【シシノケ】キャンプ場で遭遇する「三つ目」「毛虫のような」山怪

夜の山の画像 その他

妖怪大国の日本。

今も、新たな妖怪、怪物、怪異らが生み出されています。

『シシノケ』もその一つ。

2010年頃に登場しました。

それが毛虫かナメクジのような姿。

目が3つあるという異形の化物。

人を食い、運良く逃れることができてもその後害を起こすらしい。

現れるのは山中で、キャンプ場にも出没。

近ごろ流行りのキャンプや登山。

あなただって、いつ出会うかわかりませんよ。

とはいえ、シシノケもただの噂。

ネットの都市伝説。

「どうせ創作好きの誰かが考えた作り話でしょ」と思う。

しかし、「山の怪異」は昔からあるもの。

シシノケにしても原型らしきものはある。

もしかしたら太古から深山に棲み続ける、実在物なのかもしれません。

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シシノケとの遭遇

「シシノケ」に遭遇した投稿は、ネットで見られます。

読み物としてはちょうどいいボリュームなのですが、ここで引用するには長すぎるので、要点を押さえて短く紹介しましょう。

夜のキャンプ場に化物が!

石川県のとあるキャンプ場でのこと。

投稿者(Aさんとします)が、愛犬のジャーマンシェパードと一緒にキャンプしていました。

キャンパーは他におらず、管理人のいる棟が少し離れた場所にある。

天候は雨模様でしたが、貸し切り状態で、一人と一頭は楽しんでいたのです。

その夜の10時頃。

外からネコが発情しているような、赤ん坊の泣き声のような、不気味な声が聞こえてきます。

「キャンプ場にネコなんていないし、まさか捨て子でもないだろうし」

どうやらサイトの広場から聞こえるらしい。

そこでライトを手に、Aさんと愛犬は向かいました。

すると、普段はめったに吠えないシェパードが吠える。

Aさんがライトで照らすと、そこに奇妙な生き物がいたのです。

それは寝袋くらいの大きさ。

人間と同サイズ~2mくらいでしょうか。

魚が飛び跳ねているように動いている生物でした。

よく見ると、固い針のような毛で覆われた、大きな毛虫みたいな姿。

顔と思われる部分の真ん中に穴(口?)があり、穴の周囲に3本の触覚らしきもの。

触覚の先に目玉がある。

ナマコとウニが合体したというか、毛の生えた巨大ナメクジというか、なんとも形容が難しい。

とにかく異様な生き物との遭遇。

恐怖の一夜が始まります。

シシノケとの戦い

Aさんと犬はテントに逃げ帰ります。

サバゲーをやるAさんは、念のために持ってきていたガスガンを握る。

BB弾などを撃つものですが、丸腰よりマシです。

管理棟にも電話を入れます。

しかし、何度かけても出ない。

そのうち、這ってくる音は、テントの入口まできていました。

「ッチ……ッチッ……イトッ……シャ……ノウ……ッチ……チッ」

舌打ちみたいな音と、意味不明の言葉らしき声。

そのとき、シェパードがテントの外の怪物に飛びかかりました。

「ギャアァァー」と悲鳴。

Aさんも外へ出ると、犬が果敢にも化物に咬みついている。

「逃げるぞ!」

犬の首輪をつかんで、Aさんは駆け出しました。

追ってくる生物にガスガンで一発お見舞いして、とにかく管理人の棟まで全力で走ったのです。

なんとか管理棟へたどり着いたAさんと愛犬。

ドアを叩き、管理人を起こして、中に入れてもらいます。

「早く扉を閉めてくださいっ!」

「なにがあった?」

「化物が……」と事情を説明。

管理人は話を聞き終えると、保管してある猟銃を取り出し、戸締りを確認。

そして、Aさんに話すのでした。

「この山には土俗の神がいる」

「ナメクジのような化物で、それを見たキャンプの客もいる」

「そいつはカモシカを食う」

というもの。

その怪物は、もう管理棟の近くに来ていたようです。

化物を撃退!残された痕跡

しばらくして、あの赤ん坊のような声が外から聞こえてきます。

そして、まるで体当たりしているように、ドンドンと揺さぶられる扉。

「ヤツだ!」

中の二人と犬は戦慄。

いつ破られ、侵入してくるかわかりません。

恐怖が管理人に引き金を引かせます。

ドアに向かって発砲。

静かになったので、恐る恐る外を確認すると……。

化物はおらず、針のような毛がたくさん落ちていたのです。

朝になる。

管理人から連絡を受けた猟友会の三人が到着。

銃の所持者ばかりだな……

一緒に確認すると、Aさんのテントと荷物は荒らされていました。

そこにも無数の針のような毛。

猟友会の人たちも、怪物の話は知っていましたが、襲われた例は初めて聞いたらしい。

なんとか無事だったAさんと愛犬。

後日、猟友会の人の紹介で、Aさんと管理人はお祓いしてもらったそうです。

出会ったら死ぬ?怖い後日談

さて、ここからは投稿者が変わり、後日談が語られます。

お祓いをした神社の関係者の書き込み。

まず、怪物に咬みついたシェパード。

固い毛のため、口内を傷つけたシェパードは獣医に預けられ、後に回復。

しかし、傷が化膿して死亡したといいます。

Aさんとは半年ほどメールを交わしていました。

それから急に連絡が途絶え、家に電話したところ、
Aさんは階段から落ちて、意識不明の重体に陥っているとのこと。

舞台となったキャンプ場は、ホームページが閉鎖されていたそうです。

管理人の連絡先は聞いておらず、Aさんがどうなったのかは書かれていません。

これが「シシノケ」のお話です。

「シシノケ」という名前は出てきませんが、「土俗の神」というのがそう呼ばれているんでしょう。

別に、群馬県の山で、同様の怪物と遭遇した話があります。

天体観測で山に行った人がシシノケと出会います。

ただ、その人は悪いモノという気がせず、少し会話をしています。

シシノケが「ケエレヨ」「ナッカラ……オセエンナ……」と言ったらしい。

現地の方言で「帰れよ」「とても(夜が)遅いんだから」という意味だとか。

心配してくれているようにも思える。

その人は逆らわず、帰宅して何事もなかったようです。

これらは「ネットの都市伝説」「作り話」。

ツッコミどころも多い。

しかし、シシノケに妙な「生物感」がある気もします。

実在物だとしたら、その正体は?

Aさんの投稿は、その点にも少し触れています。

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シシノケは伝説?未確認生物?

猟友会の老人や、お祓いした住職から、Aさんは怪物の所以を教えられていました。

それによると

「この土地では昔、奇形で生まれた赤ん坊を山に捨てていた」

「その子供と山の神が交わって、怪物が生まれた」

または、

「奇形の子を神仏の生まれ変わりとして山で隠し育てて、それが伝説になった」

もうひとつに、

「山には元々、大きなイモムシの化物が棲んでいた」

「イモムシに奇形の子を食わせていた」

というものです。

まあ、言い伝えにはありがちな話。

江戸川乱歩の小説『芋虫』は、戦争で手足を欠損した元兵士が、イモムシのようになって生かされる物語ですが、先天的な障害をシシノケの形で伝えたものかもしれません。

奇形は「見た目でわかる違い」であるため、昔は忌み嫌われるものでした。

逆に、神のように崇められることもあったといいます。

では、生物とは考えられないのでしょうか?

記録に記されたノヅチ

イモムシのような生物というなら、「ノヅチ」が近いでしょう。

日本書紀・古事記にも記載されている「ノヅチ」。

「野槌」「野椎」「野つ霊」と書かれる、大地の精霊。

このノヅチが、シシノケの風貌とよく似ています。

wikipediaから引用

ノヅチは〝槌“のようなイモムシ型。

槌はトンカチの頭の部分ですよ。

頭部には口だけ。

石川県を含む北陸地方から、近畿、中部、四国で伝承され、見ただけでも病気になって死ぬこともあるというもの。

大きさは長さ90cm、太さ15cmと、寝袋サイズのシシノケには足りませんが、特徴は合うでしょう。

三つの触覚と目、針のような毛もありません。

ナメクジなら触覚は出し入れできるし、ノヅチは大ムカデにも例えられるので、ナメクジや毛虫に近い可能性もあります。

ノヅチは「ツチノコ」のこととも言われています。

ツチノコは長さ50~60cmで、腹の太さが10cm。

日本でもっとも知名度の高い未確認生物。

大きさの点では、こちらのが近いんですが。

野生の獣が突然変異?

シシノケの「シシ」はおそらく「イノシシ」、あるいは「獣」を意味する「シシ」でしょう。

つまり、「猪の怪」「獣の怪」です。

だとすれば、「経立(ふったち)」の一種かもしれません。

「経立」とは東北地方で「獣の妖怪」のこと。

野生の動物が長く生きて、妖怪と化したものです。

山の獣が年老い、霊的なチカラを得て、徘徊している。

妖怪ではなくても、なにかの原因で形が変わった動物とも思えます。

イノシシやイタチの奇形ですね。

あるいは、過去に見られたそういった個体が、「山に捨てた赤ん坊の成れの果て」と捉えられ、伝承となったとも考えられるでしょう。

シシノケは都市伝説にすぎません。

「出来のいい創作物」と楽しむのが正しい。

それでも山の多い日本では、「深山の怪」は長く語られてきたものです。

山の恐怖がDNAに染みついている。

だから、シシノケのような話が妙にリアルに感じられ、受けるのかもしれません。

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まとめ

ネットから広まった、新しいUMA「シシノケ」。

なかなか面白い、「山怖」「山の怪談」です。

針のような毛が生えたイモムシかナメクジみたいな体。

顔?には穴になった大きな口と、目のついた触覚が三本。

デザインも不気味で、恐怖をそそります。

話によれば、攻撃するより従ったほうが良さそうなので、出会ったときはとんずらしましょう。

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