オオサンショウウオ:謎多き生態の最大両生類

オオサンショウウオの画像 水生動物

オオサンショウウオは世界最大の両生類。

何でもこじんまりとした日本に、「世界最大」を冠する生物がいるなんて、ちょっと感動します。

川の多い日本はサンショウウオも多い。

全国にぽつぽつと二十数種のサンショウウオがいます。

誰もが知るのがオオサンショウウオですよね。

日本以外では中国とアメリカで見られますが、ニホンオオサンショウウオは固有種です。

ナマズとトカゲをミックスしたような異様な巨体は、「清流の主」といった趣。

ほとんど見られず、その寿命や生態もわからないことが多い。

日本に隠棲する大型生物なのです。

飼育も含めてサンショウウオについて解説します。

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強い生命力の大型爬虫類

オオサンショウウオは西日本で見られます。

最大で1.5m。

マカロンみたいな丸く、扁平なでっかい頭。

大きく裂けた口と、あるのかないのかわからないくらいの小さな目。

ヌルヌルした太い胴体に、ちょこんとついた手足。

不格好にも程があります。

驚異的な再生能力

オオサンショウウオは「ハンサギ」とも呼ばれます。

体を半分に裂かれても死なないという意味。

口が顔の半分まで裂けてるからともいわれます

「さすがに半裂きしたら死ぬでしょ」と思った人は正しい。

プラナリアじゃないんですから。

でも、手足くらいならなくなってもまた生える。

傷ついた心臓や眼球も再生します。

ナメック星人並みの再生能力はあるようです。

両生類ほどの複雑な生物が、こんな回復力を持つとは考えられません。

さすがに1億年以上も変わっていない生きた化石です。

サンショウウオの再生力が解明されれば、人間の医療、寿命に革命が起きるかもしれません。

観測不能の寿命は100年超えか?

さらに、寿命もオオサンショウウオはたぶん100年以上。

「たぶん」というのは、長寿すぎて確認できないから。

研究者のほうが先にあの世行きですもんね。

飼育下で確認されているのは51年です。

その個体も飼育された時点でかなり大きく、「50年も生きていそう」だったので、寿命も100年と推測されているだけなのです。

ただ、自然では10~15年生きれば上出来らしいので、そこまで気楽には暮らせないんでしょうね。

このように、オオサンショウウオはよくわからない。

その生態も謎に包まれています。

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どうして「山椒魚」?その生態は?

サンショウウオの画像

サンショウウオは「山椒の匂いがする」から山椒魚だそうです。

オオサンショウウオも昔は食べられたようですが、今は天然記念物なので無理。

北大路魯山人曰く「スッポンとフグを合わせたような美味」らしい。

美食家の味の表現は、庶民にはよくわからない。

英語だと「サラマンダー」

つまり「火トカゲ」です。

中国では「娃娃魚(ワーワーユェ)」で、「娃娃」は赤ん坊の意だとか。

「鳴き声が赤ん坊のようだから」だそうですが、時々「グーグー」と音を出すのがそう聞こえたってことでしょう。

かすかな匂いから命名するところが、日本人の細かい感性っぽい。

オオサンショウウオの生態

オオサンショウウオが生息するのは、標高400~600mの川。

たまに街中の下流や用水路でも見つかります。

「どこにでもいる」のではなく、「いる地域にはいる」という局地点在タイプの生き物です。

河川の開発で、サンショウウオはどの種も数が減っており、生息地も縮小しているのです。

オオサンショウウオは夜行性。

ほとんど川の中の岩の下とか横穴に身を潜め、近くに来たものは餌の魚やザリガニでも、仲間のサンショウウオでも、枯葉や人間の手でも、「とりあえず食っとくか」と咬みついてきます。

そんな引きこもりだから、あまり目につかない。

井伏鱒二の小説『山椒魚』は、自分の棲みかにカエルを閉じ込めるサンショウウオの話です。

オオサンショウウオは他のサンショウウオと違って攻撃的なんですね。

現在、日本に移入されたチュウゴクオオサンショウウオとの交雑が進み、純ニホンオオサンショウウオも減少が問題になっています。

両生類なので、塊の卵で生まれ、幼体はオタマジャクシ。

サンショウウオのオタマジャクシは、外鰓が出ているので、カエルのとは区別がつきますね。

成長して外鰓はなくなります。

ちなみに外鰓のある幼体のまま大きくなるのがウーパールーパー。

ネオテニー(幼態成熟)といいます

「見た目は子供、中身は大人」ってやつです。

天然記念物のオオサンショウウオは飼育できませんが、他の小型サンショウウオはウーパールーパーのように飼育可能です。

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サンショウウオ飼育は難しいの?

サンショウウオの画像

サンショウウオはメジャーなペットとはいえません。

両生類ペットはカエル、イモリ、サイレンが主で、サンショウウオは飼育が難しいんです。

まず、その種が飼えるかどうかがわからない。

どこかで捕まえたサンショウウオを飼育する場合、その種が希少で飼えないことも多いのです。

捕まえるとしても成体は見つけにくい。

卵のほうが見つけやすいと思うのですが、卵だと今度は種類がわからない。

僕も子供の頃、カエルの卵だと思って持ち帰ったのが、実はサンショウウオ(たぶんエゾサンショウウオ)で焦ったことがあります。

ペットショップで購入したほうがよさそう。

エゾサンショウウオは飼育できる種です

気温の問題もあります。

サンショウウオは暑いのが苦手。

常に20℃くらいを保たないといけない。

成長に合わせて餌をアカムシとかコオロギとかにしますが、生餌の管理も慣れない人はキツいでしょう。

手間がかからないようで、サンショウウオは面倒臭いペットなんですよ。

鳴かない、小さい水槽で飼える、都市住宅に適したペットなんですが、飼育はいろいろ気も遣う覚悟は必要ですね。

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まとめ

強い生命力で1億年以上前から変わらぬ姿のオオサンショウウオ。

日本で見られるモンスターといってもいいと思います。

他のサンショウウオはせいぜい20cmですから、1mを超えるオオサンショウウオがいかに巨大かわかりますね。

北日本に暮らす僕は見たことがないんですが、西日本では街でもときどき見られる。

あんなのが道端を這っていたら、飛び退いちゃいますよ。

しかし減少気味なのが残念。

川の国である日本らしい生物ですから、いつまでもサンショウウオが見られるようにしたいものです。

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