押しも押されぬペット界の王様「イヌ」。
最近は、本当の王様のように崇められ、
銀座の高級クラブの客みたいに扱われることもある。
でも、僕は「使役犬」のほうに心惹かれます。
「働くイヌ」です。
警察犬や盲導犬などですね。
彼らはその道のプロフェッショナル。
「使役」というと奴隷みたいですが、実はエリート犬。
選ばれたイヌといえるでしょう。
使役犬の活躍は多岐に渡ります。
どんな場所で能力を発揮しているのか紹介しましょう。
人助けこそ使役犬の仕事だ!
イヌは元々、使役属性の高いペットです。
イヌ飼育の最初は不明ですが、おそらく狩猟や牧羊を手伝わせる目的で飼われだしたんじゃないかと思います。
人を手伝うのは、忠実なイヌだからできること。
体力もある。
ぐうたらなネコや、非力なハムスターでは役に立ちません。
使役犬はかわいそうなのか?
使役犬を「かわいそう」と言う人もいるでしょう。
人間の都合で働かされているように見えるってわけです。
ブラック企業でこき使われるイメージもわからなくはありません。
でも、僕には王様扱いされているイヌよりも、
使役犬のほうがずっと人に信頼を寄せているように見えます。
人と使役犬、ともに働く相手こそ同志であり、家族だと思うんですよ。
また、本人(本犬?)も仕事に誇りを持っているように見える。
それが僕には「かっこいい」んです。
最近よく見る使役犬は、障がい者を助けるものです。
困っている人に手を貸す行為を、「やらされている」と受け取るのはちょっと淋しい気がします。
弱者の味方 補助犬
目の不自由な方をサポートするのが盲導犬。
外で出会う機会が多いかもしれません。
耳の不自由な人を助ける「聴導犬」、
手足が動かない人を手伝う「介助犬」もいます。
まとめて「身体障がい者補助犬」と呼ばれています
補助犬は愛情深いイヌです。
レトリバー系が多く、生後すぐパピーウォーカーに預けられます。
パピーウォーカーとは、盲導犬などを育てるボランティアのこと。
1年ほど人への愛情、献身精神、社会常識、落ち着きと判断力を教えるのです。
人の手足や耳目の代わりとなるのですから、社会性はとても大事。
たぶん、僕より人間ができてる……。
それから、信号で止まる、障害物を避ける、着信音や呼び鈴を知らせる、落ちたものを拾う、といったスキルを教育するのです。
常識ですが、外で補助犬に会ってもむやみになでたりしないこと。
仕事の邪魔しちゃいけません。
彼らは飼い主を補助するため真剣なんですから。
そして、人のために危険を伴う仕事をするイヌもいます。
警察犬、救助犬などです。
命を張って仕事する使役犬
ドラマでも人気の警察犬。
勇ましく犯人を追うものから、
ダメダメでも頑張る「きな子」みたいなものもある。
1896年にドイツでパトロール犬が採用され、
1912年には日本でも始まりました。
そのわりに、あまり現実では見ないんですよね。
犯罪や災害の現場で働くイヌたちの武器は「嗅覚」。
その鼻でたくさんの功績をあげるのです。
警察犬は職種が分かれていた
警察犬といえば、犯人の持ち物の臭いをかがせ、「よし行け!」と命令されるのが定番。
これは「足跡追求活動」というもの。
臭いを追うんですね。
ドラマではだいたいシェパードかな。
でも、ドーベルマン、ゴールデンレトリバー、ボクサーなどもいる。
少数ですが柴犬やトイプードルもなれます。
さらに「臭気選別」というのがあり、
遺留品と容疑者の臭いを嗅ぎ分け、特定することもします。
見せ場となるのが「犯人確保」。
犯人の手足に咬みつき、逮捕を手伝うってやつ。
警察犬はそれらを全部やっているように見えますが、
それぞれ仕事するイヌは違うんだとか。
一頭が臭い追跡で犯人を発見し、飛びかかるわけじゃないんです。
別な専門職に「探知」があります。
空港や港で働くイヌが麻薬探知犬。
人間やめたり、芸能界やめたり、ろくなことがない麻薬を国内に持ち込ませないための使役犬です。
警察犬の一種ですが、こちらは麻薬探しの専門家。
追跡や襲撃はしません。
他にも、伝染病患者や家畜を見つけて入国を防ぐ「検疫探知犬」。
戦地で放置された地雷を探す「地雷探知犬」。
発掘現場で化石を探す「化石探知犬」なんてのもいます。
なんたって人間の10万倍100万倍といわれる嗅覚。
物探しは朝飯前ですよ。
人命救助もまかせろ!
やはり警察犬の扱いですが、レスキュードッグがいます。
災害救助犬です。
被災地で建物の下敷きになった人を見つける。
混乱した現場でも、鋭い嗅覚と聴覚を持ったイヌだからできる仕事ですよ。
同様に、遭難者や雪崩に巻き込まれた人を探すのが山岳救助犬。
アルプスで活躍するセントバーナードが有名ですね。
首に酒の入った樽を下げています。
寒さに震える被害者に飲ませれば体もポカポカ。
僕は凍えてなくてもしょっちゅう飲んでますが
溺れている人を救う水難救助犬で勇姿を見せるのがニューファンドランド。
泳ぎが得意で、パワーもある。
長い毛のおかげで、冷水に長時間いても平気。
もちろん、人命を救う救助犬は厳しい訓練を経ないとなれません。
現場ではイヌ自身の命だって危険にさらされます。
まさに正義のイヌです。
一方で、人の心を救うことで役立つイヌもいます。
癒し効果絶大!ドッグセラピー
「アニマルセラピー」について聞いたことがあるでしょう。
高齢者、心身障がい者、重度疾病の人が動物と触れ合い、癒されるというものです。
これらはネコが使われることもあります。
が、セラピーの目的を考えるならイヌが適任でしょう。
動物にはつい心を開いてしまう。
誰でも経験ありますよね。
なにもしてくれないのはわかってるけど、
ペットに悩みや愚痴をこぼしてしまう。
なんの思惑もない動物だから、いろいろ打ち明けやすい。
他言することもありません。
高齢者や病気の人は多くのストレスを抱えています。
他人と話そうとせず、頑なになることもあります。
そんな人でも動物には心を開き、笑顔になる。
どちらかというと冷たい感じのネコよりも、
「なんでも聞きまっせ~」みたいなイヌのほうが向いています。
「だけどイヌと遊んでるだけで病気治るの?」
まあ、たしかにノーテンキな療法にも思える。
しかし、人によっては大きな効果があるようです。
・表情が豊かになる
・認知症が改善される
・治療に積極的に取り組むようになる
などが確認されています。
ドッグセラピーで使役されるイヌは、虐待されたイヌの場合もあります。
実は、イヌのリハビリでもあるんですね。
人間不信になったイヌが、人と触れ合うことで「人好き」になる。
互いの傷を癒し合う……美しいじゃありませんか!
イヌはがんや妊娠にも気づく
医療現場で働くイヌには、「がん探知犬」というのもいます。
がん患者の尿には特有の物質が混ざっており、
それを自慢の嗅覚で嗅ぎ分けるのです。
これもまた頼りない気がしますが……。
しかし、その発見率は肺がんなら99%!
何億円もする最新医療機器よりもスゴイんじゃないでしょうか。
がん探知犬は日本に5頭しかいないそうです。
ただ、どのイヌもがんの臭いは察知するといいますから、
よくイヌに吠えられる人は「教えられている」のかもしれませんよ。
逆に、女性の飼い主にイヌが近づかなくなったら、それは「おめでた」かも。
「妙だな。二人分の匂いがするぜ」って感じでしょうか。
イヌの様子は、飼い主の体調変化を知る手掛かりにもなる。
家に医者がいるみたいですね。
まとめ
障がい者を助け、犯罪者に立ち向かい、人を救助し時には癒す。
イヌは八面六臂の大活躍。
さらに人気の愛玩動物と、隙がない。
使役犬とされる犬種は偏りがありますが、
どんな犬にも訓練次第でどんな使役犬にもなれる素養が備わっているそうです。
身近すぎて、その能力を感じることが少ないだけなんです。
犬コロなんて馬鹿にはできません。
この記事を読んで、お宅の飼い犬をみてください。
「こいつ、本当はスゴイ奴なんだな~」って思えるんじゃないかな。
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