「世界でもっとも醜い動物」
このキャッチコピー……ポリコレ的にいいんだろうか。
ブサイクの世界チャンピオンですよ……。
そんなひどい認定されてしまったのが、「ブロブフィッシュ」です。
知っている人も多いでしょう。
とにかくブサイクで有名になりました。
その醜さは、インパクト大!
一度見たら忘れない!
記憶に刻まれるブサイク!
そんじょそこらのブサイクとはレベルが違う。
これほど悪く言われるブロブフィッシュ。
だけどなんだか「負けないで!」と応援したくなるんですよね~。
ブサイク王者・ブロブフィッシュとは?
まずは、世界一というブサイクっぷりを堪能してみましょう。
たしかにひどい。
離れた目に、垂れ下がった鼻と口。
ひどいというか、憐れというか。
「人生、悲しいことばかり(涙)」といった感じ。
でも、こんな姿で生きているわけじゃありません。
ブロブフィッシュは日本名が「ウラナイカジカ」。
カサゴの仲間で、世界中の深海にいます。
よく見るブロブフィッシュは、ウラナイカジカ属のうちの、オーストラリアとタスマニアの沖に生息する「ニュウドウカジカ」という種です。
大きさは最大で30cm。
こんな魚です。
アンコウのような姿。
水中ではまあ普通ですね。
憐れなブロブフィッシュは、水揚げされたときの姿なのです。
ブロブフィッシュの生態
ブロブフィッシュは浮遊する魚です。
泳ぎ回って餌を探すとか、海底で待ち伏せするタイプではない。
「浮かぶ」を極めたことが、ブサイクの理由です。
醜くなる理由は?
ブロブフィッシュには筋肉がほとんどありません。
筋肉は重いので、浮かぶには不利。
その代わり、水以下の密度のゼラチン状の体で、楽に浮かぶことができます。
“浮き袋”もないんです
過酷な深海で、省エネを目指したのでしょう。
そうやって甲殻類などを食べて暮らしています。
無駄なチカラは使わない、絶妙な進化……のはず。
その結果、獲得した柔らかい体が、陸に揚げられると、重力に負けてしまうんですね。
垂れさがった鼻は頭部の一部。
おでこがダラーンと下がってしまう。
口角も下がり、情けない表情になります。
ウラナイカジカ属は全般、陸ではブロブります。
元々、頭が大きい魚ですから、その表情がやけに強調される。
で、「世界一醜い動物」になった。
英語の「Blob」自体、
「丸い塊」「フニャフニャの物体」「デブ」「バカ」
と、ヘイトな意味ばかり。
ここまでコケにされる生き物もいません。
「ブロブ」って、宇宙から来たスライムみたいのが人を襲う映画、昔見たな~
もっとも、嫌悪感が起こる醜さではないと思う。
妙に人間臭いし、ユーモラスでもある。
「可愛い~~」と感じる人もいるようで。
醜いけれど、決して嫌われていないのがブロブフィッシュなのです。
ブロブフィッシュの味・寿命は?
ただ、ブロブフィッシュの生態などはよくわかっていません。
あまり食べられる魚でもなく、
トロール漁でカニと一緒に引き揚げられる程度。
深海魚ですし、研究もしにくいのです。
味はおそらく、ゼラチン質のアンコウやホテイウオに近いでしょう。
不味くはないだろうけど、数が獲れず商用にはならない。
寿命は長いと考えられます。
深海魚は基本的に長寿が多く、
ブロブフィッシュもエネルギー消費が低いことから、
数十年から100年超えもあると推測できるのです。
それなら、死んでブサイクになったブロブフィッシュではなく、生きた個体も見られそうなのですが、これも難しいんですよ。
水族館でも見られない!
生きたブロブフィッシュが、水族館に持ち込まれることがあります。
しかし、長生きしない。
2015年に、沼津港深海水族館が捕獲に成功しましたが、2日でお亡くなりになったそうです。
でも、この個体調査で面白いことがわかりました。
未知のブロブフィッシュがいるかも!
沼津港深海水族館のブロブフィッシュは、新種だったのです!
ブロブフィッシュは現在7種。
沼津のブロブフィッシュは、どの種とも違った。
確定には至っていませんが、新種の可能性は高いらしい。
僕らが思うほどブロブフィッシュは珍しくないのかもしれません。
ブロブフィッシュの
種別特定はムズいのです
ブロブフィッシュは数が多くないといわれています。
底引き網でたまに獲れるくらいですから、分布の密度も低いのでしょう。
「世界一醜い」も、本来は
「少ないブロブフィッシュに注目して、環境保護を考えてほしい」
という目的で発表されたもの。
ブサイクを利用されたほうは気分悪いでしょうが。
沼津の一件は、世界中に多種のブロブフィッシュがいる光明でもある。
なにしろ、ブロブフィッシュはわからないことも多い。
今後、もっとブサイクなのや、愛嬌のある新種が見つかるといいなぁ。
まとめ
海中ではアンコウのような面白い魚。
でも、陸に揚げるとフニャ~ンとなって、ブロブってしまう。
その悲しげな表情。
だけど、笑ってしまいます。
ブロブフィッシュは、魚界のチャップリンみたい。
しかし、柔らかい体は深海で楽に生きるため。
決して間違った進化ではないと言っておきましょう。
水族館で見るのも難しそうです。
いつか見たいとは思うけど、ブサイクになるのは死んだときなんですよねー。
生きてるときは地味で、死んで注目されるってのも、なんだかな~って気がするんですが。
コメント
なんしか似てるかも