知名度は高いのに、馴染みが薄い。
「ロバ」はそんな動物ではないでしょうか?
名前はよく聞く。
でも、あまり見ない。
日本にロバは200頭ほどしかいないそうです。
実数は不明ですが、多くはないみたい。
200頭ならざっくり言って「各都道府県に4~5頭しかいない」ことになる。
多分、1頭もいない県もあるんじゃないかな。
体感的にもロバはSSSRなのです。
そんなロバも西洋ではよく飼われています。
ロバが出てくる物語や歌も多い。
とても身近な動物らしい。
しかし、扱いはいいように見えません。
どうしても「崇高なウマ」と「愚かなロバ」という感じになる。
なんだかウマの下位に置かれ、バカにされている。
そんなロバはどんな動物なのか?
ウマやポニーとどう違い、本当にダメな動物か?
調べてみましたよ!
ロバとウマ見た目の違い
ロバとウマは似ています。
仲間であることはぱっと見わかる。
どちらも奇蹄目ウマ科。
ウマ科は「ウマ(野ウマを含む)」「ロバ(野ロバを含む)」「シマウマ」。
他にラバ(オスロバとメスウマの雑種)などがいます。
哺乳類の中では小勢の一派です。
ただ、人との関りは多く、マイナーではない。
でも、近しいはずのウマとロバは、だいぶ違うのです。
ロバの耳はウサギ耳?
ロバを知るには……。
やはり、ウマと比較して見るのがいいです。
みんな、ウマのことはよく知っている。
イメージの浮かびやすい動物。
なので、脳内でも比べやすい。
まずは「耳」。
「王様の耳はロバの耳」という童話もある。
というのも、ロバは耳の目立つ動物なのです。
長い!
ウマの耳も小さくはないけど、そんなに存在感はない。
ロバの耳は、ウサギのような耳なんです。
そりゃ王様も困りますよ。
飛鳥時代に、朝鮮から日本に大陸の動物がいくつか送られた記録があり、そこに「ウサギウマ」というのがいたそうです。
これがロバだろうと言われています。
「ウナギイヌ」みたいだ
たてがみと尾も全然違う!
たてがみと尻尾も違います。
優雅に風にたなびくたてがみと尾。
ウマの「美しさ」の象徴ではないでしょうか?
でも、ロバにはそれがない。
たてがみは短く、立っている。
モヒカン風と思えばいいです。
尾は、先だけに毛がある。
ぶら下がった筆ペンみたいな感じ。
もちろん、風になびくような風情がない。
もう少しTMレボリューションしてればカッコいいのに。
あれ風になびくレベルじゃないぞ
大きさは?ロバとポニーの複雑な関係
次に大きさ。
ロバの背中は高さが約1~1.2m。
ウマは競走馬で1.7mくらい。
小さいという北海道の道産子で、1.2~1.4mほど。
ロバは道産子より小柄。
ちなみに、肩の高さが147㎝以下のウマが「ポニー」と呼ばれます。
ポニーという品種ではなく、小型のウマの愛称のようなものです。
ところで、ポニーをロバと混同してる人もいます。
その理由の一つは、この大きさ。
「ロバは小さめのウマみたいな動物」
そう認識されがちなので、ポニーをロバと思う。
もう一つの理由に「パン屋」があります。
昭和30年代、「ロバのパン屋」が流行ったのです。
最初に始めたのは、札幌の企業「ロバパン」。
全国では馴染みがないかもしれませんが、北海道在住の僕は大変お世話になっています。
実は、この記事書くので初めて全国区じゃないのを知った……。
バターロールをよく買ってます!
で、このロバパンが社名にあやかって、ロバの引く馬車でパンの移動販売を始めた。
この時はちゃんとロバに引かせてたんです。
これが人気になった。
その後、馬車でのパン売りが全国で見られるようになりました。
いわゆる「ロバのパン屋さん」です。
しかし、日本にロバは多くない。
「ポニーで間に合わせよう」
結果、ポニーが引く「ロバのパン屋」という、変な文化が根付いた。
ポニーも「俺、ロバじゃねーんだけどなぁ」と思いながら引いてたのかも。
ロバとウマは性格もだいぶ違います。
ウマは人によく慣れ、従順です。
対して、ロバはけっこう頑固。
わがままで、言うことをきかない。
この辺でも、ウマと比較されるようです。
ロバはだらしない動物なの?
皆さんはロバにどんなイメージがあるでしょうか?
あまり好印象はないと思います。
「ぐうたら」
「のろま」
「愚か者」
プーさんのイーヨーみたいな印象。
これはディズニーの偏見ではなく、グローバルな「ロバのイメージ」なのです。
ロバはダブルスタンダード?
前述したように、ロバはかなり気まぐれ。
というのは、ロバは家畜のウマより、野生のシマウマに近いのです。
しかし、家畜化されているロバは、どうしてもウマと比べられる。
このウマがまた家畜の優等生ときている。
のび太が出木杉君と比べられるようなもの。
どうしても印象が落ちる。
「人を見る」のもロバの特徴。
好きな人にはめっぽう懐く。
嫌いな人には目もくれない。
好き嫌いで対応を変えるのは、頭がいいということでもある。
ちゃんと相手を見極められる。
でも、この気性が人から見ると不評。
きっと、ウマ人気の陰で、ロバはぞんざいに扱われてきたのでしょう。
だから悪い面が目についた。
そうなると、さらに扱いが悪くなり、ロバも「やってられるか」と働かない。
そうやってロバの悪評が広まったと思う。
では、ロバはそれほど劣った動物なのか?
そうとは言えません。
日本では見ませんが、西洋ではロバもかなり飼われています。
取柄がなければ、こんなに利用されません。
ロバには強みもあるのです。
ロバの働きは飼い主次第!
ロバの利点は「丈夫なこと」。
多少の悪環境でも平気。
粗食でも文句言わない。
寿命も30~40年。(ウマは20~30年)
ウマよりも入手が安易で、餌代を抑えられ、長持ちする。
癖はあるけれど、安上がりで、壊れにくい。
昔の家電みたいなところがロバのメリット。
特に荒れた土地や、山岳地帯では、ロバが大活躍。
ウマほどデリケートではないので、悪路も気にしません。
逆に、泥炭地は苦手でもある。
というのは、ロバの小ささ。
足(ひづめ)も小さいため、沈みやすい。
日本でロバが農耕に適さず、飼われなかったのは、これが最大の理由。
日本は水田が多いですからね。
ロバは可愛がってあげれば、ウマと同じように懐き、働いてくれるのです。
ぐうたらで愚かなんてとんでもない。
飼い主の愛で、ロバは優良家畜に化ける。
ロバもウマも7000~5000年前から、家畜化が始まったのだとか。
なんだかんだ言われながら、ロバは見放されもせず、世界中で働いている。
ちゃんと愛されている証拠です。
日本でもメジャーになるといいですね!
まとめ
ロバは知られた動物。
でも、日本にほとんどいないのは驚きました。
ウマとの違いは耳、尾、たてがみ。
この3つ押さえておけば、区別はつくでしょう。
ポニーかロバかもすぐわかりますね。
ロバと触れ合うなら愛情を持つこと。
賢いロバはちゃんと人を見ている。
気に入られないと、そっぽ向かれちゃう。
イヌよりはネコっぽいのかな。
そんな偏屈さも、ロバの魅力でしょう。
出会ったときは優しく接してあげてください。
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