圧の僕は、
起動にえらく時間かかるんですが……
その脳を無理に使い続けると、CPUに異常が起こる。
考える、話す、見るなどの処理がおかしくなるんでしょう。
やがて発狂する。
実験を見ても、脳の異常は明らかですしね。
人間の狂気を止めているのが「睡眠」といえるかもしれません。
それなら、脳を持つ生き物はすべて睡眠することになります。
動物たちの睡眠時間
もちろん、動物も眠る。
ネコなんかいつも寝ている印象ですよね。
基本的に、
「肉食はよく眠る」「草食は短い眠り」
って思っていませんか?
これは正しいのですが、例外も多いんです。
草食動物の睡眠時間
例えば、コアラやナマケモノは1日20時間以上寝ています。
コアラはユーカリに毒があり、その消化を長い腸でゆっくりやるから。
ナマケモノは単にものぐさで消化が遅いだけですが。
ウサギやリスも12時間くらい寝ています。
ウマ、ウシ、ゾウなどは3時間前後。
キリンは2時間以下だそうです。
大きな草食動物は、巨体の維持に食事はしょっちゅうしたい。
襲われる心配もあるし、休んでる暇はないのでしょう。
肉食動物の睡眠時間
イヌ、ネコ、ライオン、トラなど、肉食獣たちは1日12~15時間。
こちらはどの動物もあまり差はありません。
ただ、イヌの眠りは浅く、ネコほどグダグダしていません。
熟睡されたんじゃ番犬になりませんし。
ヘビやカエルも同じくらい眠るようですね。
人間を含むサルの仲間は6~10時間というところ。
雑食だから、長くもなく短くもなくなんでしょう。
動いて眠る『半球睡眠』
器用なのは魚や鳥です。
マグロや渡り鳥は移動し続けないとなりません。
クジラなどの海棲哺乳類も、寝たら溺れてしまいます。
彼らがするのは『半球睡眠』。
左脳と右脳を交互に休ませるというテクニシャンです。
数秒ずつ右・左と切り替えながら、動き続ける。
![](https://ani-mys.com/wp-content/uploads/2019/01/huki3.png)
ちょっと便利
寝姿もいろいろですよ。
眠らない動物はいない?
昆虫やヒトデ、クラゲなども眠ることがわかっています。
昆虫には一応脳はありますが、ヒトデにはありません。
脳がない生物が、なぜ寝る必要があるのか。
これは「睡眠」というより「休眠」に近いようです。
代謝を下げ、活動を休止する、プチ冬眠みたいな状態。
眠らない生物がいるかどうか、わかっていません。
観察では「寝てる」「起きてる」の判別が難しいやつもいる。
植物、菌類は睡眠はないだろうと考えられていますが、
睡眠自体がはっきりしないので断言できないんですね。
脳と睡眠の関係は謎のまま
逆に「○十年も眠っていない人」がいます。
いわゆる不眠症。
脳に睡眠が必要なら、眠らず生きているのはありえない。
それなのに、長期不眠でも穏やかで、体調に問題もなく生きている。
それは「休まなくてもいい特殊な脳」の持ち主なのか。
あるいは、睡眠と別な方法で脳を休ませているのか。
もしかしたら、脳に睡眠は必要なく、
眠りは脳と無関係な反応なのかもしれません。
だとしたら、僕らは人生の3分の1を、
いったいなんのために浪費しているんでしょう?
まとめ
人間も、他の動物も眠る。
眠らなければ、最悪死ぬこともある。
眠れぬツラさは誰もが体験しているでしょうから、なんとなくわかります。
でも、眠らなくても平気な人もいる。
睡眠の不思議は100%解明されていません。
まあ布団が気持ちいいので、眠る理由はそれだけでもいいかな~と。
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