危険な毒を持つ「セアカゴケグモ」。
本来、日本にはいないこの猛毒グモが日本で見つかったのは1995年。
ニュースでも連日報道され、「小さな殺人鬼」のイメージが強い。
そのクモが現在は生息地を拡げ、各地で見つかっています。
「身近に危険生物が!」
誰もが戦々恐々するところ。
セアカゴケグモはたしかに人も殺せる毒の持ち主。
しかし、咬まれてもたいていは軽い。
重篤になることは稀で、攻撃性も低いのです。
だからといって油断もできません。
毒グモですから、見つけたら要注意です。
その対応や、咬まれた場合はどうするか、覚えておくと安心ですね。
セアカゴケグモはどんなクモ?
セアカゴケグモはわかりやすいクモです。
黒くて丸い背中(腹部)に、赤い模様が目立ちます。
もっとも赤い模様はメスだけに見られ、
オスの腹部はウズラの卵みたいに地味。
大きさもメスは体長1cm(足を含めて約2cm)なのに対し、オスはその半分以下。
そのメスが人を咬むのです。
交尾後オスはメスに食われることが多い。
だから「後家グモ」。
英語でも「Widow(未亡人)」と呼ばれます。
ゴケグモ仲間には、
・腹側に赤い模様がある(メス)クロゴケグモ
セアカと似てるけど、こっちのが危険です。
・やや大型で、卵型の腹部に赤模様のハイイロゴケグモ
・不気味な赤黒がまだらのジュウサンボシゴケグモ
ちょっと大きく、デザインも不気味……
などがおり、どれも日本で確認されているそうです。
むろん、みんな毒持ち。
咬まれたら痛い目に遭います。
中でもセアカゴケグモは1995年に大阪府で発見されて以降、
2015年までに42の都道府県で見つかっているほど。
寒い北海道でもですよ!
広範囲に住み着けるゴケグモなのです。
生態はどれも似ているので、ゴケグモ特定する目安になると思います。
どこにいるの?
「丸みのある腹部」「赤い注意マーク」がゴケグモの特徴。
そんなクモがいたら、速攻踏み潰すのが無難でしょう。
ゴケグモは住宅地にも普通にいるクモ。
庭で遊んだり、ガーデニングの際も注意が必要です。
ゴケグモは薄暗く、狭い場所に巣を張ります。
よく見る放射状の巣ではなく、
狭い空間にベールのように糸を張り巡らす立体型。
狙うのは主に小さな虫です。
特にガーデニングは、アリやダンゴムシ、カメムシなどの虫が集まりやすい環境になり、セアカゴケグモも住みやすい。
ブッキングしやすいのは当然でしょう。
もし見つけたら?
ゴケグモはすべて『特定外来種』。
特定外来種は「いた場所から動かしてはいけない」がルール。
自宅の庭にいたゴケグモを、山に捨てるとかは原則違法です。
その場で駆除、殺処分は可能。
自治体によっては「毒グモ発見」と報告をお願いしている場合もあります。
地域に注意を喚起しないとなりませんからね。
面倒ですが、役所や保健所に確認。
もしくは市町村のサイトで調べてください。
ただし、セアカゴケグモはおとなしく、
こちらからなにもしなければ攻撃されることはまずありません。
触るとしても、庭仕事中なら手袋をしていることが多く、ほとんど大丈夫。
でも、セアカゴケグモに咬まれて亡くなった例もある。
日本では死亡例はありません
小さな子供などが咬まれたら心配ですよね。
そのときはどうすればいいのでしょう?
セアカゴケグモに咬まれたら
セアカゴケグモは小さなクモです。
咬まれても痛みはあまりなく、チクリとするくらい。
ですから、その瞬間はわからないかもしれません。
咬まれて数分から一時間で症状が現れます。
咬まれたときの症状
まず、咬まれた箇所が痛みます。
その場所に刺し痕があるか確認しましょう。
その後、痛みは全身に広がります。
発熱、頭痛、激しい痒みなどが起こることもあります。
腹痛もセアカゴケグモ被害でわりと見られる症状。
腹部の痛み、硬直があれば、セアカゴケグモは重要容疑者です。
さらに重くなれば、吐き気、呼吸困難、全身のけいれんなどが起こりますが、これほどの重篤となるのは珍しい。
アナフィラキシーショックの可能性も小さい。
軽度であっても、正しい処置をすれば問題ないでしょう。
咬まれた後の対処
患部を水洗いします。
このとき、45℃くらいのお湯で洗うとより効果的。
セアカゴケグモの毒は熱に弱いからです。
出血があっても、毒を出すために止血はしないほうがいいでしょう。
大半はこれだけで症状が治まります。
体調が回復しなければ病院です。
症状が軽く、患部の腫れ程度なら皮膚科でもじゅうぶん。
重い場合は総合病院、あるいは内科になります。
もし、咬んだクモを捕獲できるのであれば、
それが殺虫剤や潰した死骸であっても、持ってゆくといいですね。
話が早い。
セアカゴケグモ被害はそんなに多くありません。
ただ患部だけを見せても「???」な医者もいますから、犯人を見せるほうが手っ取り早いのです。
各自治体でも注意を呼び掛けています。
こちらは神奈川県のもの。
このように、咬まれても死ぬほどではない。
でも、好き好んで咬まれる人もいませんよね。
体張って笑いを取る芸人じゃないんだから。
できれば、咬まれる前に手を打っておきたいものです。
駆除と対策は?
セアカゴケグモは南方のクモ。
ところが、マイナスの気温も耐えられる。
実際、雪国でも定着が見られ、日本中どこでも被害に遭う怖れが。
先に見つけて、駆除するのが望ましいのです。
セアカゴケグモは
「見分けやすいクモ」ですが、
「見つけやすいクモ」ではありません。
大きくもないし、狭い場所に隠れている。
探偵並みに細かくチェックしないと、なかなか見つけられません。
棒などを差し入れて、出てきたらKILLって感じにやるだけです。
このときは手袋を忘れずにしてください。
ピレスロイド系の殺虫剤が効くので、散布するのが楽でしょう。
わずかな隙間も見逃さずに
しかし、問題は卵で、殺虫剤が効きにくい。
これはやはり発見して、潰したり焼いたりする必要があります。
一匹で5,000個も卵を産むというセアカゴケグモ。
成虫が見つかれば、卵もあると思わないとなりません。
庭で増えられたらたまりませんもんね。
普段から虫の駆除をしていれば、クモも寄りつかないものです。
客(餌)のいない場所に店を開くバカはいません。
でも、ガーデニングや家庭菜園は自然と虫も湧く環境。
公園など野外でセアカゴケグモと出会うこともあります。
大事なのは慌てないこと。
セアカゴケグモは攻撃的ではないので、落ち着いて駆除すればいいのです。
まとめ
日本に侵入してきた猛毒のゴケグモたち。
特にセアカゴケグモは広く定着し、エンカウント率は高い。
ただし、世に聞くほどの「怖ろしい殺人グモ」ってわけでもない。
臆病な小さいクモだから、毒を持ったのでしょう。
咬まれても、健康な人なら問題ありません。
セアカゴケグモ自身も黒と赤で、「私は危険な女よ」とアピールしています。
子供などにはその姿を教えておき、素手で触らないよう言い聞かせておくと安心ですね。
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